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単元前 単元後
図5統制感の変化(チ・一・・ム別)のグラフ
第三節 授業実践の課題
前節の考察から,本実践による成果はあったと考えるが,すべての児童の「運動有能感」
の得点を有意に高めることができたと書うことはできない。そこで,筆者は本実践の課 題を3点考えた。それは,「運動有能感」の上位群の得点を有意に高めることができなか ったこと,「運動有能感」の男子群の得点を高めることができなかったこと,「運動有能感」
の全チームの得点を有意に高めることができなかったことである。これらの原因として,
以下の2点を考えた。
1点目は,本実践で学級全体の「身体的有能さの認知」,「統制感」の上位群,男子群,
女子群,全チームの得点を有意に高めることができなかったことである。その主な理由 は,本実践では基礎的な技術(インサイドキック,トラッピング,ボールを受けるため の動き)を獲得するための練習を行ったものの,自分の技能が向上していることを実感 する機会が無かったことによるものと考える。そのため,自分の技能が向上しているこ
とを客観的に認識できる工夫が必要であったと考える。
2点目は,本実践で「受容感」の上位群,男子群,全チームの得点を有意に高めること ができなかったことである。「受容感」の上位群の得点を高めることができなかった主な 理由は,もともと「受容感」の得点が高かったため,仲間から認められる機会はあったと しても,それがより強く「みんなに受け入れられている」と自信をもつには至らなかった ことによるものと考える。「受容感」の男子群の得点を高めることができなかった主な理 由は,多くの男子児童が休み時間にサッカーをするなど,日常生活でサッカーに親しむ 機会があるため,体育科授業でサッカV一一一・をして,チームの仲間と仲良くできるか,失敗
などをしてチームの仲間に迷惑をかけないかなどの不安が小さく,仲間から認められる 機会はあったとしても,それがより強く「みんなに受け入れられている」と自信をもつに は至らなかったことによるものと考える。「受容感」の全チームの得点を高めることがで きたかったことは,「受容感」の上位群,男子群の得点を有意に高めることができなかっ たことが影響していると考える。そのため,練習やゲームの時に認め合うだけでなく,
学級全体で仲間の頑張りを認め合う場を設ける工夫が必要であったと考える。
以上のように,課題を解決するためには,①自分の技能が向上していることを客観的 に認識できる工夫,②学級全体で仲間の頑張りを認め合う場を設ける工夫が必要である
と考える。それを踏まえ,改善した学習指導案を,第五章に掲載することとする。
第五章 改善学習指導案と解説
改善学習指導案を示す。
〈改善学習指導案〉
5年置組 体育科学習指導案
授業者 平峯紘 1.単元名 5Aのサッカーをつくろう
2.単元目標
・パスをする,ボールを止める,ドリブルをするというボール操作をしたり,ボールを 保持する人からボールを受けることのできる場所に動いたり,チv一一・・ムの作戦に基づい た位置どりをしたりすることができる。 (技能)
・ルールを守り,協力し,進んで練習やゲームに取り組み,場や用具の安全に気を配る ことができる。 (態度)
・ルールを工夫したり,自分のチームの特徴に応じた作戦を立てたり,それをもとに練 習の仕方を考えたりすることができる。 (思考・判断)
3.単元設定の理由
本学級の児童は男子17名,女子20名の計37名で構成されている。多くの児童が体育 科授業に意欲的に取り組むことができている。休み時間には運動場に出て,サッカーを
している姿も見られる。その反面,技能が低かったり,自信をもつことができなかった りする児童もいるため,そのような児童がチームに貢献することで楽しさを味わうこと ができるように指導する必要がある。また,ねらいをもたずに攻撃方向にボールを蹴り だしたり,ドリブルをしすぎてボールを奪われたりする場面が多くみられる。そのため,
パスをつないだり,チームで作戦を立てたりすることで,意図をもったプレーができる ように指導する必要もある。
ボール運動は,ルールや作戦を工夫して,集団対集団の攻防によって競争することに 楽しさや喜びを味わうことができる。その一方で,児童による技能の差が大きく,「でき
