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規制緩和活用ビジネスの先行事例分析

ドキュメント内 HIDO ATIS (ページ 103-127)

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Ⅳ. 規制緩和活用ビジネスの先行事例分析

〜気象情報ビジネスの発展から見る道路交通情報ビジネスの可能性等〜

Ⅳ.規制緩和活用ビジネスの先行事例分析

〜気象情報ビジネスの発展から見る道路交通情報ビジネスの可能性等〜

1.先行事例としての気象情報に着目する理由等

道路交通情報は、日常的な生活・産業活動等を支える 公益性の高い情報 である。

一方、道路交通情報と同様に公益性が高い情報で、かつ先行して民間開放された情報として、

気象情報 が挙げられる。気象情報を活用したビジネスは、段階的な規制緩和と、民間事業 者の創意工夫が同時並行的に進展することによって、民間ビジネスとして成熟するという経緯 を辿ってきた。

本章では、規制緩和を活用した新ビジネス創造の先行事例として、気象情報ビジネスを整理・

分析し、今後の道路交通ビジネス展開に向けた示唆を得ることを試みた。

1)気象情報サービスの概況

気象情報は、一般市民の日常生活(傘の携行の要否等)の側面から、レジャー・イベントの 集客予測や、農作業の水確保など様々な分野で利用されている。近年では特に、気温によって ビールやアイスクリームの売上が変わったり、真夏日の日数によってエアコンの販売台数が変 化したりするという事象に代表されるように、企業のマーケティング等の事業戦略にまで影響 を及ぼすようになっている。

一方、気象情報の提供のされ方自体も変化している。かつては、日本気象協会から提供され た情報を、テレビやラジオ、街角電光掲示板、新聞などが、県単位や、午前・午後・夜程度に 分類して提供するに過ぎなかった。

しかしながら今日では、一時間おき、郵便番号区分程度の細かい予報、晴れ、雨以外にも洗 濯指数などの目的に応じた情報提供、携帯電話などを利用したリアルタイム情報提供など、よ り個人利用者のニーズに即した提供方法に変わってきている。また法人向けも個別にカスタマ イズした情報提供や、単なる情報提供にとどまらず、気象リスクの管理や気象情報を利用した 収益向上策の提案などのコンサルティングまで行われるようになっている。

かつて気象情報は、テレビや新聞などで提供されていたため、利用者側にとってはことさら 金銭を支払ってまで得る情報ではなかった。ところが、実際にサービスが提供されてみると、

携帯電話の気象情報提供サービスは月額100円〜200円程度の費用負担が発生するものの、確 実に利用者が増加している。

このように、人々が日常的に関心を有している情報には、潜在的な市場性があるものと推察 される。

2)道路交通情報との類似性と着目する理由等

道路交通情報は、現在、朝のTV・ラジオを介したニュースや、道路上の情報板、インターネ

  気象情報と同様に、渋滞や事故、工事規制などは個人の行動に影響を与えるものである。ま た、高速バスや物流トラックの到着時間を狂わせ、効率的な車両管理や、顧客獲得に負の影響 を与えていると考えられ、その分企業収益にも負の影響を与えていると考えられる。

  このように、気象情報と道路交通情報は、多くの人にとって重要な情報であり、公共財とし ての情報提供がされてきたが、気象情報に見るように、ニーズへの対応や、より高度な情報提 供により、様々な付加サービスが生まれる余地があると考えられる。

  以上を踏まえ、本章では、気象情報サービスの成熟の過程を検討することで、道路交通情報 サービスへの示唆・知見を抽出することとした。

2.気象情報の規制緩和の経緯等

1)規制緩和の経緯

気象情報は、過去、特に天気予報(台風の予測や、異常気象、注意報・警報の発令、船舶・

航空に関わるもの)に関して気象庁が独占的に行ってきた。

気象情報分野における規制緩和は、平成4年3月の気象審議会答申第18号を受けて始まる。

平成5年には、「気象予報士制度」、「民間気象業務支援センター制度3」などの民間気象事業推 進策が導入された。このとき、気象予報の解説が自由化されたり、民間事業者による局地予 報が認められたり、予報業務許可の制度が簡略化されるなどの改革が行われている。

さらに、平成 7 年の規制緩和では、市町村よりも狭い範囲での一般向け気象予報業務が民 間事業者にも認められた。また、平成12年には、市町村区域以上の範囲でも一般向け気象予 報業務が民間事業者にも認められるとともに、1週間以上の長期予報も民間事業者に認められ ることとなった。

図表 気象予報の規制緩和の流れ

図表 気象庁収集の気象観測データ配信の経路

平成5年5月

・気象予報士制度

・民間気象業務支援センター制度(民間事業者への気象庁データの配信)

