BaTiO 3 -LiCoO 2 複合正極における出力特性
3.2. 電池充放電中インピーダンス測定
3.2.4. 高レート容量とセル抵抗の相関
図3.2.7にBT添加試料での充電(a),放電(b)におけるRct,RLi,Rsolの結果を示す.図3.2.7 に示した値はそれぞれ4.1V と 4.2V付近であり,充放電時に抵抗が最小値を示した電位で ある.充放電どちらもその電位では似通った挙動を示す. BT添加量が少ない試料になるに つれてRsolは急激に低減する.これはCoイオンの電解液への溶解によって電解液の抵抗が 上昇しLIBの性能が低下するという問題点を,誘電体人工 SEIとしてBTを担持したこと により解消したことを示す.そのため,BT 添加試料における Rsolの変化は,BT 添加量が
1mol%以上においてCoの溶出を抑制する効果が存在するからである.つまりBT担持量が
多い試料ではRsolがほぼ一定値になる.RctもまたBT担持量が 1mol%において急激に低減 した.BT添加量が1mol%の複合正極においてRct は10.2Ωであり,未処理LC(Rct =127Ω) と比較して1/12程度の値となった.バルクBTの強誘電性は10-30nmの粒子径では消失す る[10-12]が,本研究でのBTの粒子径は約50nmほどであるため強誘電性は維持していると 考えられる.以上よりRctの急激な低減はBT層の誘電率による分極により正極―電解液界 面においての Li イオンの拡散を促進していると推察した.実際に表 3.2.1 に示した通り,
10Cのときの初期容量に対する容量保持率は BT 添加量1mol%試料において 76%,一方未
処理LCは22%であった.
充放電時のBT添加量が最大である15mol%においてRctは増大した.BT添加量増大に伴 い誘電体SEI層が厚くなるため,SEI中のLi拡散抵抗が増大する要因となったと考えられ る.2.2.節ですでに示したが,BT添加量が 5mol%以上増加すると BC のような不純物相が 現れる.つまりBT過剰添加による Rct増大はSEI膜の厚さとBCの生成が要因である.図
3.2.8にセル内抵抗と高レートでの容量保持率の相関性を示す. RctとRsolが減少している試
料において高い容量保持率があった.特にBT添加量1mol%において,強誘電体BT-SEIは Li の挿入脱離反応促進に影響を及ぼす可能性があることが判明した.一方,容量保持率が
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急激に低下するBT添加量が 5mol%と15mol%の試料では Rctが増大している.これは BT-SEI層が厚みと不純物BCの存在によるものである.対照的にBT添加量が5mol%,15mol%
の試料でもRsolはBT1mol%添加試料と変化なかった.これはBT-SEIによってCoの電解液 への溶出を抑制したからである.つまり BT 過剰添加試料による容量保持率の減少は BT-SEI膜の厚み上昇と不純物相 BCの存在の結果生じるRct増大によるものである.以上の結
果よりBT-SEIは正極-電解液界面においてLiイオンの速度論的移動を変化させることで高
レート時の容量改善に寄与したと考えられる.
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図3.2.1 正極近傍の素反応とセル内抵抗の分類
表3.2.1 積算容量とE1の相関性
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図3.2.2 インピーダンス測定中の充放電曲線
図3.2.3 フィッティングの際に用いた等価回路
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図3.2.4 未処理LCにおける0.1Cでの充電(a),放電(b)
(a)
(b)
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図3.2.5 各BT添加量のインピーダンスの比較 (a)充電時~4.1V,(b)放電時4.2V
(a)
(b)
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図3.2.6 全試料の各電位におけるRct,RLi,Rsol
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図3.2.7 BT添加試料での充電(a),放電(b)におけるRct,RLi,Rsol
(a)
(b)
BT loading (mol%)
BT loading (mol%)
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図3.2.8 各種抵抗と高レートでの容量保持率の相関性
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