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第3章 振動台実験

4.3 解析結果

三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 4.2.2 解析方法

解析条件として、振動台と台座の間の固有振動数、静止摩擦係数、動摩擦係数、弾性剛性、

減衰定数を設定し、地震動を入力する。固有振動数は、振動台実験から算出したものを用い、

静止摩擦係数、動摩擦係数については、振動台実験を実施した際に実験を実施し、算定され た値をそれぞれ用いる。弾性剛性、粘性減衰については、振動台実験の際は固い床である振 動台の上に、合板による簡易的な床を作成し、その上に試験体を載せて実験を行なった。そ のため、今回は地盤とモデル床面の跳ね返りがあるということを仮定し、設定を行なった。

入力地震動には、脱活乾漆像の場合は、JMA-Kobe NS波(1029gal)、K-NET小千谷 EW波 (1357gal)、JR鷹取(1134gal)を使用し、塑像の場合は調和正弦波 速度一定22.5mm/s-1.0Hz を使用した。表4.3に脱活乾漆像、塑像それぞれの解析条件を示す。

表4.3 解析条件(振動台と台座の間)

脱活乾漆像 塑像 固有振動数[Hz] 2.8 1.4

静止摩擦係数 0.8 0.36 動摩擦係数 0.73 0.31 弾性剛性[kN/m] 100000 100000

粘性減衰 0.005 0.01

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図4.4 加振前後の移動量

4.3.1 脱活乾漆像

振動台実験結果と解析結果の回転角の比較を解析モデルの修正前後をそれぞれ、表 4.4、

4.5及び図4.5~4.7に示す。回転角については、それぞれ時刻歴での最大値となっており、

最大変位は最大変形角時のときの変形量である。また加振前後の移動量について、表 4.6、

4.7及び図4.8~4.10に示す。

モデル修正前の解析結果として、本躰の回転角 R1は1%または4%程度、底面の回転角

R2は20%または40%程度、変形角 Dは10%または40%程度の違いが出る結果となった

が、概ね再現性は図れていることが確認された。また、頭部の変形量について比較しても大 体整合している。また、加振前後の移動量について比較を行なった結果、実験結果に対して、

解析結果の方が移動しており、相違が出る結果となったが、移動方向は同じ結果となった。

次に、弾性応答および残留変形について考えると、実験結果・解析結果ともに弾性応答は 起こっており、また実験結果・解析結果ともに残留変形はないということが確認されたため、

再現性が図れている。

モデル修正後の解析結果としては、回転角は実験結果の半分以下の結果となっており、相 違が出ていることが分かるため、さらなる修正が必要であることが考えられる。加振前後の 移動量について比較を行なった結果、実験結果に対して、解析結果の方が移動しており、相 違が出る結果となったが、移動方向は同じ結果となった。また、弾性応答および残留変形に ついて考えると、実験結果・解析結果ともに弾性応答は起こっており、残留変形はないこと が確認された。結果に相違が出た要因として、今回の解析モデルは、接合部を剛接として設 定し、解析を行っているが、実際は接合部の影響があるために、結果に相違が出たと考えら れる。そのため、今後の解析では、接合部の影響を考慮に入れてモデルを修正して、解析を 行っていく必要があると考える。

よって、今後さらなる解析モデルの修正やパラメータ設定の必要性が考えられる。

X Y

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表4.4 回転角の比較(修正前)

表4.5 回転角の比較(修正後)

図4.5 JMA-Kobe NS波の回転角比較

最大変位δ max

[rad] [°] [rad] [°] [rad] [°] [mm]

実験結果 0.0529 3.03 0.0417 2.39 0.0191 1.09 66.9 解析結果 0.0829 4.75 0.0612 3.54 0.0210 1.21 73.7 実験結果 0.1686 9.66 0.1411 8.09 0.0471 2.70 165.1 解析結果 0.1708 9.78 0.0964 5.52 0.0743 4.26 260.5 実験結果 0.2702 15.48 0.2607 14.94 0.0553 3.17 193.9 解析結果 0.2675 15.33 0.2179 12.49 0.0496 2.84 173.7

K-NET 小千谷 EW波

JR鷹取 JMA-Kobe NS波

最大回転角R1 最大回転角R2 最大変形角D

最大変位δ max

[rad] [°] [rad] [°] [rad] [°] [mm]

実験結果 0.0529 3.03 0.0417 2.39 0.0191 1.09 66.9

解析結果 0.0259 1.48 0.0128 0.74 0.0131 0.75 45.8

実験結果 0.1686 9.66 0.1411 8.09 0.0471 2.70 165.1

解析結果 0.0745 4.27 0.0737 4.22 0.0311 1.78 108.9

実験結果 0.2702 15.48 0.2607 14.94 0.0553 3.17 193.9

解析結果 0.1593 9.13 0.1212 6.95 0.0452 2.59 158.4

JMA-Kobe NS波

最大回転角R1 最大回転角R2 最大変形角D

K-NET 小千谷 EW波

JR鷹取

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図4.6 K-NET小千谷 EW波の回転角の比較

図4.7 JR鷹取の回転角の比較

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表4.6 加振前後の移動量の比較(修正前)

表4.7 加振前後の移動量の比較(修正後)

図4.8 JMA-Kobe NS波の移動量の比較

図4.9 K-NET小千谷EW波の移動量の比較

実験結果 解析結果 実験結果 解析結果 実験結果 解析結果

移動量X(①) -6 -193 -11 -108 -280 -626

移動量Y(②) 55 198 37 117 254 393

JMA-Kobe NS波 K-NET 小千谷 EW波 JR鷹取

mm

実験結果 解析結果 実験結果 解析結果 実験結果 解析結果 移動量X(①) -6 -276 -11 -605 -280 -472

移動量Y(②) 55 170 37 393 254 338

JMA-Kobe NS波 K-NET 小千谷 EW波 JR鷹取 mm

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図4.10 JR鷹取の移動量の比較

4.3.2 塑像

振動台実験結果と解析結果の回転角の比較を表4.8及び図4.11に示す。回転角について は、それぞれ時刻歴での最大値となっており、頭部の変形量は最大変形角時のときの変形量 である。本躰の回転角R1変形角D、頭部の変形量δmaxは、概ね一致する結果となったが、

底面の回転角R2は実験結果と相違が出る結果となった。この要因として、台座と振動台間 の跳ね返りが大きいことが考えられるため、課題点としてパラメータ設定において、台座と 振動台間の弾性剛性を小さくすることやヤング係数の設定を見直すことが必要ではないか と考える。

次に、弾性応答および残留変形について考えると、実験結果・解析結果ともに弾性応答は 起こっていることが確認された。また、残留変形に関しては、実験結果では、残留変形はな かったが、解析結果では残留変形が出る結果となったため、相違が出た。相違が出た要因と しては、底面の回転角R2の値が大きく出たことや解析モデルにおいて、足元の剛性が小さ いために変形が起こったと考えられるため、解析モデルの修正をする必要があると考える。

表4.8 回転角の比較

最大変位δ max

[rad] [°] [rad] [°] [rad] [°] [mm]

実験結果 0.0588 3.37 0.0020 0.11 0.0579 3.32 59.8 解析結果 0.0588 3.37 0.0187 1.07 0.0578 3.31 59.6

最大回転角R1 最大回転角R2 最大変形角D

調和正弦波 速度一定22.5mm/s-1.0Hz

三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 図4.11 回転角の比較

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