・気象庁発表の予報のテレビ等における解説業務の自由化

・一般向け天気予報(局地)の許可

・許可基準の明確化、申請書類の簡略化、事務処理の迅速化

平成7年

・当面、局地、すなわち市町村程度の範囲の区域又はそれより狭い区域を 対象に一般予報を許可

平成12年

・当面、局地、すなわち市町村以上の区域を対象に一般予報を許可

・一週間を超える長期予報を許可

気象庁 気象業務

支援センター

民間事業者

民間事業者 観測データ

配信

配信

配信 観測データ

観測データ

観測データ

出所)気象審議会「21 世紀における気象業務のあり方 について(答申)」より作成

2)現在の規制状況

現在の気象情報ビジネスの規制環境は次頁の通りである。

規制緩和がなされた現在でも、防災の観点から、地震、津波、高潮、洪水、台風の進路な ど災害に関する予報は制限されている。また、1ヵ月以上の長期予報も、予報精度の観点か ら認められていない。

このほかにも、気象庁が予報業務の許可を出す場合に、技術能力の事前審査が入ったり、

観測精度の維持を図るために民間事業者が設置した観測施設の所在地や観測データを気象庁 長官に報告させたりという、手続上の公的関与が認められる。

長期予報に関しては、徐々に緩和されつつあるが、気象庁の姿勢として気象庁自身の予測 精度が確立されない限り民間開放はしない方針である。この点で、気象庁の姿勢はあくまで も、もっとも正しい予測は気象庁によるものであり、国民は一度出た予報は信用し、その中 身について検証能力を持たず、誤情報が出された場合の事後的回復は不可能という観点から、

民間事業者に予報は許可するものの、予報の質は何らかの形でモニタリングしていくという 考え方で対処している。民間事業の場合、予報が頻繁にはずれると市場から淘汰されるとい う市場メカニズムが働くことが期待されるが、気象庁は予報ビジネスに市場原理を認めてい ないようである。

図表 現在の気象予報業務規制状況まとめ

 基準内容 

審査基準項目 区分  内容 

特定向け予報 契約等に基づき特定のものに限って提供する予報  一般向け予報 特定向け予報以外の予報 

予報業務の目的 

解説 許可不要  予報を行おうとする現

象 

気象及び波浪のみ。地象(路面状況を除く)、津波、高潮 及び洪水の予報は当面許可しない。 

予報の期間区分 

短時間: 

予報を行う時点から 3 時間以内の予報。最小時間単位 は 10 分間以上。 

短期: 

予報を行う時点から 3 時間先を超え、48 時間先以内 の予報。最小時間単位 1 時間以上。 

中期: 

予報を行う時点から 48 時間先をこえ、7 日間先以内 の予報。最小の時間単位は 6 時間以上。 

長期: 

予報を行う時点から 8 日以降を含む。最小の時間単位 は 5 日間以上。(1ヵ月以内まで) 

対象区域 明確に区分できる区域  予報業務の範囲 

一定の条件  気象庁発表の警報・注意報の基準と矛盾しないこと。台風 の進路は、気象庁発表の情報にとどめること。 

観測、予報資料

の収集施設  一般向け予報 

予報の対象区域ごとに最低一ヵ所以上の現地観測地が必 要。但し、急峻な山岳地域の気象予報を行う場合等を除き、

数値予報に仕様する解析を用いて代替しても良い。 

出所)気象庁総務部産業気象課「予報業務許可申請等の手引き」

3.気象情報を活用した民間ビジネスの現状

1)気象情報を活用した民間ビジネスの内容

気象情報ビジネスは、大きく「①気象予報」、「②調査ビジネス」、「③環境アセスメント・コ ンサルティング」、「④その他」に区分される。

①気象予報

・ 気象予報の主要顧客は、テレビ局、新聞社などのマスコミ、地方自治体、企業などであ る。1ヵ月の情報料は、凡そ15万円から35万円と言われている。

・ 気象予報でコンテンツビジネスが最近伸びている。インターネットや携帯電話へのコン テンツ提供で、多くの気象ビジネスが法人対法人(BtoB)の取引であるのに対して、法 人対個人(BtoC)の取引になる。また、洗濯指数、ビール指数、日焼け指数など、利用 者にわかりやすい情報提供を工夫している。

②調査ビジネス

・ 調査ビジネスの主要顧客は、関西新空港建設などの大型プロジェクトや、オリンピック、

博覧会などの事業主体である。

③環境アセスメント・コンサルティング

・ 環境アセスメントは気象環境や、海洋汚染、大気汚染などの調査・研究である。

・ コンサルティングは、イベント会場の天気や、弁当の発注量、ゴルフ大会の天気などで あるが、売上に占める影響は小さいと言われている。報酬も一件2~3万円程度といわれ ており、金額面からも大規模なものではないことがわかる。

・ 但し、航海コンサルタントは海運業向けの最適航路を推奨するが、このサービスは一件 15万円前後と高額になっている。コンサルタントの場合、予測が外れても賠償する必要 はない4

④その他

・ その他の業務として、気象情報サービス提供のためのソフトウェア開発や、天候デリバ ティブなどの金融商品の開発が挙げられる。

気象情報サービスを提供している、主要各社の提供サービスは、次頁のとおりである。

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