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小規模住民組織を単位とした住環境整備計画及び事業

ドキュメント内 学位の分野 国際地域学 (ページ 91-107)

    一バンコク・ボンガイ地区におけるオンサイト再居住計画の事例より一

4.1 はじめに

4.L1本章の目的

 タイでは1990年代に入ると、社会経済的側面に対する支援の必要性から都市開発戦略が 再検討されている。それを受けて2003年にCODIは、タイ全国の都市貧困層コミュニティ 2「地区の住環境整備事業を行うことを目的に、Baan Mankong Program(BMP)を開始し た(h、こσ)大規模な参加型の開発事:業、BMPの10パイロソトプロジェクトの一つである バンコクのボンガイ地区など、数地区において新たな開発方式として開発過程で小規模な 住民組織を組織化して実施している事業に着目した。コミュニティを対象にした再開発、

改善型開発のいずれにおいても、従来はコミュニティ全体をひとまとまりとした開発がな されることが多い、この場合、全体の合意をどのように形成するかが課題であり、ともす れば行政機関やリーダーシップによるトップダウンが先行しがちである1)。そこで本章で は、住環境整備を目的としたコミュニティ開発方式における小規模住民組織の組織化過程、

役割、特性について、$業が実施されたボンガイ地区の事例を中心に考察する。

4.1.2 本章の方法

 ボンガイ地区でBMPの対象になっている202世帯の中で、すでに第1フェーズのBMP に参加している73世帯を対象に、聞き取り調査や参与観察により定性データ収集及び、質 問紙調査c2)を2004年6月、9月、2005年3月、5月から7月上旬、8月、2006年9月、

2008年3月に実施した。

 聞き取り調査は、王室財産管理局職員、CODI職員、大学関係者(アジア工科大学院:

AIT)、コミュニティリーダー、協同組合リーダー、小規模住民組織リーダー、関係住民へ 対し、①コミュニティやBMPに関する基礎情報、②BMPに参加した経緯(参加意思決定 σ)要因)、③ステークホルダー間の連携状況、④小規模住民組織を通した住環境整備事業の 計画プロセスやその役割、⑤BMPの評価及び課題、などを明らかにする目的で実施した。

 質問紙調査のサンプリング方法は、聞き取り調査で得られた世帯構成から、成人を対象 とすることで1世帯あたり平均3票とした。質問紙調査は、①調査対象者の経済・社会属 性、②住環境と事業に対する評価、③住民の事業における小規模住民組織の評価、などを 明らかにすることを目的としている。

 t:な質問内容は、以ドの4点に要約される。①対象者の経済・社会属性、②住環境に対

する満足度、③BMPに対する満足度、④小規模住民組織を単位とした住環境整備計画及び

’ii:業に対する満足度、である。質間紙調査で得たデー一タについては、クロス集計や単純集 計による統計分析を行った。また、2008年3月にL拝業経過をみるために、ボンガイ地区のBMP 第1フェーズに参加した全世帯(73世帯)を対象に、質問紙調査を実施した..この調査結果に っいても参考にするt]調査対象地域及び質間紙調査の概要を表4-1に、調査手法の概要を表

^、

つ↑  声

4

表4-1ボンガイ地区(BMP第1フェーズ)及び質問紙調査の概要 地区名 ボンガイ地区(BMP第1フェーズ)

土地所有者 王室財産管理局

面積 2.4ha(BMP実施地区:0.8ha)

世帯数 596世帯

人ロ 約4,500人

開発方式 オンサイト再居住計画(re-constructi。n)

BMP第1フェーズ参加世帯数 73世帯

質問紙調査期間(設問数) 2005年6月25日一7月3日 (61問)

調査対象者 219人(73世帯×3人)

質問紙調査の方法 留置

有効回答数(率) 111人(50.7%)

表4-2ボンガイ地区における調査手法の概要

ボンガイ地区のコミュニティリーダーや協同組合リーダー及びBMP第1 フェーズに参加した住民や小規模住民組織リーダーへ事業の基礎 データや計画プロセスなどの聞き取り調査を実施した。また、各関係 NGO機関職員やCODI職員へ事業内容や評価に関する聞き取り調査 を行った。

 BMP第1フェーズ実施地区の73世帯の住民に対し(111人から有 効回答を得た)、質問紙調査を留置で2005年6月に実施。

H.BMP第1フェーズ実施地区の73世帯の住民に対し(55世帯から有 効回答を得た)、第5章のガオセン地区で実施した同様の質問紙調査 を面接式で2008年3月に実施。

 現地にてコミュニティの社会構造について参与観察を行った。

∬,CODIにてインターンシップ期間中(2007年5月一10月)に事務所で 毎日のように開催されているBMPの住民代表者会議に参加し、ボン ガイ地区リーダーの発言内容について参与観察を行った’。

    シーカーアジア財団(SVA)、ドゥアンプラティープ財団(DPF)、ACHR 資料収集(バンコク)、CODI、クロントイ区役所、統計局(NSO)、バンコク都庁     (BMA)、国家経済社会開発庁(NESDB)、ボンガイ協同組合

2004年6月、9月

2005年3月、5月一7月上旬、8月 2006年9月、2007年6月、2008年3月

 2005年6月25日一7月3日 H.2008年3月12日一26日

2004年6月、9月

2005年3月、5月一7月上旬、8月 2006年9月

2007年6月

2002年9月、2004年6月、9月 2005年3月、5月一7月上旬、8月 2006年9月

2007年5月一10月(7月は一時帰国)

