6.1 研究結果の妥当性検証
6.1.3 質問紙調査による研究結果の妥当性検証
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地元住民がお互いを気に掛けるようになったと回答した。これは、移動販売に よって、参加者の共同体感覚が高まり向社会的行動が促進されたことを示す結 果である。
大体(移動販売に参加する人は)決まってきた。大抵この辺の人 は来てくれるし。もし出ないと、どうしたかな、体でも悪いのか なって、今ではそんな状態やわ。
(質問:近所の方とは、移動販売時にどういった会話をされます か?)別にいつも会ってるから、そんなには会話せん。たまに会 うと元気やったか、とか。これに何回か出て来れん人がおったら、
あんた元気やったんか~って言うては、大丈夫よ、用事あって来 れんだんや~とか、そういう会話。
(質問:町はどのように明るくなりましたか?)皆の顔会うし。
普通だったら人ひとり通っとらんもん。畑してる人は畑で話した り、してる人もおいでるけど。(移動販売が来るようになって)
人が出て来て色んな話(をするようになった)。
そうや。人の元気良いか悪いかね。(質問:周りを気にするよう になったということですか?)そう、いつも出てくる人が 2 回も 3 回も出て来なかったら、どうしたんかな身体悪いのかなって、
たまに出て来たら大丈夫かって言って。そしたら、大丈夫や、用 事あってこれんだと言って。歳いった人ばっかりだから、その点 やわ。普通は、近くにおっても話するあれがなかってんて。皆点々 に仕事しとるから。
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から除外した。以上、残った11の観測変数に対して、探索的因子分析(主因子 法・プロマックス回転)を行なった。結果を表6-3に示す。本研究では、因子負 荷量が0.4以上の結果のみ採用する。
因子分析の結果、3つの因子が得られた。第1因子は、専心、熱中、生活変化 という 3 つの観測変数によって構成される。これは、変化を恐れず(保守的に ならず)前向きに新たな物事を一生懸命集中して追究する探求心という性質を 表しており、SPESにおいて未知なる交換相手を知って距離感縮めることにより ポジティブな感情になることで得られる情緒的価値に相当する。第 2 因子は、
出会い、ときめき、流行という 3 つの観測変数で構成される。これは他者との 関係構築を強化しようとする性質を表しており、SPESにおける社会関係価値に 相当する。第 3 因子は、困難対処と主体性という 2 つの観測変数によって構成 される。これは自力で基本的な生活を送ろうとする自立意欲という性質を表し ており、SPESにおいて基本的な生活を快適に過ごすための交換から得られる基 礎的な価値である機能的価値に相当する。したがって、因子分析結果から交換 への参加を促進する若々しさの構成要素が SPES で共創される価値と一致する
表 6-3 若々しさ指標に関する因子分析の結果
第1因子 第2因子 第3因子 何事にも一生懸命取り組んでいる (専心) .994
夢中になって取り組んでいることがある (熱中) .590 生活の変化に適応できる (生活変化) .473 物事を楽観的に捉えている (楽観)
新しい出会いを探している (出会い) .815 生活に胸のときめきを必要としている (ときめき) .677 流行に関する情報を集めている (流行) .400 気分が頻繁に変化する (感受性)
人から綺麗に見られたい (対面意識)
困難にも自分で対処する (困難対処) .939 何事も人に頼らず自分でしている (主体性) .456
因子間相関
第1因子 .419 .516
第2因子 .244
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ことを示した。
さらに、研究会の移動販売による効果について検証する。付録 5 で示すよう に、質問紙調査では研究会のサービスを利用しているかどうかについても尋ね ているため、利用者と非利用者の 2 グループ間の若々しさ 3 因子、すなわち、
SPES の 3 つの価値の因子得点について、t 検定を行なうことにより、研究会の 移動販売による効果を分析する。
t検定の結果、研究会の移動販売の利用者は、利用したことがない高齢者より も 3 つの価値全てにおいて因子得点が高かった(表 6-4)。この中で、情緒的価 値についてのみp = .079 < 0.1と有意傾向が認められたが、他の2つの価値につ いては有意差が見られなかった。この結果は、SPESに参加する受容者が機能的 価値、社会関係価値、情緒的価値という 3 つの価値を獲得しており、特に情緒 的価値を多く獲得することを示す。
次に、高齢者変革モデルの妥当性について検証するために共分散構造分析を 実施する。図6-1に示すように高齢者が獲得する価値による交換への参加に対す る影響を分析するための仮説モデルを設定した。仮説モデルでは、上述の因子 分析の結果に基づいて観測変数「専心」、「熱中」、「生活変化」を用いて潜在変 数「情緒的価値」を構成し、観測変数「出会い」、「ときめき」、「流行」を用い て潜在変数「社会関係価値」を構成し、観測変数「困難対処」、「主体性」を用
表 6-4 サービス利用に関する効果測定結果 商工女性まちづくり研究会 情緒的価値
(因子得点)
社会関係価値
(因子得点)
機能的価値
(因子得点)
利用者
平均値 .259 .132 .182
度数 34 34 34
標準偏差 .732 .852 .876
非利用者
平均値 -.534 -.027 -.038
度数 164 164 164
標準偏差 .974 .883 .933
合計
平均値 0 0 0
度数 198 198 198
標準偏差 .942 .878 .925
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いて潜在変数「機能的価値」を構成した。また、目的変数である「利他的規範 の交換」は観測変数「他者交流」、「地域活動」、「運動頻度」、「外出頻度」を用 いて構成した。高齢者が変革して得られる情緒的価値の方が、受容者状態に得 られる機能的価値よりも利他的規範の交換を促進すれば、SPESによって高齢者 を変革することが、彼らの利他的規範に基づく交換への参加を促進し地域の持 続可能性向上に貢献することが示される。
SPSS Amosによる共分散構造分析の結果を表6-5に示す。モデルの適合度は、
GFI = .922、AGFI = .874、RMSEA = .071、p = .000であった。情緒的価値を獲得 することによる利他的規範の交換に対する影響はH1で表され、これは0.673***
という強い正の結果を示した。すなわち、高齢者は情緒的価値を得ることによ って、利他的規範の交換を強く促進する。社会関係価値を獲得することによる 利他的規範の交換に対する影響はH2で表され、これは0.154*という弱い正の結 果を示した。すなわち、高齢者は社会関係価値を得ることによっても、利他的 規範の交換を促進する。最後に、機能的価値を獲得することによる利他的規範 の交換に対する影響はH3で表され、これは0.163という結果で有意差がなかっ た。すなわち、機能的価値を獲得することが利他的規範の交換を促進するとは いえない。この分析結果は、SPESへの参加を通じて高齢者が受容者から一般行 為者へと変革し、共創する価値が機能的価値から社会関係価値、そして、情緒
図 6-1 価値獲得と交換への参加に関する仮説モデル
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的価値へと変化するにつれて、さらなる利他的規範の交換への参加に積極的に なるということを示す。これは、受容者から一般行為者へと変革するプロセス において、共創する価値によってサービスの制度が契約的規範から利他的規範 へと行動規範を変化し、集団生活のための価値共創への参加を促進させるとい う高齢者変革モデルを支持する結果である。