BT剤
本試験に供試した 5 薬剤は、薬剤間で防除効果に差はあるものの、いずれも葉および 莢に対して防除価 82 以上の高い防除効果を示した。さらに,初発後(5 日以内)に薬剤散
布を開始した試験においても、初発前散布とほぼ同程度の防除効果を示した(データ未 記載)。
これらは農薬登録において散布回数に制限がない上、耐性菌の発生報告がないことか ら、耐性菌発生の可能性は極めて低いと考えられる。このため、同一薬剤の連用が可能 であり、各薬剤の防除効果を評価した本試験の散布体系を即現場で活用できる。
これらの薬剤は化学農薬の散布回数としてカウントされないため,北海道が推進する 有機栽培および減化学農薬栽培において活用できる。サヤエンドウのうどんこ病の防除 におけるこれら薬剤の使用は、①高い防除効果を維持しながら、②減化学農薬栽培が実 現でき、③薬剤耐性菌発生リスクを低減できる。そのため、これらの薬剤の積極的な導 入が期待される。
引用文献
芳賀 一ら(2010)関西病虫研報 52:69-71.
宮田將秀・増田俊雄(2006)北日本病虫研報 57:182-184.
三澤知央(2011)北日本病虫研報 62:(印刷中).
尾松直志・新屋敷生男(2010)鹿児島農総セ報(耕種) 4:11-16.
末永寛子ら(2007)岡山県農試県報 25:29-32.
「鳴かない虫と音楽」(後編)
柏田 雄三 バッタ目(直翅目)
生誕
350年以上が経つアラン・マレ(
1656~
1728)の「異国趣味の音楽(
1717年)」
から「バッタ(La Sauterelle)」。ヴィオールとギターの二重奏、後半にはヴィオール もピチカート奏法を駆使してバッタが飛び交っているような掛け合いがあり何とも 楽しい曲だ。同じくフランスのフランシス・プーランク(1899~1963)の「イナゴ
(La Sauterelle) 」。動物小話集(または「オルフェウスのお供」 )中の一曲。詩人が 自らをイナゴと比較し、はたして聖人に食べてもらえるだろうかと謙虚に歌うわずか
20秒ほどの曲。昆虫食である。歌詞はかのアポリネール。前にも紹介したルーズ・
ランゴー(1893~1952)のピアノ曲集「インセクタリウム」の一曲「Locust」はう ろうろと飛ぶ飛蝗の描写である。
クロード・ラプハム(1891~1957)の「虫の歌」
は赤蜻蛉、蝗、蛍、鈴虫、蝉、蝶々の
6曲からな るピアノ作品で滞日中の
1934年に作られた。当 時のアメリカ人が虫の描写を通じ日本人の情感を どのように捉えたかを窺えて興味深い。エリカ・
ヘルツォークさんの弾く「日本の思ひ出」という アルバムで聴いた。「蝗(イナゴ)」は飄々とした 風情の曲である。
我が坂本龍一(1952~)のピアノ曲「バッタ
(Grasshoppers)」。ピアノデュオ版が原曲だが、超絶技巧ピアニストとして知られ る岡城千歳さんのソロ編曲で聴く。はじめはバッタの動きを示すような
3拍子系で、
キース・ジャレットのケルンコンサートを思わせるやや叙情的な中間部を経たのち冒 頭テーマをミニマル音楽風に展開させ
5分強の曲を終える。虫好きだという山田栄二
(1948~ )の「ファーブル昆虫記」は
8本のホルンのための組曲。名手アンサン ブル「つの笛集団」の
CDを聴く。その中の「バッタ」では大発生したバッタが植物 を食い荒らしながら進軍する。
フィンランドのカレヴィ・アホ(1949~)の「Insect Symphony」と名づけられた 交響曲第
7番には全楽章虫の名前が付されていて、第
4楽章は「The Grasshoppers」。
曲はカレル・チャペックの戯曲「虫の生活から」から発想されている。戯曲中での虫
はコオロギだから、鳴かない虫として取り上げるのは妥当でないかもしれない。
カマキリ目(蟷螂目)
オーストラリアの作曲家フィリップ・ホートン(1954~)の「月とカマキリ」はギタ ーのための二重奏曲である。なぜカマキリなのかライナー・ノーツを見ても判らない。
山田栄二「ファーブル昆虫記」の「ウスバカマキリ」はピアソラ風のユーモラスなタ ンゴである。
ハエ目(双翅目)
フィニ・ヘンリケス(ヘンリク) (
1867~
1940)はデンマークの作曲家である。そ の手になる「蚊の踊り」は
1分半ほどの小曲で、管弦楽をバックにクラリネット(ま たはリコーダー)が活躍し、リムスキー=コルサコフの「熊蜂の飛行(マルハナバチ の飛行)」と同様に無窮動風の音の連なりにより蚊の飛ぶ様を描く。
ロシアの作曲家アレクサンダー・スクリャービン(1872~1915)には「蚊」の通 称を持つ
1分程のピアノの練習曲作品
42-3。蚊を連想させるトリルが難しそうだ。ハンガリーのベラ・バルトーク(1881~1945)の「2 つのヴァイオリンのための
44の二重奏曲」中の「蚊の歌」は更に短い
