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超伝導マグネットを用いた高勾配磁気分離実験

ドキュメント内 修 士 学 位 論 文 (ページ 97-102)

第 4 章 高勾配磁気分離

4.6 超伝導マグネットを用いた高勾配磁気分離実験

4.6.1 実験装置

超伝導マグネット,ポンプ,磁性線フィルタなどをFig. 4.6.1のように組み合わせた装置 を準備した。超伝導マグネットはJASTEC 製のJMTD-10T100SS (Fig. 4.6.2),ポンプは

μ

0

真空の透磁率 [H/m] 1.26×10

-6

R

w

磁性細線の半径 [m] 5.00×10

-5

r

p

磁性粒子の半径 [m] 2.00×10

-6

η 流体の粘性係数 [Pa・s] 1.00×10

-3

物理量

Masterflex製のL/S 07523-60 (Fig. 4.6.3),磁性線フィルタにはFig. 4.6.4のような線径

100 μm,目開き150 μmのSUS430磁性線メッシュを使用した。

Fig. 4.6.1 超伝導高勾配磁気分離装置の概略 Fig. 4.6.2 無冷媒型超伝導マグネット

JASTEC JMTD-10T100SS

Fig. 4.6.3 ポンプMasterflex L/S 07523-60 Fig. 4.6.4 SUS430メッシュ

キャニスタの内径は7 mmであるため,キャニスタ内の流路を流れる流体の流速𝑣𝑓 [m s⁄ ] とポンプの流量を𝑄 [mL min.⁄ ]の関係は次式のようになる。

𝑄 = 60 × 𝜋 (7 2)

2

𝑣𝑓= 735𝜋𝑣𝑓 4.6.1

𝑣𝑓= 𝑄

735𝜋 4.6.2

また,本研究で用いるポンプの最大流量は2300 mL min.⁄ であるため,本実験で実現可能 な最大流速𝑣𝑓_𝑀𝑎𝑥 は以下のようになる。

𝑣𝑓=2300

735𝜋= 0.996 4.6.3

したがって,これらを組み合わせることにより最大流速約 1 m s⁄ での運転が可能になる。

磁性線フィルタを600 mm×75 mmの大きさにカットし,Fig. 4.6.6のように円筒状に丸め てキャニスタ内部に装填した。このとき,キャニスタ内の磁性線フィルタの占積率λは以下 のようになる。

λ = 𝑉 𝑉= 𝑚

𝑉𝑑= 14.376[g](実測)

(π × 0.352× 60)[cm3] × 7.70[g cm⁄ 3]= 0.0809 4.6.4 ただし,𝑉はフィルタの体積,𝑚はフィルタの質量,𝑑はフィルタの密度 (7.70 g cm⁄ 3),

𝑉はキャニスタの体積である。これにより,占積率は8.09%であることが判明した。なお,

先行研究 [56]より占積率は8%程度が効率的とわかっており,本研究ではそれと近い値に設 定した。

Fig. 4.6.5 キャニスタ Fig. 4.6.6 磁性線フィルタ

4.6.2 実験方法

本研究では,超伝導マグネットを用いた高勾配磁気分離実験によりRH-MACの被磁気分 離性能を評価した。以下にその手順を示す。

① 水道水11 LにRH-MACを550 g投入する。 (RH-MAC濃度50 mg L⁄ )

② RH-MACを投入した試料水を撹拌機で撹拌し,RH-MACを十分に分散させる。

③ 超伝導マグネットのスイッチを入れ,装置に1 T – 2 Tの磁場を発生させる。

④ ポンプによって,流速0.5 – 1.0 m s⁄ で試料水を装置に流し込み,磁気分離を行う。

⑤ 磁気分離後の試料水を1 Lごとに取り分け,24時間静置することで,破過した RH-MACを十分に沈降させる。

⑥ 沈降したRH-MACを永久磁石で回収し,恒温槽にて100 ℃,24時間乾燥させ,

RH-MACの水分を完全に飛ばす。

⑦ 電子天秤により1 Lごとの破過質量を測定する。

ただし,実験中の空気の流入などによる影響を防ぐために,試料水 11 L中 10 Lを測定 に使用する。

4.6.3 実験結果

Fig. 4.6.7に印加磁場2 T,流速1 m/sにおけるRH-MAC1 - RH-MAC3の超伝導マグネ ットによる磁気分離実験の結果を示す。

Fig. 4.6.7 RH-MACの質量磁化による回収率の変化

Fig. 4.6.7から,印加磁場,流速が同条件では磁化が高いRH-MACほど回収率が高くな

ることを確認できた。印加磁場2 T,流速1 m/sにおけるRH-MAC3において99.89%の高 い回収率を達成した。これにより,磁化の高いRH-MACは高勾配磁気分離による高速大量 処理が可能であるといえる。

Fig. 4.6.8に印加磁場2 T,流速0.5,1 m/sにおけるRH-MAC1,RH-MAC2の超伝導マ グネットによる磁気分離実験の結果を示す。

Fig. 4.6.8流速によるRH-MAC回収率の変化

Fig. 4.6.8から,同一のRH-MACでは流速が遅いほど回収率が高くなることを確認でき

た。印加磁場2 T,流速0.5 m/sにおけるRH-MAC2において96.19%の高い回収率を達成 した。これにより,磁化の低いRH-MACにおいても,流速を遅くすることで高勾配磁気分 離による高速大量処理が可能であるといえる。

Fig. 4.6.9に印加磁場1,2 T,流速1 m/sにおけるRH-MAC3の超伝導マグネットによ る磁気分離実験の結果を示す。

Fig. 4.6.9印加磁場によるRH-MAC回収率の変化

Fig. 4.6.9から,同一のRH-MACでは磁場が高いほど回収率が高くなることを確認でき

た。これにより,磁化の低いRH-MACにおいても,印加磁場を高くすることで高勾配磁気 分離による高速大量処理が可能であるといえる。

また,Fig. 4.6.10に磁気分離前後のRH-MAC1,RH-MAC2の磁化の変化を示す。

Fig. 4.6.10 磁気分離前後の平均磁化の変化

Fig. 4.6.10

から,磁気分離前後で磁化の変化が小さいことがわかる。これにより,RH-MAC の磁化は均一であることがわかり,RH-MAC が破過した原因は粒径の大きさによる ものであると考えられる。

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