• 検索結果がありません。

 第4次第1時,第2時,第3時では,これまで学習してきたドリブルやインサイド キック,トラップ,ボールを受けるための動きといった技術を試合の中で取り入れな がら,チームの作戦を成功させ,リーグ戦を戦うことをねらいとしていた。

 これまで練習してきたすべての技術をゲームの中で使えているとは言えないものの,

トラッピングをする児童の姿は多く見ることができた。試しのゲームの時と比較する と,児童の動きが活発になっていることは明らかであった。

アタッカーゾーンに,誰でも入ることができるようにしたことである。2点目は,ゴ ールマンはゴールマンゾーンから出て,フリーマンゾーン,サイドアタッカーゾーン でもプレーをできるようにしたことである。それまで,サイドアタッカー,ゴールマ ンをしていると,運動量が低くなる傾向があった。しかし,一点目のルール変更によ って,サイドアタッカーゾーンの中であまり動くことのない,運動量の低い児童の姿 は見られなくなった。一方で,これまで主にサイドアタッカーをしていた児童の中に は「前のサイドアタッカーの方がボールをさわれた」という感想も見られた。また,二 点目のルール変更によって,ゴールマンが攻撃や守備に参加する動きがみられるよう

になった。

 その他,ゴールマンをしている児童の中には,味方からパスをもらうために,左右 に大きく動き,相手の守りを振り切ろうとする姿が見られた。

 第4次はチーム,個人で目標を設定し,振り返りをさせていた。多くの児童が,目 標に対する振り返りができていた。しかし,「勝つ」という目標の記述が多く,そのた

めにどのようなことをするのかという具体的な目標の記述は少なかった。また,勝つ ことができなかったときでも,精一杯動けたことを評価する記述がみられ,勝つこと 以外の面で楽しみを見出すことができている児童も見受けられた。

第二節 「運動有能感」の事前と事後の比較と考察

 本単元が「運動有能感」に及ぼす影響に検討を加えるため,単元前後に測定した児童の

「運動有能感」の分析を,学級全体,上位群・下位群別(単元前の各因子と「運動有能感」

の得点の高い順から人数の50%を基準として,「上位群」と「下位群」に分けた),男子群・

女子群別,チーム別に分けて行った。分析したデータは,欠損のあるデータを省いた完 全回答のみを扱った。

(1) 学級全体

 表1は単元前,単元後における「身体的有能さの認知」,「統制感」,「受容感」,「運動 有能感」の平均値と標準偏差,分析したデータ数,F値を示したものである。

 分析の結果,単元後の「受容感」,「運動有能感」の得点が有意に高まった((受容

感:F(1, 30);11.89,p〈.01),(運動有能感:F(1,30)ニ5.21, p<.05))。

 「受容感」については,得点が有意に高まった。第3次以降において,授業時間外に チームで話し合うことによって,作戦やポジション,作戦タイム(授業時のチームで の練習時間)の使い方,チーム目標を決めたり,授業の前半部分にチームで練習をし たり,ゲームをしたりすることによって,「みんなに受け入れられている」という自信 をもてたことが,「受容感」の得点が有意に高まったことに影響したと考える。

 「運動有能感」については,得点が有意に高まった。これは,「運動有能感」を構成す る3因子のなかでも,特に「受容感」の得点が有意に高まったことが影響したと考える。

表1運動有能感の変化(学級全体)

単元前 単元後

M(SD)N M(SD)N

t検定

白l

身体的有能さの認知 9.13(3.60)31 9.52(3.41)31

統制感 13.26(3.61)31 13.87(2.99)31

受容感 13.13(2.89)31 14.55(3.07)31 11.89林

運動有能感 35.52(8.23)31 37.94(6.92)31 5.21*

(*pく.05, **p〈.01)

(2) 上位群・下位群

 表2は単元前,単元後における「身体的有能さの認知」,「統制感」,「受容感」,「運動 有能感」の上位群と下位群の平均値と,標準偏差,分析したデータ数,F値を示したも

のである。

 「身体的有能さの認知」については,分散分析の結果,群の主効果が有意であった。

測定時期の主効果は有意でなかった。また,交互作用については,有意傾向があった

(F(1,29)ニ3.09,p〈.10)。そこで,各個において単純主効果を分析した結果,どちらの 群も有意でなかった。

 「統制感」については,分散分析の結果,群の主効果が有意であった。測定時期の主 効果は有意でなかった。また,交互作用については,有意であった(F(1,29)=9.82,

p<,01)。そこで,層群において単純主効果を分析した結果,下位群が有意であった。

 「受容感」については,分散分析の結果,群の主効果が有意であった。測定時期の主 効果も有意であった。また,交互作用については有意傾向があった(F(1,29)ニ3.66,

p〈.10)。そこで,各回において単純主効果を分析した結果,下位群が有意であった。

 「運動有能感」については,分散分析の結果,群の主効果が有意であった。測定時期 の主効果も有意であった。また,交互作用についても,有意であった(F(1,29)=11.35,

p<.01)。そこで,各群において単純主効果を分析した結果,下位群が有意であった。

  の コ ロロ   ヘ       ロ     ロコ リリ       コ ノ ロ し      ノ  ゐ      の  ヤ     セ      ドコ つレ  ヘ ロ つ ぜ     ん  か

 1統制感」については,卜位:群において得息が有怠に局まつTC。刷目:群の児墓の多氏 は,日常生活でサッカーに親しむ機会が少なく,単元の序盤の試合ではボールに触る 機会が少なかったが,単元を通して,「サイドアタッカー」や「ゴールマン」を経験する ことで,ボールに触る,パスを受ける,パスが通るといった経験を多くもっことがで きるようになったと考える。また,「フリーマン」の経験を通して,ボールに積極的に 向かうことができるようになったと考える。「個人目標カード」の振り返りの部分には,