30秒ほどの曲で、のんびりと蚊が飛ぶ様子 が示される。モデスト・ムソルグスキー(1839~1881)の「ボリス・ゴドゥノフ」は 彼の天才ぶりを感じさせる傑作歌劇である。この中のアリア「蚊の踊り」はロシア皇 帝の皇子と皇女の乳母がひょうきんに歌う。蚊、南京虫、トンボが登場し、南京虫の 振り回した薪に当たった蚊が肋骨を
3本折ってしまったというたわいのない内容で 伴奏のヴァイオリンが蚊の羽音を擬している。椎名誠氏著の「蚊學ノ書」によると、
シベリアの蚊は大きさや発生数が日本の常識では考えられないものらしいので、肋骨 を折る蚊がいても不思議ではない気がしてくる。この本では蚊について薀蓄がさまざ ま語られるが残念なことに音楽との関連は薄く、栗原毅氏著の「蚊の博物誌」でも同 様である。
メル・ボニス(1858~1937)をご存じだろうか。時折名前を目にするようになっ たフランスの女性作曲家でピアノ曲の「蚊」。めまぐるしいがダンスのようでこれな ら刺されても悔しくなさそうだ。
ブラジルが生んだ南米最高のクラシック音楽家エイトール・ヴィラ=ロボス(
1887~
1959)の「蚊の踊り」。大規模な管弦楽曲で、蚊が飛び回る様子を表す。ホルンが 音を大きく跳躍させて活躍し演奏がすごく難しそうだ。蚊が飛んでイライラさせる様 子はヴァイオリンの高音でよく表現されている。
チェコのレオシュ・ヤナーチェク(1854~1928)のオペラ「利口な女狐の物語」に も蚊が登場する。このオペラには人間と動物、昆虫が一緒に出てくるので自然賛歌だ と言われるが、こういうことにかけては日本だって負けていない。音楽ではないが、
狂言の「蚊相撲」は大名が「蚊の精」と相撲を取ると言う奇想天外な内容だ。野村萬
斎が大名役を演ずる舞台を遠くまで観に出かけたが実に面白かった。蚊の精が「ぷー
ん」と言いながら大名を刺しに行く場面では客席から笑い声が上がる。大名は相手の
男が江州守山の出身だと聞いただけで正体を蚊の精だと見破る。琵琶湖を囲む地域は 昔マラリアの多発地帯だったことが知られている。蚊の名所という訳なのだ。
喧しい若者がたむろしないよう、彼らにしか聞こえない高周波数の音(17,600Hz)
を発する装置がイギリスの街角に設置され賛否を呼んでいる。このような高音はモス キート音と呼ばれ、この装置は日本でも「モスキート」という名前で販売されてコン ビニや公園などに試験的に設置されているようである。
人間の耳は最高で
20,000Hz位までしか聞こえないとされており、
CDの規格が最高
20,000Hz
となっている理由の一つである。加齢により高い周波数の音がだんだんと
聞こえ辛くなるというので、どのくらいの高さまで聞こえるかをテスト
CDで試し、
その結果に愕然としたことがある。精神衛生上あまりお勧めはできないが、耳が若い と自信をお持ちの向きは試してみられたい。
音楽の再生に
20,000Hzより高い周波数が必要でないという考えには異論もあり、
再生周波数の範囲が
100,000Hzまでと広くダイナミックレンジも大きい
SACDが製 品化されている。最近インターネット上で従来のマルチビットのリニア
PCM方式で はなく
DSD規格による配信が始まり、環境を整えれば
SACDに匹敵する音が簡単に 入手できると言う大変な時代になった。耳で直接聞こえない周波数の存在によってな ぜ音が良くなるのか、倍音成分が影響しているといわれるがそれを論ずる場ではない ので先を急ごう。
蚊の音楽はどのぐらいの高さで演奏されるのだろうか。因みに
88鍵のピアノの最
高音
C8は
4,186Hzなので、うるさい若者撃退装置の周波数より
2オクターブ以上低
いことになる。
安富和男氏の著書によると蚊の羽音周波数は
350~600Hzと意外に低いのである。
種や雌雄によって周波数が決まっていて、メスでは、コガタアカイエカ
380Hz、シナハマダラカ
340Hz、ヒトスジシマカ512Hzだそうだ。 「モスキート音」の命名は過大
(過高)評価されていることになる。いわゆる鳴く虫の音は大体が
4,000~6,000Hzなのでこちらのほうがずっと高い。
バルトークによるピアノ曲集「ミクロコスモス」に「蝿の日記より」という小曲が ある。 「ミクロコスモス」は
153の小曲からなる子供のための練習曲集で、6 つの巻 に分かれており後になるにつれ演奏が難しくなる。これは最も難しい第
6巻に収録さ れた
142番目の曲である。わずか
1分半ほどの曲で、ぶんぶん飛ぶハエの音を密集し た位置で白鍵と黒鍵を二つの声部に分けて運動させるという方法で表している。弦同 士が共鳴するような不思議な響きであるが、ソステヌートペダルを多用しているのか もしれない。磯崎敦博(?~ )の「虫の謝肉祭」はクラリネットアンサンブルの曲。
虫の名前の童謡やクラシックの曲が多数メドレーでごく短時間ずつ現れ、「蠅の日記
より」と後述の「蚤の歌」も出て来る。なんとまあという印象だ。ポーランドのアレ
ドキュメント内
バイオコントロール原稿
(ページ 76-82)