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近赤外光検出特性

ドキュメント内 ナノアンテナ構造体を用いた (ページ 52-55)

第 4 章 金/シリコンナノアンテナを用いた近赤外光シリコン光検出器

4.5 近赤外光検出特性

これらの光応答を評価するための感度指標として、単位入射強度(W)あたりに生じる光電

Fig.4.6 シリコンナノアンテナ構造体を用いたプラズモン共鳴型シリコン赤外光検出器

の近赤外光応答特性

(a) 測定系

(b) 波長λ=1.1μmの近赤外光を入射したときの光応答特性

(c) 波長λ=1.1μmの近赤外光を入射したときの光応答特性

(d) 入射近赤外光の波長に対する、感度との関係

iphの絶対値(A)で定義される光検出感度(Responsivity)(A/W)を導入した。

光電流の絶対値は、光ON時とOFF時の電流量の差と定義して算出した。従って、この絶対 値は入射光による電流値を示している。入射光の波長とResponsivityの関係を1.1~1.8 μmの波 長帯において取得し、図4.6 dにまとめた。ϕ = 550nmのデバイスにおいて、波長1.7μmの感度 が、0.42mA/Wと、リファレンスデバイスの11倍の感度を持つことが分かった。波長比較用の ナノアンテナを持たないリファレンスデバイスと比較して、ナノアンテナを持つデバイスでは、

1.1~1.8μmの波長帯において、最大10倍の感度向上がみられ、ナノアンテナの有効性が確認さ

れた。特に、波長1.1 μmでは、ϕ = 550nmのデバイスはリファレンスデバイスと比較して、約 23倍の光電流を得ている。また,ϕ = 550nmのデバイスの方が、ϕ = 375nmのデバイスと比較し て約7倍の大きな光電流を生じている。これは、図4.4 cの反射率計測データから見られるよう に、ϕ = 550 nm のデバイスのほうが低い反射率を示しているので、結果的に高い光吸収を実現

表4.2既存研究との比較

構造 金属 半導体 波長

[μm]

感度

[A/W] 文献

プラズモン共鳴

(LOCOS

を用いたナノ構造)

Au p型Si

1.31 13.3×10-3

[36]

1.40 1.40×10-3 1.55 0.25×10-3 プラズモン共鳴

(Au

のナノロッド構造)

Au/Ti n型Si 1.3 8.0×10-6 [37]

プラズモン共鳴

(Auの

金属グレーティング構造)

Au/Ti n型Si 1.45 0.60×10-3 [38]

本研究

(ナノアンテナの径 ϕ = 375 nm)

Au/Cr n型Si

1.30 0.1×10-3 1.40 0.07×10-3 - 1.80 0.25×10-3 本研究

(ナノアンテナの径 ϕ = 550 nm)

Au/Cr n型Si

1.30 0.30×10-3 1.40 0.20×10-3 - 1.80 0.40×10-3

できているからだと考えられる。また、表4.1に示すように、今回の試作では、ϕ = 550nmのデ バイスの方がϕ = 375nmのデバイスよりも、ショットキー障壁が約0.03eV低いため、得られる 光電流が大きくなり、両者の感度の差に寄与した可能性がある。一方、感度上昇については、

ナノ構造体のある検出器と、ない検出器(リファレンスダイオード)と比較しおよそ40%の実 効的な表面積上昇となる。一方、ナノ構造体の有無で、近赤外領域において感度が一桁上昇し たことを考えると、この感度向上は、ナノ構造体を用いた光吸収効果による感度向上であると 考えられる。また、図4.4 cに示した反射特性と、図4.6 dに示した分光感度特性の傾向が完全 に合致しない理由については、評価光学系の差であると考えている。つまり、図4.4 cでの光学 系において、装置の構成上、入射角度に顕微FTIRのNA(0.5)による0°~30°の幅が生じてい る一方、図4.6に示した、レーザ照射実験のときには、ほぼ0°の垂直入射であった。入射角度 により、プラズモン構造の吸収特性に変化が見られるため、この評価光学系の差が、このよう な合致しない傾向を生み出している一因になっていると考えている。以上により、ナノアンテ ナによる近赤外光検出感度の増大を確認できた。また、序論表 1.1 に示した、プラズモン共鳴 を用いた光検出器の既存研究(実測結果)と比較するために、得られた結果を表 4.2 にまとめ た。これらの結果から、従来研究と比較し、長い波長領域で動作していることがいえる。更に、

提案した光検出器と似た、ナノロッドを二次元方向に展開した用いた光検出器[37]では、波長

が1.30μmで8μA/Wである一方、提案した光検出器(ナノアンテナの径がϕ = 550nmのデバイ

ス)では、0.30mA/W と大きいことが分かり、本検出器で示した、三次元構造の有効性を確認 することができた。また、入射角度依存性が強い、グレーティング構造についての既存研究例 [38]と比較しても、感度が同じオーダであることが分かった。以上から、提案した光検出器は、

近赤外領域での光検知に有望であることが分かった。

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