「5回ぐらい,ボールに,さわれた」,「ボールをいっぱいけれました」という下位群 の児童の記述がみられた。そこからゲームでボールをさわることを意識し,実際にそ れができたことで自信をつけている児童の気持ちを読み取ることができる。このよう な経験によって,「頑張ればできるようになる」と自信をもてたことが,「統制感」の得 点が有意に高まったことに影響したと考える。

 「受容野」については,下位群において得点が有意に高まった。単元前の下位群の児 童の多くは,日常生活でサッカーに親しむ機会が少ないため,体育科授業でサッカー をして,チームの仲間と仲良くできるか,失敗などをしてチームの仲間に迷惑をかけ ないかなどの不安を抱えていたと考える。しかし,第3次以降において,授業時間外 にチームで話し合うことによって,作戦やポジション,作戦タイム(授業時のチーム での練習時間)の使い方,チーム目標を決めたり,授業の前半部分にチームで練習を

したり,ゲームをしたりする中で,予想していた以上に仲間から認められたことによ って,「みんなに受け入れられている」と自信をもてたことが,「受容感」の得点が有意 に高まったことに影響したと考える。また,「個人目標カード」の振り返りの部分には,

「ボールが外に出そうだったのでぼくがさわったらA君が「ナイス」と言ってくれまし た」,「相手がボールを入れようとしたのを,とめて,「ナイス」と同じチ・一一・一ムの人にい われたので,うれしかったし,楽しかった」という下位群の児童の記述がみられた。こ のことから,「受容感」の下位群の得点の変化には,同じチームの人から認められると いう経験が強く影響したと考える。

 「運動有能感」については,下位群において得点が有意に高まった。単純主効果の分 析の結果から,特に,「統制感」の下位群,「受容感」の下位群の得点が有意に高まった

ことが,このことに影響したと考える。

表2 運動有能感の変化(上位群・下位群)

単元前 単元後 2要因分散分析

測定時期の

単純主効果 群の主効果 交互作用

N

(SD) MEAN (SD) F値 F値 主効果 F値

F値

上位群 15 12.27 (2.26) ll.73 (2.59)

55,72紳 0.49 3.09+

下位群 16 6.19 (1,55) 7.44 (2.69)

上位群 14 16.57 (2.06) 15.79 (2.65)

9.82帥

43.27樽 1.45

下位群 17 10.53 (1.94) 12.29 (2.24) 9.41韓

上位群 18 15.06 (1.96) 15.83 (2.65)

3.66

25.57韓 14.90弊

下位群 13 10.46 (1.55) 12.77 (2.69) 16.67紳

上位群 16 41.75 (5.24) 41.19 (5。63)

27.46韓 7.58躰 11.35纏

下位群 15 28.87 (4.99) 34.47 (6.47) 18.74齢

Cp〈.10,  pく.05,  p<.01)

1:

il

:1

.一・一一一一一一一一・一一一一・

酬h上位群噌P下位群

単元前   単元後

図3−1 身体的有能さの認知

18 16 14 12

10 ・

8−

6 4・

2 ・

o一

.一一一一一一一・一一一一一一一・一・

単元前

墲「上位群

 昏下位群

単元後

図3−2統制感

ユ       ら

ii;ニニ   li・=:フ

:i

4         →一上位群       ユoi         →一上位群

       r下位St :   ll、 †・雌

 単元前    単元後       単元前    単元後

図3−3受容感      図3−4運動有能感     図3 運動有能感の変化(上位群・下位群)のグラフ

(3) 男子群・女子群

 表3は単元前,単元後における「身体的有能さの認知」,「統制感」,「受容感」,「運動 有能感」の男子群と女子群の平均値と,標準偏差,分析したデータ数,F値を示したも

のである。

 「身体的有能さの認知」については,分散分析の結果,群の主効果,測定時期の主効 果は有意でなかった。また,交互作用については,有意傾向があった(F(1, 29)=4.00,

p〈.10)。そこで,各群において単純主効果を分析した結果,どちらの群も有意でなか

った。

 「統制感」については,分散分析の結果,群の主効果,測定時期の主効果は有意でな かった。また,交互作用についても有意でなかった。

 「受容感」については,分散分析の結果,群の主効果が有意であった。測定時期の主 効果も有意であった。また,交互作用については有意傾向があった(F=(1,29)=3.82,

p<.10)。そこで,各国において単純主効果を分析した結果,女子群が有意であった。

 「運動有能感」については,分散分析の結果,群の主効果は有意でなかった。測定時 期の主効果は有意であった。また,交互作用については,有意であった(F(1, 29)=5.18,

p〈.05)。そこで,各群において単純主効果を分析した結果,女子群が有意であった。

 「受容感」については,女子群において得点が有意に高まった。単元前の女子児童の 多くは,日常生活でサッカーに親しむ機会が少ないため,体育科授業でサッカーをし て,チームの仲間と仲良くできるか,失敗などをしてチームの仲間に迷惑をかけない かなどの不安を抱えていたと考える。しかし,第3次以降において,授業時間外にチ ームで話し合うことによって,作戦やポジション,作戦タイム(授業時のチームでの練 習時間)の使い方,チーム目標を決めたり,チームで練習をしたり,ゲームをしたりす る中で,予想していた以上に仲間から認められたことによって,「みんなに受け入れら れている」と自信をもてたことが,「受容感」の得点が有意に高まったことに影響したと 考える。

 「運動有能感」については,女子群において得点が有意に高まった。単純主効果の分 析の結果から,特に,「受容感」の下位群の得点が有意に高まったことが,このことに 影響したと考える。

関連したドキュメント