発掘 区全体 の層序 は概 ね対応 づ け られ るが(図 6)、 各調 査 区間 の距離 がか な りあ り、廃棄 の 単位 が異 な る可能 性 が強 い ので、地 区・層 ご とに集計 を した (表4)。 これ らの資料 の うち、特 に量 が多 く、 出土状況 か ら一括性が強いのは、
8区
Ⅳ 層 、同V層
同 ピ ッ ト、4区
溝 出土 の各資 料 で あ る。 ただ し、第7地
点 の瓦 は全体 として8区 V層
出上 の「 山 に武 田菱」文 の茶碗 、Ⅲ・Ⅳ 層 か ら出土す る洋釘 か ら、いずれ も明治初期 に廃棄 された もの と考 え られ る。分析 してみ る と、層・ 地 区 に よって瓦 の組成 に若千の違 いがあ るが、 いず れ も平瓦 と丸瓦 が主体 であ り、以 下 で は全体 を一括 して扱 う。
b:分
析 方 法瓦 は一般 に 出土量 が多 く、その大半 が平瓦 の破 片 (近 世 で は桟瓦の場合 も
)で
あ る こ とか ら、報告書作成上 の時間 な どの制約 もあ り、軒丸瓦、軒平瓦 な ど、特徴的 な ものだけを抽 出 して記 述す るに とどま る場 合 が多 い。 また、発掘 時 に採 集 資料 の選択 が な され る場 合 もあ る。 目的 や 現実的 問題 か ら資料 と分析方法 の選択 が な され るの は当然 として も、で きるだ け まず発掘 資料 全体 の何等 かの記述 を し、それ と分析 のため に抽 出 した資料 の関係がわ か るのが望 ま しい。
近 世 の瓦 は種 類 が多 く、 それぞれ の種 類 につ いて、時代 、地 域 、個 々の建築 に よって形 態 的 にか な りの変果 があ る ことが予想 され る。実際 これ まで仙 台城二 の丸跡 の調査では、地点 ご と に瓦 の種類 にかな り違 いがあ り、 これは、 あ る程度近 隣 にあ った建物 の瓦 の違 いを反映 して い る と考 え られ る。
遺跡 出上 の瓦 の量 を種 類 ご とに記述す る場 合 に問題 なの は、資料 の大半 が破 片で あ り、破 片 の特徴 か ら種 類 を同定 しなければな らない点であ る。 そ のためには、各種類 の完形 品が基準資 料 として把 握 され て なけれ ば な らない。 しか し、仙 台城 二 の丸 で は、 どの よ うな種 類 の瓦 が用 い られていた かを、 これ か ら調べ なければな らない段 階 にあ り、最初 か ら破 片の特徴 で細 かい 種 類 まで 同定 し、資料 全体 を記述す る こ とはで きない。調 査地 点 ご とに、異 な った建物 の近 隣 を発掘 す るわ けだか ら、 こ うした状態 は少 な くとも当分続 くと考 え られ る。 また、存在 し得 る 瓦 の種 類 が リス ト・ ア ップ され て いた として も、破 片 か らは ひ とつ の種 類 を特定 で きない場 合 が あ る。 た とえば、軒丸瓦 の瓦 当部が失われた破 片 は、丸瓦 の破 片 と識別 困難であ る。
以上 の点 を踏 まえて、作業員 を使 って、統一 した基準 でかつ迅速 に資料全体を記述す るため に、図16の よ うな整理 の基準 を用 いた。 まず 、資料全体 を破 片の特徴 か ら簡単 に識別 し得 るい くつ か の種 類 に大別 す る。 この段 階 で大別 した種 類 ご との数量 を記述 す る。次 に、可 能 な物 に つ いて は平瓦 、九瓦等 の種類 の レベル に細別 を進 め るが、大量 にあ るものにつ いては (今 回の 場 合 、平瓦 類 と丸瓦類)、 基準 を設 けてあ る程度 以上 の大 きさの ものを抽 出 して観察 し、細別 を
表
4
第7地
点 出土瓦集計表Tab.6 Distribution Of roof tiles at N 1 7
[破片数・重畳(単位kg)の順に表示]
地 区 層 遺 摘 平 瓦 類 丸 瓦 類 軒 平 瓦 軒 丸 瓦 桟 瓦
そ 他
不 明 瓦 稔違 ヽ 面 戸その忙 小 計
1区 1層 3 0 02 10 03
2層 2 26 29 2 03 2 00 72 26
1 0 01 5 02
1層 3 0 9 02
2層 7 1 13 11 1 001 1 02 149 45
瓦溜中 3 21 49 2 07 101 25
3層 502 32 ( 236 286 4 11 14 12 516 176
3区 1層 2 0 4 01 1 004 1 1 001 40 1 1
3層 402 72 〔 335 487 13 4 1 6 10 577 25 5
5層 3 1
瓦致 き 23 48 1 001 58 2 4
4区 63 10( 47 ユ 1 00〔 79 42
3層 7 42 4 8 1 04 3 06 186 79
2層溝理 十 7 33 36 2 02 84 4 0
