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調査方法

ドキュメント内 平成17年度 (ページ 47-55)

- 45 - 調査研究報告(10)

新潟市における酸性雨の状況調査

高橋昌臣 真田和衛 阿部秀人 立川正幸

- 46 -

4.0 4.5 5.0 5.5 6.0

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

図3 pH

地点A 地点B

・測定方法

湿性沈着モニタリング手引き書(第2版)による。1)

3 調査結果と考察 (1)新潟市の 2 地点の状況

2013年度の地点A 及び地点B における年間濃度と沈着量を表1及び表 2に示す。沈着量は,降水 中のイオン成分濃度と降水量から算出した。H+(水素イオン)は pH 及び降水量から沈着量を算出し た。SO

2-沈着量と Ca2+沈着量については,Na沈着量をすべて海塩由来のものと仮定して,海塩中の それぞれのイオンの存在割合から算出した海塩由来分を差し引いたものを非海塩由来成分(nss = non-sea salt)とした。

降水量は地点による大きな差は見られない。pHは地点Aの方がやや低い。溶解成分は、両地点とも

Na+とCl-が主であり、両沈着量が非常に多く,日本海由来の海塩の影響を強く受けていると推察された。

地点的には、地点Bがやや多く、海岸から近いことが影響していると見られる。それに続きnss-SO

42-沈着量、NO3-沈着量、NH4+沈着量、NH4+沈着量及びMg2+沈着量がほぼ同程度に見られ、それぞれ地点 Bがやや多かった。

nss-Ca2+沈着量は地点Bが地点Aの2倍を超えており、周辺状況や地上高の関係で土壌等の影響が強

いことが推察される。

続いて,月ごとの降水量,pH,Na+沈着量,nss-SO42-沈着量,NO3-沈着量,nss-Ca2+沈着量 及びNH4+沈着量の変動を図2~図8に示した。

地点A 地点B

降水量 2259.2 2355.7

pH 4.62 4.77

nss-SO42- 16.5 18.7

NO3- 21.7 23.1

Cl- 182.8 194.5

NH4+ 21.4 26.5

Na+ 158.3 168.2

K+ 4.1 4.2

nss-Ca2+ 2.5 5.2

Mg2+ 17.5 18.4

単位 降水量:mm イオン成分:μmol/L 表1 年間濃度

0 50 100 150 200 250 300 350 400

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

mm

図2 降水量

地点A 地点B

地点A 地点B nss-SO42- 37.3 44.2

NO3- 49.1 54.5

Cl- 412.9 458.2

NH4+ 48.4 62.4

Na+ 357.7 396.3

K+ 9.2 9.9

nss-Ca2+ 5.7 12.2

Mg2+ 39.5 43.3

H+ 54.0 40.3

単位 mmol/m2

表2 年間沈着量

- 47 -

0 1 2 3 4 5 6 7

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

mmol/m2

図5 nss-SO42-沈着量 地点A

地点B

降水量は地点による大きな差は見られず、7月から11月が比較的多い。pHは年間を通じて地点Aの 方がやや低く、ともに年度後半に低くなる傾向が見られた。Na+沈着量は両地点とも5月から8月は少 なく,冬季の季節風の影響が推察された。nss-SO42-沈着量、NO3-沈着量及びNH4+沈着量は、季節的変 動がよく似ており、全体に地点Bの方が多く、特に春季に多い。

nss-Ca2+沈着量は年間を通じて地点Bがかなり多いが,その傾向は2011年以降顕著である(図7-2)。

0 2 4 6 8 10

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

mmol/m2

図6 NO3-沈着量

地点A 地点B

0 1 2 3 4

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

mmol/m2

図7-1 nss-Ca2+沈着量 地点A 地点B

0 1 2 3 4 5

04-2004 10-2004 04-2005 10-2005 04-2006 10-2006 04-2007 10-2007 04-2008 10-2008 04-2009 10-2009 04-2010 10-2010 04-2011 10-2011 04-2012 10-2012 04-2013 10-2013

mmol/m2

図7-2 nss-Ca2+沈着量の比較

地点A 地点B

0 2 4 6 8 10

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

mmol/m2

図8 NH4+沈着量

地点A 地点B 0

20 40 60 80 100 120

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3

mmol/m2

図4 Na+沈着量

地点A 地点B

- 48 - (2)地点Aの経年変化

次に,2004年度以降2012年度末まで継続的な調査を行っているので,地点Aの月毎のデータから検 証する。

0 100 200 300 400 500

04-2004 10-2004 04-2005 10-2005 04-2006 10-2006 04-2007 10-2007 04-2008 10-2008 04-2009 10-2009 04-2010 10-2010 04-2011 10-2011 04-2012 10-2012 04-2013 10-2013