*この住民会議の中で、ボンガイ地区はパイロットプロジェクトを実施したモデル地区としてCODIの 職員らと共に、これからBMPを実施する予定の他のコミュニティの代表者に対して自らの経験を共有

し、計画プロセスや問題解決の方法を一緒に考えている。

4.2 ボンガイ地区の概要

4.2.1 対象地区の概要と歴史的背景

 ボンガイ地区(写真4-1、4-2、4-3)は、ラマ4世通りに面したルンピニ公園近くのバン コク都バトゥムワン(Pathumwan)区に位置しており、1973年に周辺の地区から約80世帯 の住民が王室財産管理局(The Royal Property Bureau)の土地に借地契約のないまま居住し たことに始まる。田坂(2005b)2)によると、居住を始めた人たちは、住宅公団のアパート 建設によって追われた人たちや、アパートに居住する権利を持っているが賃貸料を支払う ことができないことから転売した人たち、他の土地から追われた人たち、例えばプラカノ ーン、バーンクンティエン、そして他県から移住してきた人たちである。2006年9.月時点 では、2.4ヘクタールの土地に596世帯、約4,500人が居住している。ほとんどの住宅はト タン、木材、コンクリート、煉瓦などの建築材で作られており、傾いている家や壁に穴が 空いている家など老朽化した状態である。元は、NHAのアパートを建築したり高速道路を 建設したりした労働者の住宅であり、計画が終了した後、住宅が壊されず、居住者が住み っいたものである3)。また居住環境は、1,600㎡あたりの世帯数は39.75戸で密集(3)して

いる4)(写真4-3)。

写真4-1バンコク都、ルンピニ公園周辺衛星写真

①ボンガイ地区(赤枠で囲んだ箇所)、②ルンピニ公園、③地下鉄(MRT)ルンピニ駅 出典:Google Earth、川澄(2006)5)より引用

写真4-2ボンガイ地区の衛星写真 出典:Google 2008

注:赤枠で囲んだ箇所がボンガイ地区で事業を実施した区域で赤色の屋根で8棟並んでいる箇所  が第1フェーズのBMPである。

写真4-3ボンガイ地区の居住環境

出典:ACHR職員、 Thomas A. Kerr氏より提供(2007年5月)

 1983年末に、民間の開発業者がコミュニティへ現れ、商業センターとコンプレックスを 建設するため、1日以内にコミュニティから移動するよう住民に告げた6)。この時期は、

都市貧困層コミュニティの強制撤去は様々な地域で起きており、住民はこの問題に対処す るためにコミュニティ委員会を設N‘flした。 fH坂敏雄(2005)ゐによると、コミュニティ委 員会を設・tzlした後も強制撤去の危機は続いたが、NHA理事長や陸軍最1自」司令官と住宅の保 障にっいて交渉し、従来通り住み続けられることが決定したeJその後、コミュニティ委員 会はiJ 1き続きバトゥムワン区と交渉し、居住の継続が認められた.1990年代に入ると UCDOの支援のもとに、ボンガイ地区では他の地域とのコミュニティの連携によるコミュ ニティネットワークを組織化しているf,加えて、当地区には度々起きた強制撤去の危機に 対応できる強力なリーダーC4・)が存在し、そのリーダ・一一一一シップのもとに問題解決されてき た経緯があるf)1986年には、度々起こる強制立ち退き問題をきっかけに、NGOとの連携 のもと貯蓄組合がコミュニティ内に設置され、この翌年には住民のエンパワーメントを目 的としたセービング活動が始まった.

 1.な貯蓄組合の設・[ノ1目的はコミュニティリーダーによると、①住宅改善を柱とした住環 境改善を展開すること、②コミュニティ住民へ小ロローン(無担保融資)の貸付けを行う こと、③非常時の消火器の設置すること、④失業などの理由で経済的に不安定な状況にな ってしξったメンバーに対し・t・1替払いをすること、⑤セービング活動を通して他のコミュ ニティや、関係行政機関などのワークショップに参加し、他の地域などにおける様々な知 識と経験を得ていくこと、などである。また、CODI(2004)8}によると、セービング活動 が開始されたことで、コミュニティ内の掃除、水道供給、道路整備、下水道建設、などの 問題別に、バトゥムワン区役所や、その他関係団体との連携を図りながら、住環境改善活 動に取り組んでいる。

 現在、ボンガイ地区におけるBMPの実施に際して、住環境整備事業の計画立案、地主 であるE室財産管理局への借地権申請などコミュニティの窓口となっているバッタナー・

ボンガイ・クレジット・ユニオン協同組合(以ド、協同組合)も初めは貯蓄組合として始 まり、その後、住環境改善のため発展的に協同組合へ改組された。協同組合は、貯蓄の法 律、規則、約定面などで情報の収集でいくつかの協同組合の事例も研究したt))。加えて、

カセサート大学との連携により、チャムノン博.t:を講師に招いて、グラミン銀行に関する 講義を受け91、貯蓄におけるマイクロクレジットの仕組みを学んだ。このように、協同組 合におけるセービング活動は、以前からコミュニティの住宅改善をはじめ様々な活動への 展開を目的としており、住民の基礎活動としてセービング活動が定着し、協同組合に改組 されてからは、月に・度コミュニティで開かれている定例会(住民会議)が定着するよう になった、住宅改善を目的とした協同組合であるが、これまでの活動を通して、①水道局 との連絡・調整(水道整備)、②電気局との連絡・調整(電気整備)、③区役所で住民登録 証(タイ語:タビアンバーン)の確保、④マヒドン大学との協働によって、コミュニティ

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