(31) MEP
3) 農林水産省:農業センサス(2005,2010)
第
8
章 調査頻度における農薬流出負荷量の差異1),2)8.1 序
農薬の流出調査を行うにあたり、正確な流出負荷量を特定するには、どのようなタイミングで 調査を行なえばよいかを検討した。通常、公共用水域の水質モニタリング調査頻度は30日に1度の 頻度で調査が実施されている。しかしながら、正確な農薬の流出量を調査するためには、調査頻 度を高め、できる限り調査間隔を狭めることが望ましい。前述の理由として、
1度目の調査におい
て負荷量が観測された場合でも、次の調査で観測されなかったりして、過大な負荷量になり正確 な流出負荷量が得られないためである。農薬流出負荷量を算出するために行った、算出条件のイ メージを図8.1から8.3に示す。それぞれの調査間隔を増やす中で、それぞれの調査間隔の最初の 調査日をどこに設定するかという、選択の設定ケースが増える。この選択ケースを( )付きの ケース番号で表示する。図
8.1 3
日間隔の調査頻度による総流出負荷量の算出方法図
8.2 6
日間隔の調査頻度による総流出負荷量の算出方法図
8.3 9
日間隔の調査頻度による総流出負荷量の算出方法8.2 淀川の調査頻度と農薬流出量の差異
淀川における調査間隔を粗くした場合の流量と主要農薬の評価値の分布を下記に示す。
0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10) 総流量(m3×106)
図
8.4
淀川の総流量の分布(2005年)0 100 200 300 400 500 600
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10)
流出負荷量(kg)
図
8.5
淀川のブロモブチド総流出負荷量の分布(2005年)0 50 100 150 200 250 300
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10)
流出負荷量(kg)
図
8.6
淀川のシメトリン総流出負荷量の分布(2005年)0 100 200 300 400 500 600 700 800 900
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10)
流出負荷量(kg)
図
8.7
淀川のピロキロン総流出負荷量の分布(2005年)( )
内の番号は調査間隔の第1
回目の調査日を設定したケース順である。表
8.1 淀川の農薬総流出負荷量の調査頻度による差異(3
日に1
度を100%とする)
河川名 調査年 ピロキロン [%] ブロモブチド [%] シメトリン [%]
Min. Max. Min. Max. Min. Max.
淀川
2005 37
−286 57
−199 54
−233
淀川で調査間隔を粗く設定した場合、各農薬成分と流量の変動は、流量は
55%〜204%、農薬
の成分ではピロキロンが37%〜286%、ブロモブチドが 57%〜199%、シメトリンが 54%〜233%
となった。
8.3 桂川の調査頻度と農薬流出量の差異
桂川における調査間隔を粗くした場合の流量と主要農薬の評価値の分布を下記に示す。
0 200 400 600 800 1000 1200 1400
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10) 総流量(m3×106)
図
8.8
桂川の総流量の分布(2011
年)
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10)
総流出負荷量(kg)
図
8.9
桂川のブロモブチド総流出負荷量の分布(2011
年)
0 20 40 60 80 100 120 140 160
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10)
総流出負荷量(kg)
図
8.10
桂川のシメトリン総流出負荷量の分布(2011年)0 50 100 150 200 250 300
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10)
総流出負荷量(kg)
図
8.11
桂川のピロキロン総流出負荷量の分布(2011年)( )
内の番号は調査間隔の第1
回目の調査日を設定したケース順である。表
8.2 桂川の農薬総流出負荷量の調査頻度による差異(3
日に1
度を100%とする)
河川名 調査年 ピロキロン [%] ブロモブチド [%] シメトリン [%]
Min. Max. Min. Max. Min. Max.
桂川
2011 43 − 268 67 − 161 10 − 437
桂川で調査間隔を粗く設定した場合、各農薬成分と流量の変動は、流量は
58%
〜182%
、農薬 の成分ではピロキロンが43%〜268%、ブロモブチドが 67%〜161%、シメトリンが 10%〜437%
となった。
8.4 宇治川の調査頻度と農薬流出量の差異
宇治川における調査間隔を粗くした場合の流量と主要農薬の評価値の分布を下記に示す。
0 1000 2000 3000 4000 5000 6000
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10) 総流量(m3×106)
図
8.12
宇治川の総流量の分布(2011
年)
0 200 400 600 800 1000 1200
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10)
総流出負荷量(kg)
図
8.13
宇治川のブロモブチド総流出負荷量の分布(2011
年)
0 50 100 150 200 250
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10)
総流出負荷量(kg)
図
8.14
宇治川のシメトリン総流出負荷量の分布(2011年)0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10)
総流出負荷量(kg)
図
8.15
宇治川のピロキロン総流出負荷量の分布(2011年)( )
内の番号は調査間隔の第1
回目の調査日を設定したケース順である。表
8.3 宇治川の農薬総流出負荷量の調査頻度による差異(3
日に1
度を100%とする)
河川名 調査年 ピロキロン [%] ブロモブチド [%] シメトリン [%]
Min. Max. Min. Max. Min. Max.
