• 検索結果がありません。

認知症グループホームの管理者の介護職に対する人材育成体制の認識

ドキュメント内 介護職の虐待防止に関する研究 (ページ 114-139)

第1節 本章における背景と目的

第 3章の認知症グループホームの介護職の調査結果において、過去 1年間に研修を受講 した介護職は87%と多く、介護職は研修受講によって問題を解決しようとする意識が高い と思われた。

認知症グループホームに従事する介護職は、認知症高齢者のケアを行い、生活を支える ためには、認知症の理解や認知症高齢者ケア等の専門的知識、技術を継続的に学ぶことが 必要である。しかし、認知症グループホームには、介護福祉士等専門的資格を持った介護 職が少なく、小規模の職場環境において、継続的に学習することが困難な状況があると考 える。そのため、介護職教育や指導等の教育体制が不十分となる可能性があり、管理者の 人材管理責任は大きく、認知症グループホームの管理者が介護職の人材育成に対してどの ように認識しているのか明らかにする必要があると考えた。

そこで、本章の調査目的を認知症グループホームの管理者を対象として介護職への人材 育成に対する認識を明らかにすることとした。このことが明らかになることで、介護職が 自信を持って働き、また専門職として知識技術を発揮でき、認知症高齢者はもちろんその 家族が安心して委ねられる認知症グループホームにおける介護職の人材育成につながるの ではないかと考えた。

第2節 本章における調査の概要

1.用語の定義

本章の調査を実施するうえで、以下の用語について調査における操作的用語の定義を 行う。

1)管理者

管理者とは認知症グループホームを運営する施設管理者でかつ教育研修等を企画運営 している者とする。

2)介護職の人材育成

デジタル大辞泉162によると、「将来のために有用な人物、専門的な知識を持った人物を 育てること」としている。本論文においても、同様の意味とする。

よって、介護職の人材育成とは、認知症高齢者の日常生活を維持するために、介護職 としての専門的な知識技術を持った人材を育成することとする。

162 デジタル大辞泉:人材育成の項目

111 3)管理者の認識

施設責任者として介護者の人材育成について理解すること、理解していること。また、

介護職の人材育成の必要性、期待することや望むこととする。

2.研究方法

1)研究デザイン

本調査を質的帰納的記述的研究とした。この研究方法は、良く理解できていない現象 について質的に記述し、理解することを目的とし、日常的な言語で現象やできごとを包 括的に示す方法である。本調査は、認知症グループホームの管理者の人材育成における 認識を明らかにすることを目的とするため、認識について対象者の語りから全体的にま とめることが必要と考えたため、この方法が妥当と考えた。

2)対象者

本調査の対象者を認知症グループホームの管理者とすることにした。そこで、認知症 グループホームの開設後3年以上経過している施設管理者10名とした。

開設後3年以上としたのは、認知症グループホームの運営が軌道にのり、教育体制が 整ってくる時期と判断したためである。対象人数を10名とした理由は、先行研究163164を 参考に施設管理者を対象とした面接調査の対象人数は10名程度であったことから、本研 究も最小人数として10名程度が必要と考えた。

また管理者の資格は問わないものとした。それは、厚労省の人員基準において認知症 グループホームの管理者は、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、老人デイサービ スセンター、指定認知症対応型共同生活介護の従事者または訪問介護員等として、3年以 上認知症である者の介護に従事した経験を有することとあり、厚生労働大臣が定める研 修「認知症対応型サービス管理者研修」を受講した者で常勤専従であることとされてい る。よって、資格の有無に関係なく管理者として従事できることから、本研究対象では 資格は問わないものとした。

3)対象者の募集

第3章の研究協力依頼した認知症グループホームにおける、A県内の認知症GH全165 事業所の管理者あてに郵送で協力依頼した。全事業所としたのは、開設年度の情報が得 られない対象事業所を除外するために県内の全施設とした。次に、研究協力の得られた 管理者で本研究対象施設の基準を満たしている場合に、返信の先着順に電話で連絡し、

口頭で研究協力を得た。

4)調査方法

163 岡本麻由美、竹崎久美子(2013):デイサービスを通した要介護高齢者の「安心」を支えるケア 小規模デイサービ スの施設管理者に焦点をあてて、高知女子大学看護学会誌、39(1)、34-42.

164 後藤真澄、間瀬敬子、榎本敬子(2014):高齢者の看取り介護の現状とあり方についての検討介護保険施設・居住系 サービの管理者インタビューを手がかりに、介護福祉学、21(1)、62-69.

