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研究方法

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6.1 研究結果の妥当性検証

6.1.1 研究方法

研究2 の定性的研究によって同定した 3 つの価値および第 5 章で構築した高 齢者変革モデルの妥当性を検証するために、聞き取り調査および質問紙調査を 実施した。聞き取り調査の対象者は、研究会から地域連絡員となっている高齢 者 2 人の紹介を受けて、半構造化面接法によってデータを収集した。質問内容 は表6-1 の通りである。1 人目は町会長を務める 73歳男性で、聞き取り調査の 所要時間は約45分であった。1人目の回答者をAさんとし、聞き取り調査デー タの抄録を付録3に載せる。2人目は研究会の活動に最初期から参加し、活動報 告会にも頻繁に出席する 73 歳女性で、聞き取り調査の所要時間は約 40 分であ った。この聞き取り調査データを用いて、受容者であった高齢者がどのように 価値を獲得し変革していったのかを論じる。2人目の回答者をBさんとし、聞き 取り調査データの抄録を付録 4 に載せる。本文では聞き取り調査データの該当 箇所のみを抜粋し、高齢者変革モデルとの整合性について議論する。

質問紙調査の対象者は能美市在住の65歳以上の高齢者で、有効回答は198人 であった。質問票を付録 5 として載せる。質問紙調査は、能美市、社会福祉協 議会および町会長の協力の下、いきいきサロンなどの高齢者の集会の終了後に

表 6-1 研究3の聞き取り調査の質問内容

質問番号 質問内容

1 町内の様子と回答者の感じる生活の質はどうであるか 2 これまで町として購買行動にどのような課題があったのか 3 支援活動があって嬉しいこと(どのような価値や便益があったか)

4 支援活動時に回答者はどのような行動を取っているのか 5 研究会メンバーにどのような印象を抱いているのか 6 支援活動が始まってから地元住民に変化はあったか

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実施され、集会の参加者を対象に回答を収集した。研究 2 における参与観察か ら、高齢者は若々しく生きるために移動販売というサービスに参加するという 仮説を得た。したがって、研究 3 では定量的研究によって若々しい生活態度を 表す若々しさ指標を作成し、その構成要素とSPESで得られる価値の関係性につ いて、因子分析を用いて分析する。さらに、SPESに参加する高齢者と参加して いない高齢者の若々しさ指標の点数をt検定によって比較することにより、仮説 の妥当性を検証する。そして、共分散構造分析によってSPESで得られる価値が どのように交換への参加というサービスの制度としての行動規範に寄与してい るのかを明らかにする。

若々しさ指標を作成するにあたって、社会的認知理論の相互決定主義(Bandura, 1986)に基づいて心身・行動・関係性の 3 つの視点から、文献調査を行ない人 間の若々しさに関連する18項目の質問を設定した(表6-2)。高齢者の心と身体 の若々しさを表す心身の若々しさは、肉体的健康と精神的健康に大別され、そ れぞれ 3 つずつの質問から構成される。肉体的健康は高齢者の生活能力のみな らず、主観的な健康感にも好影響を与える重要な指標である(三徳ほか、2006)。 肉体的健康については、病気や怪我の頻度や運動の頻度に加えて、美容に関し て実践していることがあるかどうかも尋ねた。美容行動を実践することは高齢 者に刺激を与え、日常生活を活動的にする(箱井ほか、2002)。精神的健康では、

気分の変化頻度に関する感受性の強さ、生活に胸のときめきを求めるかどうか、

物事に対して楽観的であるかどうかを尋ねた。人間は加齢によって感情の起伏 が少なくなる傾向にあるので(Sullivan and Ruffman, 2004)、感受性やときめきは 若々しさを表す一要素であると考えられる。また、物事を楽観的に捉えている かどうかは、高齢者の精神的安定に繋がるとされている(濱島、1994)。

行動の若々しさは、上昇志向と自立志向で構成される。上昇志向は、高齢者 の成長しようとする意識を表す概念である。物事に熱中・専心して没頭するこ とは、高齢者の生活に好影響を与えるとされている(小田、2002)。同様に、新し い 物 事 に 挑 戦 す る こ と は 生 命 予 後 を 伸 ば す と と も に 高 齢 者 の 満 足 感 や

Well-beingを向上させる(安梅ほか、2006)。また、自立志向に関して、自分自身

が主体性を持って日常生活における困難にも対処している高齢者は社会活動に も活発である(Menec, 2003)。小田(1999)は、技術の発展に伴う社会の変化に適応 する力が高齢者の自立にとって重要であることを指摘している。

関係性の若々しさは、探索欲求と交流欲求で構成される。探索欲求とは、自 分の知見を広げるために新たな情報や人脈を築こうとする欲求のことを指す。

神宮ほか(2003)は、高齢者が積極的に他者と交流することによって、彼らの生活 機能が維持されていることを明らかにした。そして、テレビやラジオから情報 を収集することは、高齢者の心身両面での活発な活動に好影響を与える(小田、

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2001)。また、富樫(2007)は高齢者が親族や友人以外の近隣住民や社会活動で関

わる他者との出会いから関係性を構築することの重要性を指摘した。関係性の 若々しさにおける交流欲求とは、他者と交流したいという欲求を表す。おしゃ れの意識を持たせることは、高齢者に生きがいを与え、精神的な老いを遅らせ ることができる(小林、2000)。また、地域活動に頻繁に参加する高齢者は、全く 参加しない高齢者よりも生活機能の低下を抑制することが報告されている(本田

ほか、2010)。外出頻度の低い高齢者は、身体・心理・社会的な側面での健康水

準が低い(藤田ほか、2004)。

表 6-2 若々しさ指標の質問内容

心 身 の 若々しさ

肉体的 健康

あまり病気や怪我をしていない(病気頻度)

定期的に運動をしている(運動頻度)

美容のために実践していることがある(美容実践)

精神的 健康

小さな物事にも一喜一憂している(感受性)

生活に胸のときめきを必要としている(ときめき)

物事を楽観的に考えている(楽観)

行 動 の 若々しさ

上昇 志向

夢中になって取り組んでいることがある(熱中)

何事にも一生懸命に取り組んでいる(専心)

いつも新しいことに挑戦している(挑戦)

自立 志向

困難なことがあっても自分で対処できる自信を持っている(困難対処)

何事も人に頼らず自分でしている(主体性)

生活における変化を恐れていない(生活変化)

関係性の 若々しさ

探索 欲求

積極的に人と関わっている(他者交流)

流行りに関する情報を集めている(流行)

心躍る新しい出会いを探している(出会い)

交流 欲求

いつまでも人から綺麗に見られたいと思っている(対面意識)

地域の活動によく参加している(地域活動)

頻繁に外に出掛けている(外出頻度)

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