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考察

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82 8.2. 適切な自己修正を妨げる要因に対する考察

協力者 3 人には自己修正のパターンに一定の共通するパターンが存在し、それらを

⑴A-Bパターン⑵A-B-Cパターン⑶A-B-Aパターンの3つに分け分析を行った。

どのパターンにおいても確実に修正に成功するパターンは存在しないが、逆に、協力者 の自己修正が必ず失敗するパターンは存在した。厳密にいうと、成功の妨げになる要因 が介入されている場合は、学習者の自己修正が成功に至らない可能性が高くなり、それ が成功できないパターンとなりえる。

8.2.1. 不正確な推測

自己修正が成功できない根本的な原因は、学習者自身が問題(文法的に間違いだと指 摘された箇所、または不自然な表現だと指摘された箇所)を正確に把握していないこと に起因している。例えば、K1は小論文には相応しくない文体(デス・マス体)で作成 したことで教師からフィードバックを受けた。だが、K1はフィードバックの原因を最 初は語彙の不適切な選択であると、次は動詞活用の間違いであると思い込み、辞書やポ ータルサイトなどで修正の答えに関する情報を収集していた。しかし、不正確な推測を 基に情報収集をしても、フィードバックされた箇所を適切に直す方法は見つからず、K1 は文体を指摘された箇所について大半修正を諦めてしまった。その例が表 9-1 である。

表 9-1 【例 10】の自己修正のプロセス

【例10】文体4箇所(言われます、従っただけでした、ことに使います、環境が始まり

ます)(K1、T2、小論文、2次)

番号 発言及び行動 作業中の画面

① え?[笑い]うん?[笑い]

② なんで?本当分からないな

[分からない箇所に背景色を付けてい る]

③ [沈黙が7秒続く]

④ これ分からないな

⑤ あ、これも

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⑥ 殆どの

時間を勉強することに …

⑦ [沈黙が4秒続く]

⑧ 使っています??

⑨ え?[笑い]どうして?[笑い]

しかし大学校に入っ、たら …

これかな?

入ったら、

⑪ [沈黙が5秒続く]

⑫ 違う環境が、始まります??

[ネイバー辞書を開き、「始まる」を 検索]

K1 は文末に対する指摘が多いことには気づいたが、文体が間違っているとは考えら れず、修正をしばしば諦めていた。「環境が始まります」に至っては、その原因が「始 まる」という語彙選択のミスだと考え、そこで再度ネイバー辞書を開き「始まる」の意 味を再確認する様子が見られた。だが、結局、修正への手がかりをつかむことができず、

K1は「環境が始まります」を「環境になります」に修正したが、文体が相変わらず小 論文に相応しい文体となっていないため、自己修正が成功したとは言えない。

このように、学習者が複数のリソースを時間をかけて使用し、情報を集めようとして いても、その基の推測が間違っていると、自己修正は成功に繋がりにくい。またこれは、

教師からのフィードバックが介入される2次自己修正だけに限らず、協力者自身の気づ きを要する1次自己修正にも該当する。つまり、1次において協力者が自分の書いた文 に何らかの違和感を感じ、修正を施そうとしても、その違和感がどこからもたらされて いるのかを正確に把握できなければ、自己修正は成功できないのである。

8.2.2. 不適切な検索方法

協力者が間違いを正確に把握し、それを解決する答えを持っているとしたら、自己修 正は成功に繋がる可能性が高いだろう。だが、その答えを得るためには、積極的に、か つ適切にリソースを活用することで知識の不足を補う必要がある。これはつまり、協力 者が求める情報を得るために最善のリソースが何かを知ることが大事であると考えら

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れる。だが、適切なリソースを選んだとしても、そのリソースに合わせた適切な検索方 法を知らないと、協力者は自分の求める情報を入手することが困難となる。

不適切な検索方法で自己修正が成功までつながらないことが最も多かったのはK3で ある。K3 は、日本語での表現が思い浮かばなかったり、フィードバックされた表現の 代案が思いつかない場合に、辞書で自分の意図が表現できる日本語を調べていた。しか し、K1とK2 が辞書を利用する際に、検索語を原形に変え、できる限り簡潔な言葉で 検索をしていたことに対し、K3 は自分の書いた文章をそのまま入力し、検索をしてい た。

図 9-12 K3の不適切な検索方法の例

図9-1のように、K3はフィードバックされた文の「思う気もするね」をそのままコ ピーし、ネイバー辞書で検索した。K3が調べたかったのは「気がする」の使い方であ ったが、K3が求める情報とは関連性の低いものが多く出力された。そこで、ネイバー 辞書では自分の求める情報が得られないと判断したK3はグーグルを開き、同じ方法で 再度検索を行ったが、不適切な検索方法のせいで、K3 は結局いかなる情報も得られな かった。

このように、適切なリソースを選択することは言うまでもないが、その上、学習者自 身が求める情報を手に入れるためには、検索方法にも工夫をする必要があることが示唆 される。

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