第 5 章 金 / シリコンナノアンテナを用いた赤外光シリコン光検出器のカットオフ波長の長
5.3 光学特性
分かり、検知波長を、波長3μm程度の中赤外領域に伸ばせる可能性があることが分かった。た だし、ナノアンテナの光吸収が中赤外領域に存在しなければ、赤外光を吸収しないため、中赤 外領域に於ける光検知ができない可能性がある。そこで、次項にて、ナノアンテナの中赤外領 域における光吸収特性を取得し、検証を行った。
値の位置λp がナノアンテナの直径により、シフトしていることがわかる。変化の方向は、アン テナが太くなるにつれて、短い波長側にシフトしており、一定の傾向がみられた。反射が減少 する波長帯においては、ナノアンテナ構造により、光が吸収されたことに起因すると推測され るが、光の消失は必ずしも吸収とは限定されず、散乱などの別の過程で失われた可能性もある。
そこで、第3章にて述べた、有限要素法(COMSOL Multiphysics 5.2a)による計算を行った。そ の結果について、図5.5に示す。
ナノアンテナ構造による反射のスペクトルは、図5.5 a、及び図5.5 bに示すように、FTIR計 測と同様に中赤外領域でディップ点を持つ、類似した形状を示した。また、図5.5 cに示した、
Fig.5.5 シリコンナノアンテナ構造体を用いたプラズモン共鳴型シリコン赤外光検出器に
おける、中赤外領域の光反射特性の計算結果
(a) シミュレータ(COMSOL)による光反射特性の計算結果
(b) ディップ波長(λp)に関するシミュレーション値と実測値との比較
(c) ナノアンテナの径ϕ = 590nmのデバイスに於けるディップ波長での電磁場可視像
反射の極小点における電場分布の状態から、ナノアンテナ構造上においてモノポールアンテ ナ状のプラズモン振動が生じていることが示唆された。さらに、反射の減少がナノアンテナ構 造による光吸収により生じていることを支持する計算結果が得られた。以上により、FTIR計測 によって得られた反射の減少は、ナノアンテナ構造による光吸収によって生じている可能性が 高く、光検出器として望ましい振る舞いを示していると考えられる。よって、作製したデバイ スにおいて、中赤外領域の光吸収を確認することができた。そこで、次項では、このデバイス にバイアスを印加し。障壁を低下させ、中赤外光検知を試みた。
Fig.5.6 シリコンナノアンテナ構造体を用いたプラズモン共鳴型シリコン赤外光検出器に おける、同期検波測定を用いた、中赤外光応答特性評価系
(a) 評価系概要 光を変調するために、チョッパ(同期検波周波数foで動作)を用いている。
(b) 同期検波測定による評価方法。光出力を取得し、そのデータをフーリエ変換する。そし て、同期検波周波数foでの応答を確認することにより、光応答Vmを得ることができる。