吾埋± 1層 156 29 1 132 262 2 02 7 08 1 00 3 30 44
善埋 ±■ 6 1 18 34 1 04 1 03 1 1 01 17 07
語埋 土III 2 0 1 001 6 03
5区 l層 2 0 1 004 1 02 21 08
2層 189 41 100 188 3 04 4 10 233 15 2
3層 ■3 24 58 122 2 17 13 40 2 04 48 26
1層 3 0 10 09 29 1 2
)it l
Dit 2埋 土 12 [ 02 4 01
7区 1層 5 0 29 14
2層上 2 1 01
3層 11 2 05 28 13
田層 04 2 02 1 1 06 33 1 5
II層 24 37 45 34 1 001 1 01 14 20 [17 42
V層 721 257を 194 566 6 19 14 114 6( 3 117 36 0 480 24 0
V層 88 39 31 166 13 94 4 12 53 47 2 6
′I層 10 2 02
茄tl埋±1 134 51 60 188 1 01 ユ 1 2 07 122 61
五t2理■1 1 01 2 06
1埋 上1 3 12 25 15 09
再1理■2 1 0 4 04 4
11層1号 溝内pit 5 5 13 22 1 1 00+ 1 3 07 31 18
9区 層 3 0 19 01
H層 11 1 5 03 1 01 32 15
MI層 6 l 12 07 38 1
IV層 158 37( 148 242 1 09 6 19 2 04 16 39
V層 5 2 8 28 2 09 18 0
Ⅵ層 1号 潜上部 2 2 00̀ 3 02
川隠 埋 土 1 0 1 00と
咄I層 2 2 04
その他撹乱 ビット 2 0 5 06 6 0
10区 I層 10 09
H層 5 0 25 0
II暦 59 197 43 81 3 16
V層 5
'1 1 8
1 00( 1 1 2 03 52 2
39 10 ̀ 41 80 1 00[ 1
「I層 10 3 17 22 2 02 20 1 4
11区 I層 9 17 11 09
H層 2 0 1 02 1 1 01 3 02
V層 15 32 2 04 1 1 02 36 2 2
n層 54 11 65 10 1 08 3 151 1 05 II 1 007 54 4 0
Ⅲ層 86 10 25 67 2 11 1 001 1 05 11 ユ 2 06 44 31
X眉 76 18 37 70 1 00̀ 3 02 11 1 01 82 50
層 9 12 1 02
F区 層 3 1 0041 5 02
不 明 36 10 23 3 4 I 11 12 32 19
不明とえ採 3 50 1 20 2 21 1 1 06
計 3268 8120 985 363 0 106 440 258 66 131 1897上
完形平均童畳 2 385 225 6251
徐重 量 平吻 重量 3405 1613
図
16
瓦分類 の手順Fig.16 0peration aow of roof tile analysis
T r 上
下 に r 上
厚 は各瓦 とも概ね中央で計測 (輪違 いのみ下端 の厚)
□
面 戸 瓦
図
17
瓦 の計 測 部 位巳 日 日 日 日 □
岬 長
一 閑
︲ 用 ︲ ︲
回 習 嬰 下 脂 上
(瓦中央 で)
平
瓦
子 □
甲
Fig.17 Points of rneasurements on roof tiles
行 う。細別 は、各種類 の固有 な特徴 お よび大別時 の経験 に も とづ いた基準 で分類す る。 もちろ ん最初 か ら細分で きれば、それ に越 した こ とは ないが、細別不能 な破 片 も多 く、複雑 な基準 は 作業 員 の間で混乱や不統一 を生 じるので、実際的 な方法 を採用 した。
次 に細 別 した資料 の中か ら、あ る程度 以上 の大 きさの資料 を抽 出 し、各種類 内での大 きさの 変異 の把握 、お よび製作法上 での分類 が可能 か ど うかをみ るため計測や細部 の観察 を行 う (細 別 以前 に抽 出を行 った ものは、それをその まま計測・観察 の対象 とす る)。 瓦 の場合 、形 態 に部 分的 な変異 が多 いので、実際 に細 片 まで細 か く観察 してみ て も、瓦全体 の他 の部 分 の特徴 との 組 合せ が掴 め ないので、 まず 、あ る程度以上 の大 きさの資料 を使 って、分類 の基準 を作 らなけ れ ば な らない。 しか し、今 回の第
7地
点 の よ うに結果 として抽 出で きた資料 、す なわ ちあ る程 度 以上 の大 き さの資料 が少 ない と、量的保証 が ないため、種類 内での大 きさや製作技法上 の細 か い グル ー プ分 けがで きない。結局 、接合 しない瓦 の細 かい破 片 は、あ ま り分析 に使 えない ことにな る。
C:瓦