mm

図9 降水量

4.0 4.5 5.0 5.5 6.0

04-2004 10-2004 04-2005 10-2005 04-2006 10-2006 04-2007 10-2007 04-2008 10-2008 04-2009 10-2009 04-2010 10-2010 04-2011 10-2011 04-2012 10-2012 04-2013 10-2013

mm

図10 pH

0 20 40 60 80 100 120 140

04-2004 10-2004 04-2005 10-2005 04-2006 10-2006 04-2007 10-2007 04-2008 10-2008 04-2009 10-2009 04-2010 10-2010 04-2011 10-2011 04-2012 10-2012 04-2013 10-2013

mmol/m2

図11 Na+沈着量

- 49 -

0 250 500

0 5 10

04-2004 10-2004 04-2005 10-2005 04-2006 10-2006 04-2007 10-2007 04-2008 10-2008 04-2009 10-2009 04-2010 10-2010 04-2011 10-2011 04-2012 10-2012 04-2013 10-2013

降水量:mm 沈着量:mmol/m2

図12 降水量,NO3-沈着量及びnss-SO42+沈着量

NO3- nss-SO42-降水量

0 1 2 3 4

04-2004 10-2004 04-2005 10-2005 04-2006 10-2006 04-2007 10-2007 04-2008 10-2008 04-2009 10-2009 04-2010 10-2010 04-2011 10-2011 04-2012 10-2012 04-2013 10-2013

mmol/m2

図13 nss-Ca2+沈着量

y = 1.724x + 0.0088 R² = 0.9961

0 5 10 15 20 25 30

0 5 10 15 20

Cl-濃度(mg/L)

Na+濃度(mg/L) 図14 Na+濃度とCl-濃度の関係

- 50 -

降水量の変動を図9に示す。冬季に多い傾向があるが,2011年から2012年等小雪の年があり,夏季 に雨量が多い年も散見される。特に明確な経年的傾向は見られない。

pHの変動を図10に示す。概ね4.2~5.0で変動しているが,いくつか5.0を超えるデータが存在し、春 季及び秋季に見られる。

Na+沈着量について図11に示す。季節的変動を繰り返しており、冬季に多いことが明確である。冬季 の西風により海塩の影響を強く受けていることが推察される。

NO3-沈着量及びnss-SO42+沈着量の変動を図12に示す。両イオンとも同じ動態を示し,降水量とも 連動している。

nss-Ca2+沈着量の変動を図13に示す。概ね4月頃にピークが見られ、黄砂の影響を推察させる。た

だ、2010年以降、この傾向がやや不明瞭となっている。

なお、降水中のNa+を全て海塩由来と仮定して、海塩由来成分を算出したが、Cl-との相関関係は非常 に高く、海洋起源であると推測して間違いないことがわかる。(図14)

続いて,地点Aにおける年間の積算値,平均の経年変化を見た。降水量の経年変化を図15に示す。

年間降水量は概ね1,500~2,000mm程度であり,2013年度はやや多く2,259.2mmであった。pHの経 年変化を図16に示す。大きな変化、傾向は見られず、4.5~4.7程度であった。

nss-SO42-沈着量及びNO3-沈着量の経年変化を図17に示す。経月変化と同様に両イオンとも同じ動態

である。また2007年度から2011年度まで漸減傾向であったが,2013年度は沈着量が大きく増加して おり、降水量の増加と関連している可能性がある。なお,両イオンは降水の酸性化への影響が大きい。

一方,nss-Ca+やNH4+は降水の中和成分である。nss-Ca+沈着量の経年変化を図18に示す。2005年 度以降は漸減傾向にある。

NH4+沈着量の経年変化を図19に示す。先のnss-SO42-沈着量及びNO3-沈着量と同様2007年度以降 は漸減傾向であったが,2013年度は大きく増加した。

0 500 1000 1500 2000 2500

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 mm

図15 降水量 年度

0 10 20 30 40 50 60

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 mmol/m2

図17 NO3-沈着量及びnss-SO42-沈着量 年度 NO3 nss-SO4

4.0 4.5 5.0 5.5 6.0

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 図16 pH 年度

0 5 10 15

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 mmol/m2

図18 nss-Ca2+沈着量 年度

- 51 - (3)他地域との比較

次にこれ以外の地点との比較を試みるため,EANET(東アジア酸性雨モニタリングネットワーク)

のデータ2)を引用した。EANETでは暦年でデータベースが存在するため,地点A及び地点Bについて も暦年のデータ(2012年)を用いることとした。

比較の対象として挙げた地点は以下のとおり。

地点名 特徴

東京 湾岸・都市

八方(長野県) 内陸・山岳地 珠海(中国) 沿岸・都市 西安(中国) 内陸・都市 ハノイ(ベトナム) やや内陸・都市

降水量について図20に示す。新潟市の2地点は東京及び八方と降水量の変動パターンと若干違う。

西安は年間を通じて降水量が少なかった(約390mm)。ハノイや珠海は降水が夏季に集中している。年 間降水量は西安以外で概ね1,500~2,000mm前後で大きな差は見られなかった。pHについて図21に示 す。新潟の2地点,東京及び八方は年間を通じて4.5~5.0前後であった。ハノイや西安は年間を通じて pHが高く,何らかの要因が考えられる。