112

本章の調査方法は、自記式質問紙調査と半構成面接調査とした。

(1)自記式質問紙調査:研究協力が得られた管理者には、事前に対象者の特性を把握す ることと面接調査を円滑に行うための資料とするために、性別、年齢、資格と年数、

所属組織の設置主体、過去 1 年間の施設内研修会開催回数や内容について、自記式質 問調査用紙を送付し面接当日までに記載してもらった。

(2)半構成面接調査:面接は一人60分程度行い、会話は本人の承諾を得てICレコーダ ーで録音した。面接内容は、「管理者や介護職になった経緯」を語ってもらった。そし て、その経緯から管理者としての認識につなげることとした。また、「介護職の人材育 成のために実際に行っていること」と「介護職の人材育成における認識」について自 由に本人の認識について語ってもらった。調査中、語りが続かないときや悩んでいる ような様子の時は、事前の自記式質問紙調査項目を確認しながら面接内容について語 ってもらった。面接の場所は本人のプライバシーの保持ができる環境を調整した。

5)分析方法

面接調査内容について、逐語録作成は所属究機関において研究調査に信頼を得られ ている音声言語の文字化などを専門に行っている業者に依頼した。その業者への依頼内 容はICレコーダーの音声の逐語録の作成であった。

(1)作成された逐語録を熟読し、対象者全体として、認知症グループホームの介護職の 人材育成の実際や人材育成の必要性や期待すること、望むことについて記載されてい る内容を取り出し、文脈のまとまりを一文とし、その意味を損なわないようにコード 化した。そして、類似性の意味のあるものを組み合わせてサブカテゴリ化し、そのサ ブカテゴリの意味が共通しているものを合わせて、抽象度をあげてカテゴリを生成し た。質的研究を専門的に実施している大学教員から助言を受け、内容の妥当性に努め た。

(2)作成された逐語録を熟読し、管理者の背景や管理者年数、基礎資格等によっての特 徴をまとめ、また介護職の人材育成に影響している内容をまとめた。

6)倫理的配慮

所属機関における倫理審査委員会の承認を得て(No.15-17)実施した。対象者につい ては、事業所宛に協力依頼文書を送付しており、施設から管理者を紹介されたことで、

承諾を得たと判断した。対象者へ研究の目的、意義、研究方法について文書と口頭で説 明し、署名による同意を得た。途中で研究参加の中止を申し出ても不利益を被らないこ とを説明した。面接内容を録音することを説明し、録音を拒否した場合はメモを取るこ との同意を得た。得られたデータは研究者が厳重に保管し、プライバシーの保護に務め、

また本研究以外に使用しないことを説明した。

業者依頼した逐語録について、個人情報保護法にかかる確認を契約し、データはセキ ュリティのためのパスワード設定がされており、終了後データ消去を約束した。

研究成果は、学会発表や論文として公表すること、その際は個人が特定できるような

113 内容は一切ないことを説明した。

第3節 本章における調査の結果

1.分析対象者の概要(表1)

対象者と順次面接調査を行い、新たな内容が得られなくなった11名とした。女性8名、

男性3名。平均年齢59.9歳で、管理者平均年数は5.9年であった。資格は複数回答で介 護福祉士が5名と最も多く、看護師3名、ヘルパー2名であった。

2.施設内研修会開催の概要

施設内研修会の企画は 10 施設で企画され、年間計画に則って実施されていた。特に、

法人や併設施設がある場合は合同で実施していることが多かった。施設内研修会を企画 していない 1 施設の管理者は、「(所属施設は)グループホームは多いが、各グループホ ームから職員さん 3 人以上が研修に出て、自分たちの思いを話す場を設けている」と述 べ、研修に出る場合は、個人の意思にまかせて外部研修会に参加している述べていた。

研修方法として「ネットから探してきたり、自分の持っている資料から拾い出してき て、これが当てはまるというものを取ってくる」、「施設で研修会を開きますので、研修 委員会という委員もあって、毎回テーマを決めて、課題を持って業務終了後に 1 時間か ら 1 時間半ぐらいの講習を開いてくれる」等、介護職がその講師役を務めていたり、イ ンターネットを基に講義内容を考えたり、また「受講後伝達講習をしている。必要なこ とを他の人に知ってもらう。」等、自分が参加した研修内容を伝達講義していた。

過去1年間の施設内研修会の内容について、第3章で介護職の研修について調査した 項目で、「人権擁護等」、「介護ケア」、「緊急時の対応」、「認知症の理解」、「高齢者の理解」、

「虐待」、「その他」の7項目に「看取り」を加え8 項目の実施を聞いた。最も多かった のは「緊急時の対応」8 施設、次に「虐待に関する内容」、「人権擁護」は6施設、「介護 ケア」、「認知症高齢者の理解」5施設の順であった。

施設内研修内容について、「年度始めに法人で、認知症だけではなくて、人とのコミュ ニケーションの取り方だったりとか、接遇とか、憲法とか、世の中の動き、制度の問題 から社会保障制度の問題から、いろいろ教育されていきます。」、「全体では記録の書き方 の話をしたり、個人情報の話、守秘義務の話をしたり、接遇研修をしたこともあります し、清拭の仕方とか、トランスファーの仕方とか、適宜、毎年テーマを見つけながら、1 年間に一つか二つ、そういうのをやるようにはしています。」、「介護の技術といっても、

単なる介護技術だけでなく、例えば認知症の対応や訪問の際の対応など、いろいろなジ ャンルで分けて、毎月はできませんが、隔月くらいに勉強会をしています。」等と述べら

ドキュメント内 介護職の虐待防止に関する研究 (ページ 114-139)