の大別次 に、上述 した分析方法 におけ る大別 の基準 を述べ る。今 回の分析 の分類・ 名称 は、軒 巴瓦 を考古学 で一般的 な軒丸瓦 に した以外 は、概 ね坪井利 弘1976『 日本 の瓦屋根』 に準拠す る (図
18)。
軒 丸 瓦類
丸 い瓦 当部 を持つ瓦 の総称。 鳥伏 間、掛瓦、菊丸 な ど、棟 に使 うものの破 片 も含む。直径90 mm程 度 の ものは軒桟瓦 の瓦 当 なので、桟瓦類 に分類す る。
軒 平 瓦類
四角 い瓦頭部 を持つ瓦 の総称。棟 に 使 う掛唐 草 や 、軒桟 瓦 の丸 い瓦 当部 が 失 わ れた もの も含 まれ得 る。
丸 瓦類
丸瓦 と同 じ く、内面 に布痕 を伴 う湾 曲度 の強 い胴部や玉縁 を持つ もの。軒 丸瓦類 の瓦 当の失われた もの、掛瓦 、 輪違 い な どの細 片 が含 まれ得 る。
数量 が多 いので、長 さ・ 頭部 幅・ 尻 部 幅 の いず れ かが残 って い る ものを抽 出 した上 で、種類 ご とに細分す る。今 回 は「丸瓦」 のみ抽 出 された。
雰 葦 第絆電 離面 de
面戸瓦 filler tile
round ridge deCOration tile
/平
瓦 flat tile 丸 瓦 rOund tile軒平瓦 flat eaves tile 軒丸瓦
round eaves tile
図
18
瓦屋 根 復 元模 式 図Pl 18 Restored illustration of a roOf at Nふ 江7 (坪 井
1976
図28よ り作 製)伏間瓦 ridge cover tile
平 瓦類
板 状 の部分 を持 つ瓦 の破 片の総称。平瓦、桟瓦類、叉 斗瓦、軒平瓦類 の瓦 当部 か ら外れた部 分 、装飾瓦 の装飾 か ら外れた部分 な どが含 まれ得 る。50mm未 満 の破 片で他 の項 目に分類で きる 特徴 のない ものは、「平瓦類」 に含 まれ る可能性が高 いが、厳密 を期 して「不 明」 として扱 う。
数量 が多 いので 、長・ 幅 いずれかの完全 に残 ってい るものを抽 出 した上 で、形態的特徴 か ら 細 分 した。 当地点 で は平瓦 と焚 斗瓦 の一種 が区分で きた。
桟 瓦類
桟部分 が識別 で きるもの。桟瓦葺 きに使 われ る全体 が
S字
状 に波 うつ タイ プ と、塀桟瓦、棟 桟瓦 な ど板状 の桟 の部 分を張 り付 け る桟瓦含む。その他
焚 斗瓦 、輪違 い、面戸瓦、道具瓦類 、装飾瓦類 な どで最初 か ら細 分で きる特徴 を備 えた もの。
以上 の大別作業 の途 中で、形態的特徴 の他 に、釘穴、亥J印、櫛 目、水切 り溝 の有無 も確認 し た。次 に、種 類 ご とに細分 した上 で、計測や細部 の観察 を行 い、それぞれの種類 の中での変異 を分析す る。胎土 に よる分類 も考 え られ るが、 これ には充 分 な基礎研究 に基づ く有効 な観察基 準 を もって観 察 しなけれ ば意味がないので、今回は行わ なか った。
di各
種類 の特徴 軒 丸 瓦 (図19〜 22)丸瓦部 の完形 品 は
3点
のみ なので、実際 には菊丸 と鳥伏間を除 く軒丸瓦類 を合む ことにな る。瓦 当部 の周 が
4分
の1以
上 残存 してい る ものを抽 出 し、計測観 察 の対象 とした。紋様 :九曜 紋 が最 も多 く、次 いで三 引両紋、巴紋 となる。
8区
で は、三引両紋 はお もにⅣ層 以上 で、九躍紋 はV層
以下 で 出土す る。他 に4区
の溝 よ り桐紋 が1点
出て い る。 それぞれの紋 様 につ いてい くつ か の範 があ るよ うだが、同範 の認定 は難 しい。形 態 :瓦当部 の直径 は概 ね165mm〜 175mmで 、
5.5寸
の瓦 と考 え られ る。5寸
と考 え られ る一 回 り小 さい瓦 当 も2点
み られ る。文様 ご とに直径 に差 は無 い。 周縁 の幅は、三 引両 がやや狭 い 傾 向が あ る。菊丸 (図21・ 22)
直 径約 120mmの 瓦 当で、大 きさか ら菊丸 と推定 され るものが、
2区 3層
と5区 3層
に各2点
み られ る (図21・22‑17〜
20)。 瓦 当部 を欠 いてい るが、大 きさか ら菊丸 の丸瓦部 と推定 され る も のが8区
Ⅳ層 よ り3点
出上 して い る(図22‑23)。 同 じ く組棟 に使 われ る輪違 い と比べ る と量 が 非 常 に少 ないので、輪違 い と同 じ屋根 には使われ なか った可能 性 もあ る。鳥伏 間 (図
22‑22)
表採 品が
1点
確 認 され て い る。﹄︻︻︻ 中﹈﹃﹇
﹁﹇中中 山﹇中い
・ i﹃ ︲ ︲ ︲
× 彗
r竜彗
S葦` 再
0 10cm 図
19
第7地
点出上軒丸瓦(DFig.19 Round eaves tiles frOm NM 7(1) lid.of 19c.