宇治川
2011 68 − 130 48 − 170 51 − 163
宇治川で調査間隔を粗く設定した場合、各農薬成分と流量の変動は、流量は
62%〜150%、農
薬の成分ではピロキロンが68%〜130%、ブロモブチドが 48%〜170%、シメトリンが 51%〜163%
となった。
8.5 木津川の調査頻度と農薬流出量の差異
木津川における調査間隔を粗くした場合の流量と主要農薬の評価値の分布を下記に示す。
0 500 1000 1500 2000 2500
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10) 総流量(m3×106)
図
8.16
木津川の総流量の分布(2011年)0 100 200 300 400 500 600 700 800
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10)
総流出負荷量(kg)
図
8.17
木津川のブロモブチド総流出負荷量の分布(2011年)0 50 100 150 200 250
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10)
総流出負荷量(kg)
図
8.18
木津川のシメトリン総流出負荷量の分布(2011年)0 200 400 600 800 1000 1200 1400
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10)
総流出負荷量(kg)
図
8.19
木津川のシピロキロン総流出負荷量の分布(2011年)( )
内の番号は調査間隔の第1
回目の調査日を設定したケース順である。表
8.4 木津川の農薬総流出負荷量の調査頻度による差異(3
日に1
度を100%とする)
河川名 調査年 ピロキロン [%] ブロモブチド [%] シメトリン [%]
Min. Max. Min. Max. Min. Max.
木津川
2011 31 − 454 39 − 223 34 − 472
木津川で調査間隔を粗く設定した場合、各農薬成分と流量の変動は、流量は
48%
〜182%
、農 薬の成分ではピロキロンが31%〜454%、ブロモブチドが 39%〜223%、シメトリンが 34%〜472%
となった。
6.6 中小規模河川の調査頻度と農薬流出量の差異
中小規模河川における調査間隔を粗くした場合の流量と主要農薬の評価値の分布を下記に示す。
0 5 10 15 20 25 30 35
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10) 総流量(m3 ×106 )
穂谷川 天野川 芥川
図
8.20
中小規模河川の総流量の分布(2005
年)
0 2 4 6 8 10 12 14
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10) 総流出負荷量(kg)
穂谷川 天野川 芥川
図
8.21
中小規模河川のブロモブチド総流出負荷量の分布(2005
年)
0 1 2 3 4 5 6 7
3日 総流出
6日 総流出(1)
6日 総流出(2)
9日 総流出(1)
9日 総流出(2)
9日 総流出(3)
15日総流出(1) 15日総流出(2)
15日総流出(3) 15日総流出(4)
15日総流出(5) 30日総流出(1)
30日総流出(2) 30日総流出(3)
30日総流出(4) 30日総流出(5)
30日総流出(6) 30日総流出(7)
30日総流出(8) 30日総流出(9)
30日総流出(10) 総流出負荷量(kg)
穂谷川 天野川 芥川
図
8.22
中小規模河川のピロキロン総流出負荷量の分布(2005年)( )
内の番号は調査間隔の第一回目の調査日を設定したケース順である。表8.5 中小規模河川の農薬総流出負荷量の調査頻度による差異(3日に1度を100%とする) 河川名 調査年 ピロキロン [%] ブロモブチド [%] シメトリン [%]
Min. Max. Min. Max. Min. Max.
穂谷川
2005 25 − 196 15 − 309 N.D. N.D.
天野川
2005 28 − 348 52 − 224 N.D. N.D.
芥川
2005 3 − 401 15 − 350 N.D. N.D.
中小規模河川で調査間隔を粗く設定した場合、各農薬成分と流量の変動は、流量は穂谷川では
17%〜480%、天野川では 56%〜182%、芥川では 17%〜335%となった。また、農薬の成分ではピ
ロキロンについて穂谷川では
25%
〜196%
、天野川では28%
〜348%
、芥川では3%
〜401%
となり、ブロモブチドについて穂谷川では
15%
〜309%
、天野川では52%
〜224%
、芥川では15%
〜350%
となった。
8.7 まとめ
前述の通り、大規模流域河川から中小規模の流域河川での、総流量と農薬の総流出負荷量につ いては以下の通りである。
まず、中小規模河川における調査頻度は、
3
日ごとの調査間隔を100%
とした場合、調査間隔を 粗くするにしたがって、分布が大きくなった。特に、30日間隔で調査を実施したと仮定すると、流量では最低で
17%
から最高480%
まで分布することが明らかとなり、農薬の流出負荷量も3%
から401%の範囲で分布することが明らかとなった。
次に、淀川流域の上流部調査として実施した、桂川、宇治川、木津川の調査では、流量では
48%
から182%の範囲で分布し、農薬の流出負荷量も10%から473%と大きく分布した。
最後に淀川では、流量では
55%
から204%
、農薬の流出負荷量では37%
から286%
の分布となった。これらの評価値の分布傾向から、すべての河川で調査間隔を粗く設定すると、精度の良い農薬 の流出量結果は得られず、また、農薬の流出量を推定するに当たり、信頼性の高い結果は得られ にくいと考える。したがって、調査間隔を決定するには、人的余裕も必要であるが、調査間隔を できる限り細かく設定し、詳細な変動を逃さず捉える必要があると考えられる。