る」「できない」がはっきりとした運動でもある。そのため,全員が楽しく安全にプレーで きるようにルールを考え,技能の低い児童でも,ボールに触り,チームの一員として試 合に貢献できたと実感できるように授業を進めることが大切である。本単元で行うサッ カV・…は,コートの両側に相手からボールを奪われることなく,自由にボールを操作する ことができる「サイドアタッカー」と,パスを受け取ることで自分のチームに得点をもた らす「ゴールマン」というポジションを設けている。これらはボールを奪われる心配がな く,落ち着いてボールを操作することで攻撃に参加できたり,ボールを受け取ることに
専念することができたりするポジションであるため,技能が低い児童や自信をもつこと ができない児童でも試合に貢献できたと実感しやすくなっている。また,これらのポジ ションを設けることによって,攻撃側にとって数的優位な状況をつくることができるた め,パスをつないで攻撃したり,攻撃が成功したりする楽しさを味わうことができる。
指導にあたっては,自分たちで意見を出し合ってルールを作ることから始める。その 際,自分たちでつくったルールであることを意識させることで,全員が楽しんでプレー できるように試合を行おうという気持ちがもてるように指導していきたい。試合ではサ イドアタッカーを有効に使い,パスを回して攻めるように指導することで,仲間が受け 取りやすいパスや,パスを受け取るための動きをすることができるようにしたい。また,
チV一一一 ムで作戦を考えてそれを試合で実践するように指導することで,作戦を成功させる ためにはどのようにすれば良いか考え,仲間で協力することや,意図をもったプレーが できるようにしたい。このような指導を通して,サッカーをする楽しさを味わうことが できる児童になってもらいたい。
学習過程(全10時間)
次 時間 学習活動
第一次 2時間 5Aのルールをつくろう
@ゲームの内容を知り,5Aのルールをつくる。
@・ゲームの行い方(各ポジションの特性,人数)を理解する。
@・5Aのルール(オフサイド,ハンド,コーナーキック,ゴールキッ
@ ク,交代等について)をつくる。
A試しのゲームをする。
@・準備運動(準備体操,ボール操作)をする。
@・学習課題の確認をする。
@・試しのゲームをする。
@・学習のまとめをする。
第二次 3時間 テクニックを身につけよう
B〜⑤基礎的な技術を獲得するための練習とゲームをする。
@・準備運動(準備体操,ボール操作)をする
@・学習課題の確認をする。
@・練習(ドリブル,インサイドキック,③④ほズキルデズトを実施)
@をする。
@・ゲームをする。
@・学習のまとめをする。
第三次 2時間 作戦を成功させよう
E〜⑦作戦をたて,ゲームで実践する。
@・準備運動(準備体操,⑦はスキルテヌ1トを亭亭)をする。
@・学習課題の確認をする。
@・チーム練習をする
@・ゲームをする
@・学習のまとめをする 第四次 3時間 5Aワールドカップを開催しよう
G〜⑩リーグ戦を戦う
@・準備運動(準備体操,⑩ぱスキルテストを実施)をする。
@・学習課題の確認をする。
@・チーム練習をする。
@・ゲームをする。
@・学習のまとφをする。
1.単元名 5Aのサッカv一一・をつくろう(第1次第1時)
2.本時の学習 (1)目標
・ルールのある意味や,5Aのルールを考えることができる (2)展開
(思考・判断)
学習活動 指導上の留意点と評価
1.学習課題の確認をす
一
る。5Aのルールをつくろう。
2.ゲームの行い方を ・ゲームの行い方を説明する。
理解する。 ・各ポジション(サイドアタッカー,ゴールマン,フリーマ
ン)の動き方の動き方が理解できているか,その都度,児 童の様子を見る。
3.5Aのルールをつくる ・なぜルールがあるのかを考えさせることで,ルールは楽しく,
・なぜルールが必要な 安全にプレーするためにあることを理解できるようにする。
のか考える。 ◎ルールのある意味を考えることができているか。(思・判)
・5Aのルールをつく ・意見が出ない場合は,教員側から「○○の場合はどうします
る。 か」というように質問をして,児童が考えることができる ようにする。
・自分たちで決めたルールであることを確認することで,児童 が主体的に取り組めるように,意欲づける。
◎5Aのルールを考えることができているか。(思・判)
・オフサイドはとらない。 ・ボールが偶然手に当たった場合はハンドではない。
・ボールが外に出た場合はキックインで始める。等 4.グループ分けの発表
をする。
5.学習のまとめをする。
・決められたグループで一緒に協力していくように伝える。
・自分たちでつくった5Aのルールをしっかりと守ることを伝え
る。