0 1ocm 図
20
第7地
点出土軒 丸瓦(2)Fig.20 Round eaves tiles from NW1 7(2) Mid.Of 19c.
中.中中中 ﹇
︲ ︲ ﹇中︼J︲中 山﹃﹇︼和
︲ V 中レ ﹈
亀 篭 科 瑠 一
︲︲
︱ 一 計 縫韓 避斜 騒 轟 イ
﹁打 引 沼 T U
図
21
第7地
点 出土軒丸瓦(3)Fig.21 Round eaves tiles ttom NM 7(3) Vfid.of 19c.
││
二
23
は
︲・ヽ 一
率粛`遺目熙驚露露嵌i
l、
く遜手 F
図
22
第7地
点 出土軒丸瓦徽)・ 軒平 瓦(1)Fig。22 Round eaves tiles and nat eaves t』
esfrom NM 7 Mid.of 19c.
∩
軒 平 瓦 (図22・ 23)
瓦 当部 の模様 か ら次 の
9種
類 が識別 で きた。I
唐 草 十二枚笹 :破片 だ が、唐草 の形 が、三枚笹 を組合せた表採 品の軒桟瓦 (図 38‑98)、仙 台城二 の丸 出上 の軒平瓦 の文様 と共通 し、かつ笹文 の一部 が確認で きる (図22‑24。 25)。
H
唐 草+雪
持笹 (図22‑26〜
29)。Ⅲ
唐 草 十四弁 花 (図22‑30、 図23‑32)。
Ⅳ
唐 草 十梅 (図22‑31、 図23‑33・ 34・ 36)。
V〜
Ⅷ細 片 のため 、模様 の全体形不 明 (図23‑35・ 37・ 38・ 39)。
Ⅸ
菊 十
?;形
態が他の軒平 と異なる。2点
有 り、同範である (図23‑40・ 41)。資料数が少な く、瓦が最 も多い
8区
で も軒平瓦は9点
のみである。 したが って文様・ 形態 と 出土地点・層 との関係は論 じられない。表
5
第7地
点出土軒丸瓦観察表表
6
第7地
点出土軒平瓦観察表 Tab 5 Notes on round eaves tiles at Nい 71 7 Tab.6 Notes on flat eaves tiles at NⅢ71 7単位mI( )は 復元値
平均値等は復元値を含む
単位mm
図 文 様 地 区 層 遺 構 径 周 縁
ユ 九 曜 5区 2層 17
2 3層 160
3
8区 IV)詈 167
5
6 V層
7 171
8
9 pit l, 埋1
三 引 Ⅳ 層
11
(147) 11
11区 2層
巴 2区 3層
巴 十 連 珠 8区 IV層 (171)
V層
17 菊 九 ・ 菊 2区 3層
5区 (121)
(122)
桐 4区 濤 埋 1 (174)
鳥 伏 間・ 三 引 4区 溝 埋 土 (172) 8区 IV層
九 曜・ 三 引・ 巴 の 軒 丸 瓦 の み
n ︻ s x
m m
30 176 147 168 4
71
図 文 様 型 地 区 層 遺 構 垂 長 幅
I 5区 2層
8区 IV層
II 3区 3層
4区
10Dこ III層
3区 3層
9区 Ⅳ 層
5区 2層
11区 Ⅵ‖層
IV 5区 2層
3層
V 8区 IV層
11区 Ⅵ 層
4区 溝1埋±1層
38 V 1区 2層
8区 IV,冒
2区 3層