BaTiO 3 -LiCoO 2 複合正極における出力特性
4.3. 誘電率と出力特性の相関性
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の測定温度の範囲外であることから観測されなかった.また,BSTにおいてはBa/Sr比に依 存して単調に誘電率極大温度Tmが変化する様子が観測された.これは正方晶 / 立方晶の相 転移に伴う誘電率の変化であると考えられる.バルクセラミックスにおける誘電率温度依 存性と比較して,誘電率の変化が散漫化し誘電率極大温度 Tmも低温へシフトしているが,
これは今回作製した誘電体単相ナノ粒子の粒径が小さく結晶性が低いことが原因であると 考えている.さらに,STは温度に依存せず誘電率はほぼ一定の値を示した.
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図 4.3.1 xBST誘電体単相ナノ粒子におけるXRDパターン
図 4.3.2 xBST誘電体単相ナノ粒子のSEM像
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図 4.3.3 xBST誘電体単相ナノ粒子のSEM像
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4.3.4. 誘電体界面の比誘電率と低温出力特性の相関
誘電体人工 SEI の誘電率と出力特性の関係性を調査することで,誘電率が出力特性に与 える影響について検討を行うこととした.具体的には各種誘電体材料について,室温 25℃ 及び低温 0℃における誘電体単相ナノ粒子の誘電率と複合正極の 10C 容量保持率を比較す ることで傾向を調査した(図4.3.4, 4.3.5).室温においては,各種BSTを被覆した複合正極は 未処理LCから大幅な容量改善を実現したが,誘電率と出力特性に相関性は確認されなかっ た.一方,電荷移動の熱的活性が大きく低下する低温(0℃)では,10Cにおいて未処理LCは 容量がほとんど得られなかったものの,xBSTを被覆した複合正極においては誘電率と出力 特性の間に強い相関性があった.
以上の結果を踏まえ,導入した誘電体界面の効果について考察する.低温(0℃)では未処 理LCでは容量がほとんど出なかった.BT複合正極では30%ほど容量保持していたが,室 温での容量保持率(約80%)と比べて容量保持率が減少していた.一方,0℃付近が誘電率極 大温度である0.6BSTでは,25℃と0℃における容量保持率は約80%→約50%であり,全複 合正極において最も低温出力が改善された.この要因について考察を行った.まず未処理
LCとBT,0.6BST複合正極の違いは,正極―電解液界面に誘電体人工SEI担持の有無であ
る.つまり,低温における性能劣化が,誘電体人工SEIが関与しない活物質バルク拡散抵抗 及び電解液抵抗増大による出力特性低下であれば,処理の有無に問わず出力特性は同等の 結果になるはずである.しかし,実際の低温における容量保持率は,未処理LCではほぼ容 量が出なかったものの,BTでは 30%,0.6BSTでは50%であった.この結果より,未処理 LCと複合正極において容量保持率に大きな差があることから,低温における性能劣化は活 物質バルク拡散抵抗及び電解液抵抗増大によるものではないと判断した.つまり未処理LC における電池劣化は,低温化に伴い電池内の電荷移動の熱的活性が低下,つまりRctが増大 し10Cという比較的高レートでは充放電できなかったと判断した.一方,0.6BSTでは室温
で80%,0℃で50%という高い容量保持率を示した.これは低温化に伴うRct増大を誘電体
人工SEIによって軽減した可能性が示唆された.以上の結果より,低温化に伴う出力特性低 下はRct増大によるものであり,それを改善する方法として誘電体人工SEIが応用できるこ とがわかった.
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