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調査前・調査後のアンケート結果から見られる意識変化

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5. アンケートの結果及び分析

5.4. 調査前・調査後のアンケート結果から見られる意識変化

筆者は、調査前のアンケートの結果から、日本語で何かを書くことを繰り返すことで、

作文に対する協力者の意識をより肯定的な方向に導くことが可能になるのではないか と考えた。言い換えると、3人の協力者は日本語で書く練習をした経験が少なかったた め、日本語での作文は難しいという漠然とした印象を形成してしまったと考えたのであ る。そこで、日本語で何かを書くという練習の機会を設けることで日本語での作文は難 しいという情意フィルターを下げることができるのではないかという仮説を立て、調査

39 後のアンケートを実施した。

「1. 母語で作文を書くことが好きだと思う。」「2. 日本語で作文を書くことが好きだ と思う。」「3. 母語で作文を書くことが得意だと思う。」「4. 日本語で作文を書くことが 得意だと思う。」に関する調査前と調査後のアンケート結果を図5-8に示す。

図 5-8 作文に対する好き嫌い・得意意識に関する調査前後のアンケート結果

図5-8から、K1のみ、調査前より調査後の得点が3.2点から4.5点と、0.5点の上 昇が見られた。それに対し、K2は4.0点から3.5点と0.5点下がり、K3も1.8点か ら1.0点と0.8点大幅に下がっている。これはつまり、8回の調査を重ねていくうち に、協力者の中で意識の変化が起きていたと言えるだろう。図5-8の結果を念頭に入 れ、表5-9から協力者の回答を各項目ごとに詳細に考察したい。調査前のアンケート と変化した項目のみ、調査前の結果を矢印(→)を用い記載した。

表 5-9 作文に対する好き嫌い・得意意識についての結果

K1は、「母語で作文を書くことが得意だと思う。」「日本語で作文を書くことが好き

K1, 3.2

K1, 4.5 K2, 4.0

K2, 3.5

K3, 1.8

K3, 1.0

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0

調 査 前 調 査 後

K1 K2 K3

項目 K1 K2 K3

1. 母語で作文を書くことが好きだと思う。 5 5→4 3→1 3. 母語で作文を書くことが得意だと思う。 4→5 4 2→1 2. 日本語で作文を書くことが好きだと思う。 4→5 3 3→1 4. 日本語で作文を書くことが得意だと思う。 3 3 1

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だと思う。」の2つの項目に対し、4点から5点という変化が起きていた。つまり、日 本語で作文を書くことを繰り返しているうちに、日本語での書く活動がより好きにな ったと言える。これは、筆者の仮説とも一致する結果である。しかしながら、K3は

「1. 母語で作文を書くことが好きだと思う。」「2. 日本語で作文を書くことが好きだ と思う。」「3. 母語で作文を書くことが得意だと思う。」がそれぞれ3点、3点、2点か ら1点に下がっていた。これはかなり極端な変化であり、K3が最も苦手意識を表した テーマの調査が終了した直後にこのアンケートを実施したこととも関係があると考え らえる。K3は、手紙文という最後のテーマで適切な表現が書けず、さらにフィーバッ クに基づいての自己修正が上手にできなかったことでかなり自信がなくなっていた。

つまり、日本語で文章を書き、日本語教師からフィードバックを受け、自ら修正する という一連の過程が、K3の意識に負の影響を与えてしまった可能性がある。また、

K2も「1. 母語で作文を書くことが好きだと思う。」が5点から4点に下がっている。

その反面、日本語での作文に対する好き嫌い・得意意識には変化が起きていなかった ことから、書く練習を重ねてもそれが必ずしも、協力者の日本語での作文に対する意 識を変える要因になるとは言えないだろう。

以上のことから、日本語で書く練習の機会を与えることで協力者の情意フィルター を下げることが可能であるという筆者の仮説が成立しないことが分かった。つまり、

単純に書く活動を繰り返した場合、それがよい影響を与えるどころか、逆に学習者の 意欲を下げる要因となる恐れがあるということである。したがって、日本語の作文指 導を行う際には、テーマやフィードバックの仕方など、様々な観点からより綿密に授 業の計画を立てる必要があることが示唆される。

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