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木津川の農薬流出特性 2),3)

(31) MEP

4.5  木津川の農薬流出特性 2),3)

木津川での農薬の流出特性として調査を行った、

2011年と2012年の農薬濃度変化を図4.6と図4.7

に示す。

4.6  木津川の農薬濃度変化(2011

年)

4.7

  木津川の農薬濃度変化

(2012

)

調査結果より、木津川での農薬の流出特性は、5 月上旬より

6

月中旬にかけて、除草剤のブロ モブチドが流出し、6 月上旬より

7

月上旬にかけシメトリンが流出する。農薬の最大濃度はブロ モブチドが

2011

年は

2.20

μ

g/l

2012

年は

2.00

μ

g/l

で、シメトリンが

2011

年は

0.20

μ

g/l

2012

年は

0.25

μ

g/l

であった。また、出穂後散布される、殺菌剤のピロキロンは、

7

月中旬に流出のピ ークを迎え、ピロキロンの最大濃度は

2011

年は

0.91

μ

g/l

2012

年は

0.49

μ

g/l

であった。またピ ロキロンは低濃度ながら長期にわたり流出する傾向にあり、稲作が終了した

10

月下旬でも流出は 続いた。

4.6  中小規模流域河川の農薬流出特性

1)

中小規模流域河川での農薬の流出特性として調査を行った、

2005年の農薬濃度変化を図4.8と図 4.9に示す。

4.8

  中小規模流域河川のブロモブチドの濃度変化

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0

5/7 5/13 5/19 5/25 5/31 6/6 6/12 6/18 6/24 6/30 7/6 7/12 7/18 7/24 7/30 8/5 8/11 8/17 8/23 8/29 9/4 9/10 9/16 9/22

濃度 [μg/L]

穂谷川 天野川 芥川

4.9

  中小規模流域河川のピロキロンの濃度変化

調査結果より、中小規模流域河川の農薬の流出特性は、前述の大規模流域河川と比較し、流出 時期が短く、鋭い濃度変化を示すことが明らかとなった。流出特性は、5 月下旬より

7

月上旬に かけて、除草剤のブロモブチドが流出する。流出する濃度は河川により異なるが、最大濃度で穂 谷川では

2.8

μ

g/l

、天野川では

3.1

μ

g/l

、芥川では

6.3

μ

g/l

となった。また、出穂後散布される、

殺菌剤のピロキロンは、

8

月上旬に流出のピークを迎え、ピロキロンの最大濃度は穂谷川では

13.3

μ

g/l

、天野川では

1.45

μ

g/l

、芥川では、

0.3

μ

g/l

となった。中小規模流域河川の農薬流出特性と して、前述した同時期の淀川での調査と比較して流出農薬の濃度は

1

オーダー以上大きくなった。

4.7

淀川出水時の農薬流出特性1)

淀川の出水時の農薬流出特性として調査を行った、

2005年の農薬濃度変化を図4.10と図4.11に示

す。

4.10

  淀川の出水時におけるブロモブチドの濃度変化

4.11  淀川の出水時におけるピロキロンの濃度変化

調査結果より、淀川出水時の農薬の流出特性は、流量の大きな変化が始まる前に濃度が大きく 変化する傾向が見られた。特に図

4.11

に示したピロキロンでは、調査開始時の濃度が

0.04

μ

g/l

であったが、

14

時間経過後には、最大濃度の

0.18

μ

g/l

と約

4.5

倍の濃度上昇が見られた。流量増 大時の調査を行うことで、農薬の流出は降雨による影響が大きいことが示唆された。

4.8

  まとめ

      淀川水系を対象に、詳細な農薬流出調査を実施し、明らかとなった事柄を下記に示す。

      淀川では、上流三河川の影響を大きく受け、濃度もそれに起因する形で変化を繰り返す。また ブロモブチドやピロキロン、シメトリンは長期間にわたり流出する傾向が見られた。前述の要因 は表

3.1

に示した農薬物性値より、ブロモブチドやピロキロン、シメトリンは水中光分解性や加水 分解性が長く、散布されると分解せず長期間流域内に留まる傾向があると推測される。

次に、上流三河川調査の結果では、農薬の流出時期が各河川で異なり、田植えの時期に連動し た形で農薬が流出するものと推測される。琵琶湖・天ヶ瀬ダムが上流に存在する宇治川は、その 影響が大きく、農薬が長期間にわたり流出する傾向が見られた。上流

3

河川でも前述の通り、ブロ モブチドやピロキロン、シメトリンは長期間にわたり流出する傾向が見られ、要因も前述の通り と推測できる。

      また、中小規模流域河川の調査では、大規模流域の調査と比較し、流出する時期が短期間に集 中する傾向が見られた。この要因は、流域内に存在する水田面積が、上流三河川や淀川と比較し た場合に圧倒的に小さく、濃度の変動も短期間に集中的な流出となる。また、流出する濃度も、

他の大規模河川と比較し

1

オーダー以上大きくなった。したがって、流域規模の大きさや保有する 水田面積の大きさにより、農薬の流出傾向は大きく異なり、大規模流域になるほど水田が分散し た状況で存在し、それらから徐々に農薬が流出するため、流出期間も長くなると推測できる。

      最後に淀川の出水時調査では、流量が増加する前に農薬濃度は変化し、ファーストフラッシュ に似た変化を示した。前述の変化特性として、水田内に滞留する農薬が降雨等により水環境中に 流入したためと推定された。また、農薬は有限量での存在であり、流出し終わると農薬を再度散 布されるまで供給されることはない。従って、濃度ピーク以降は低下する傾向にあった。

      したがって、農薬の流出を抑制する一つの方策として、降雨による流出をいかに抑制するかが 重要と考えられる。

参考文献

1)  海老瀬潜一,川村裕紀:淀川本川の高頻度定時調査と出水時調査による農薬流出評価,水環境学 

会誌,Vol. 29, No.11, pp.705-713, 2006.

2)  川村裕紀・海老瀬潜一:桂川・宇治川・木津川における農薬流出特性,土木学会G論文集,Vol.68,

(2012),No.7,Ⅲ_775-Ⅲ_785

3) Hironori KAWAMURA・Senichi EBISE:High-frequency observations of pesticide runoff characteristics