第 3 章 吸着性能の評価
3.6 有価金属イオン吸着
3.6.1 ストロンチウム
Fig. 3.5.22 RH-MACによる銅除去率の投入量依存性
Fig. 3.5.22 から,RH-MAC の添加量が多くなるに従い除去率が上がり,投入量 1500
mg L⁄ で58.8%の除去率を達成した。
その他炭酸ストロンチウムの用途としては,TFT,コンデンサ,プラズマディスプレイな ど,クロム酸ストロンチウムが防錆性能を目的として塗装鋼板の一次被膜 (プライマー) 用 塗料に添加されており,自動車の下塗り塗料として使用されているが,いずれも量的には少 ない。炭酸ストロンチウムはカラー用ブラウン管が主たる用途であるが,代替金属として,
白黒 ブラウン管には炭酸バリウムが使用される。しかし近年,モニター用としての液晶や プラズマディスプレイの需要が増加してブラウン管需要が減じていることから,炭酸スト ロンチウムや炭酸バリウムの需要は減少しつつある。
また,日本はストロンチウムのすべてを輸入に依存し,主要原料である炭酸ストロンチウ ムは,メキシコ,中国,ドイツ等から輸入し,2004年の輸入量は60,490 tを示し,メキシ コと中国で85%を占めている。特に2000年以降は中国からの輸入量が急増している。
Table 3.6.1 ストロンチウムの国内需給推移 [52]
また,Table 3.6.2にあるようにストロンチウムはリサイクルとして回収されずに消費さ れており,資源の減少に歯止めがかかっていない。
Table 3.6.2 ストロンチウムのリサイクル現状 [52]
3.6.1.1 吸着等温線の確認
7.8 – 35 ppmのストロンチウム溶液に対してRH-MACを500 mg L⁄ の割合で添加し,24 時間十分に撹拌することで吸着等温線の確認をした。RH-MACのストロンチウムに対する 吸着等温線の結果をFig. 3.6.1に示す。
Fig. 3.6.1 RH-MACのストロンチウムに対する吸着等温線 (右: 両対数グラフ)
Fig. 3.6.1から,実験で得られた最大吸着量はRH-MAC1が2.34 mg g⁄ であり,35 ppm 以上の高濃度範囲では更に高い吸着量が得られると予測できる。
Fig. 3.6.1のRH-MAC測定データをLangmuir式3.2.3及びFreundlich式3.2.6に当て はめた結果をFig. 3.6.2に,吸着定数をTable 3.6.3に示す。
Fig. 3.6.2 RH-MACのストロンチウム吸着に関する吸着等温式
(左: Langmuir,右: Freundlich)
Table 3.6.3 RH-MACのストロンチウム吸着に関するLangmuir 及びFreundlichの定数
Fig. 3.6.2から,Langmuir式には平衡濃度約7.0 – 33.9 ppm,Freundlich式には平衡濃 度約7.0 – 33.9 ppmの範囲でよく適合した。Langmuir式から得られた最大吸着量はTable 3.6.3から,RH-MAC1が2.62 mg g⁄ であった。
3.6.1.2 投入量依存性の確認
有価資源回収処理におけるRH-MACの利用を考えるため,ストロンチウムに対する吸着 性能に関して投入量依存性について調査した。環境水中のストロンチウムの濃度は原水に よって異なるため,Table 1.1.1 の海水に含まれる元素濃度より,投入量依存性実験につい てはストロンチウム濃度7.8 ppmで行った。
ストロンチウム溶液に対してRH-MAC1 を250 – 1500 mg L
⁄
の割合で添加し,60分間W
s[mg/g] α [(mg/g)
-1] K
F[(g/L)
-1] n [-]
RH-MAC1 2.6247 0.1573 0.7285 3.0656
Langmuir Freundlich
Adsorbent
十分に撹拌することで,投入量依存性の確認をした。ストロンチウムに対する投入量依存性 の結果を,Fig. 3.6.3に示す。
Fig. 3.6.3 RH-MACによるストロンチウム吸着率の投入量依存性
Fig. 3.6.3から,RH-MACの添加量が多くなるに従い回収率が上がり,投入量1500 mg L⁄
で12.66%の回収率を達成した。