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ドキュメント内 学位の分野 国際地域学 (ページ 113-116)

4.4.2 相隣関係と小規模住民組織の関係

 事業後について「隣近所とどの程度親しいのか」を質問したところ(有効回答数:103)、

「とても親しい」が46」%で、一方「あまり親しくない」と回答した住民は5.9%だった。

事業実施期間を通じて、組織内でのメンバーの交代も随時行われてきたが、現在では再入 居時の小規模住民組織が、住棟ごとに住戸を確保し(図+10)、各組織が同じ住棟にひと まとまりとして入居している。小規模住民組織の組織化において、上記の相隣関係に加え、

居住空間からみて街区単位が基本である。住宅n-一ンは、既述のとおりこの小規模住民組 織単位で月別に収集しており、メンバーに住宅ロー一ンを払えない住民が発生した場合は、

組織内で立替払いをする(ここでも支払えない場合は、協同組合が立替えている)ので CODIへの返済率は、結果としてコミュニティ全体で100%とのことであった。このことか

ら、小規模住民組織メンバー間での一定の信頼関係が伺え、収入の満足度に関わらず小規 模住民組織活動へ共に参加していることからも、社会的な近隣関係が優先されていること がわかった。CODIが支援している他地区の住環境整備事業と返済状況を比較すると、相 隣関係やマイクロクレジットの手法を組み込んだ小規模住民組織化による回収方法が功を 奏している。

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 加えて、第1フェーズ地区における住民間の人間関係の満足度は(2008年3月時点、有 効回答:52世帯)、「大変満足」と答えた世帯が1世帯、「満足」と答えた世帯が34世帯、

「普通」と答えた世帯が16世帯、「大変不満足」と答えた世帯が1世帯、で満足を示して いる住民の方が多かった。また、就業セクター別に見る小規模住民組織活動への参加は(有 効回答数:101)、フォーマルセクター従事者が84.6%、インフォーマルセクター従事者が 8L8%で、双方に参加率の差は見られない。これにより、小規模住民組織成員間での一定 の信頼関係が伺え、地縁的な相隣関係が組織活動を基底していることが分かる。

4.4.3 第1フェーズにおける小規模住民組織と住環境整備事業の開発プロセス

 当地区はBMP以前からCODIの支援のもとで協働関係を構築しつつコミュニティが主 体となって開発を行ってきた経緯がある。2000年には、コミュニティ環境の全般的な改善 を目的に従前のコミュニティにあった三つの路地を単位に小規模な住民組織が組織化され ていた、,住民リーダーへの聞き取り調査およびCODIのBMPに関する資料をもとに、計 画策定段階から事業後のコミュニティの維持管理段階までの第1フェーズにおける開発プ

ロセスは、次の五段階に分けられる。

第一段階(2002年1月):2001年12月に発生した火災の復興事業としてBMPを受け入れ ることをCODIとコミュニティで合意し、開発方式に小規模住民組織を導入し、1989年に 組織されていた協同組合を改めて再編した段階である。その際、小規模住民組織の導入に は、CODIと政府により大規模な展開が計画されたBMPの実施に際し、①事業の円滑な推 進を図る、②住民参加の実効性を高め、事業後の住宅n・一ン返済を円滑に行えるようにす る、というねらいがあった。写真4-6は上記の火災で全焼した家屋の様子であり、写真4-7 は火災後、仮設住宅での生活の様子である。

写真4-6全焼した家屋の様子         写真4-7仮設住宅の様子 出典:ACHR職員、 Thomas A. Kerr氏より提供(2007年5月)

第二段階(2002年3月):以前の相隣関係、マイクロクレジソトグループをもとに8つの 小規模住民組織を再編し、事業についての情報と住民の関わりを学習する段階である。コ ミュニティ全体の定例会でのワークショップが参加型の開発やコミュニティのインフラ整 備、住戸計画についてのイメージを住民が共有することにっながった。各小規模住民組織

は、同時に住宅ローン返済の単位となり、コミュニティ内での住戸・住棟配置の検討を行 った,,定例会でのワークショップの様子を写真4-8、4-9に示す。

第三段階(2002年3月一2002年8月):各小規模住民組織を通したワークショップで住戸 計画を検討したが、災害復興に伴う時間の限定や、建設費を抑えるという制約の中で、コ ーディネーターや、CODIが派遣した建築家の誘導により、結果的に既述したように、小 規模住民組織ごとのまとまりに対応した長屋形式の連続型住棟配置が選択される。つまり 小規模住民組織による個別の構想は採用されず、住戸・住棟の形式や規模の統一がなされ た。この点はゾーンごとに修復型の開発を実行したガオセン地区の事例と異なる。最終的 には住宅協同組合を通して各関係機関との間で事業契約がなされた。

写真 4-8ワークショップの様子

出典:写真 4-8は、CODI(2006)パワーポイントより引用。写真4-9は、 ACHR職員、 Thomas A. Kerr    氏より提供(2007年5月)

 注:写真4-9は、協同組合リーダーSangwan Boongsong氏(白いシャツ)が、ワークショップで意見    を纏める様子である。

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写真4-9協同組合リーダーによる説明の様子

第四段階(2002年8月一2004年6月):図4-11に示すように、事業の実施段階であり、建 設業者により住棟が建設され、住民も作業へ参加する。併行してNHAにより下水、街路 などのインフラ整備が整備される。住戸の内装は各世帯単位で行った。

第五段階(2004年6月以降):事業の事後評価・コミュニティの維持管理の段階である。

2004年6月、第1フェーズ64世帯の住宅建設が完了し、政府主催でセレモニーが開催さ れた(写真4--10、4-ll参照)。その後、2004年7月17日に住民は住宅へ入居している。小 規模住民組織は通常のコミュニティ活動においても相隣関係をもとに機能している。しか

し建設時期から再入居当時までの住民のエネルギーやまとまり意識は一時的なもので、現 実には住宅ロー一ン返済が家計を圧迫していることから、低所得者層のコミュニティに共通 する生活再建、雇用機会の確保や教育環境の改善がここでも課題となっている。現在では 当該事業遂行を目的としたセービング活動は終了しているが、小規模住民組織を単位とし て、新たなコミュニティの生活環境改善の活動に関わるセービング活動(一日5バーツセ ービング活動)が、住宅ローン返済と並行しながら再開されている。

図4-11第1フェーズにおける建築の様子 出典:CODK2006)パワーポイントより引用

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