Na+沈着量について図22に示す。新潟市の2地点は他の地点より沈着量が多かった。特に初春及び 冬季で多く,偏西風による海塩の影響を大きく受けている。珠海も7月に多く,沿岸部で海塩の影響を 受けている可能性がある。大気汚染の指標として,硫黄酸化物や窒素酸化物があげられるが,その nss-SO42-沈着量及びNO3-沈着量を図23,図24に示す。nss-SO42-沈着量、NO3-沈着量ともに新潟市の 2地点は、春季及び冬季に多く、大都市である東京よりも多い月もある。

西安及びハノイでは、沈着量が多く、化石燃料の燃焼量や地形が関係していると推察される。

また、新潟市の2地点の季節変動は、月毎の降水パターンと近似していることから,日本海を越境し ていることが推察される。

0 10 20 30 40 50 60

2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 mmol/m2

図19 NH4+沈着量 年度

4.0 5.0 6.0 7.0 8.0

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

図21 pH

地点A 地点B 東京 八方 珠海 西安 ハノイ 0

200 400 600

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

mm

図20 降水量

地点A 地点B 東京 八方 珠海 西安 ハノイ

- 52 -

nss-Ca2+沈着量について図25に示す。新潟市の2地点は4月と11月に沈着量が多いが、西安では年

間を通じて圧倒的に多く,地理的環境が影響した土壌由来のものと推察される。また、ハノイでも多く,

両地点で降水のpHが高い要因となっていると考えられる。

NH4+沈着量について図26に示す。新潟市の2地点は東京の動態と大きな違いがない。ハノイ,珠海 及び西安ではかなり沈着量が多いが,多い時期がそれぞれ異なる。NH4+は工業活動,農業活動に由来 するが,3地点のパターンの違いは不明である。

0 50 100

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

mmoL/m2

図22 Na+沈着量

地点A 地点B 東京 八方 珠海 西安 ハノイ

0 5 10

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

mmoL/m2

図23 nss-SO42-沈着量

地点A 地点B 東京 八方 珠海 西安 ハノイ

0 5 10

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

mmoL/m2

図25 nss-Ca2+沈着量

地点A 地点B 東京 八方 珠海 西安 ハノイ 0

5 10

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

mmoL/m2

図24 NO3-沈着量

地点A 地点B 東京 八方 珠海 西安 ハノイ

0 5 10 15 20

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12

mmoL/m2

図26 NH4+沈着量

地点A 地点B 東京 八方 珠海 西安 ハノイ

- 53 -

4 まとめ

2013年度の地点Aと地点Bを比較すると,全般的に地点Bが高く、特にnss-Ca2+沈着量が高い。こ

れは地点Aのnss-Ca2+沈着量が近年やや低めであったためと考えられる。

地点Aの10年間の経月変化を見ると,季節的な変動を繰り返すイオン成分の沈着が見られる。

Na+沈着量は毎年冬にピークが現れる。一方nss-SO42-沈着量、NO3-沈着量及びNH4+沈着量は降水量 と同調して変動しており,降水が大気中の物質を取り込んで沈着していることがわかる。

nss-Ca2+沈着量は黄砂の影響で春季に多くなる傾向がある。

なお、新潟市のNO3-沈着量及びNH4+沈着量は東京と比較しても少なくない。森林における窒素飽和 が,新潟市近辺においても起こる可能性がある。3)

経年変化について,nss-SO42-沈着量、NO3-沈着量及びNH4+沈着量は経月変化と同様に同じ動態を示 している。両イオンとも2011年度まで漸減傾向であるが,2012年以降増加に転じている。新潟市にお いては,2013年度は降水量が多く,各イオンの沈着量も多くなっている。

2012年について,EANET地点との比較を行うと,降水量,pH及び各イオンの沈着量は地域によっ てさまざまである。

Na+沈着量に関しては,新潟市において冬季に極めて高く,日本海からの影響がはっきりと見られる が,他のイオンの沈着量については,新潟市と東京及び八方では大きな差は見られない。

nss-SO42-沈着量、NO3-沈着量及びNH4+沈着量については,日本の各地点は中国やベトナムの都市に

比べて少ない。

酸性雨に関しては,全国的,全世界的にモニタリングが行われている。今回は,昨年度の報告の課題 を踏まえて,他地域のデータを収集し,加えて10年間の経月変化等の要素を加えた。今後、さらに継 続的なモニタリングやデータ収集を続けることにより,事象の解明に努めて行きたい。

ドキュメント内 平成17年度 (ページ 47-55)

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