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〈 花 卉 類 〉

ブ ラ ジ ル で 花 が 経 済 栽 培 で き る よ う に な っ た の は 、 今 か ら 3 5 年 ほ ど 前 か ら で あ る か ら 、 そ の 歴 史 は ご く 短 か い 。 そ れ 以 前 は 移 住 者 が 携 行 し た そ れ ぞ れ の 国 の 種 子 は 、 庭 先

に 植 え ら れ て 、 郷 愁 の 花 と し て 眺 め ら れ て い た に 過 ぎ な い 。

1 9 5 2 年 、 サ ン パ ウ ロ 州 ス ザ ノ の 石 橋 初 雄 は オ ラ ン ダ か ら グ ラ ジ オ ラ ス の 優 良 種 を 導 入 、 5 年 間 の 試 作 で ブ ラ ジ ル の 適 応 品 種 を 選 抜 し 、 そ れ を 繁 殖 し て 普 及 し た 。

1 9 5 4 年 、 サ ン パ ウ ロ 州 ア ナ ハ イ チ の 松 岡 春 寿 は 、 ウ ル グ ァ イ か ら シ ム 系 の カ ー ネ ー シ ョ ン と ブ ラ ジ ル に な か っ た 菊 の 品 種 を 導 入 し て 繁 殖 し 、 2 年 目 か ら 花 つ く り を 志 す 青 年 た ち に 苗 を 分 譲 す る と と も に 、 そ の 栽 培 技 術 を も 指 導 し た 。

1 9 5 8 年 、 前 出 の 石 橋 は ア ル ゼ ン チ ン か ら 菊 と カ ー ネ ー シ ョ ン 、 1 9 6 1 年 に は 日 本 か ら バ ラ 、 ツ ツ ジ 、 ツ バ キ 、 松 、 杉 な ど 多 数 の 品 種 を 導 入 、 ブ ラ ジ ル に 適 し た 優 良 品 種 を 選 ん で 繁 殖 し 普 及 し た 。

1 9 5 0 年 代 の 末 に 、 石 橋 、 松 岡 ら 先 覚 者 の 技 術 指 導 を 受 け た 青 年 た ち か ら 、 更 に 幾 何 級 数 的 に 増 加 し た 日 系 花 作 り は 約 1 0 0 0 家 族 を 数 え 、 現 在 で は ブ ラ ジ ル 花 卉 産 業 を 担 う 中 核 と な り 、 そ の う ち の 相 当 数 の も の は 輸 出 を も 狙 っ た 花 卉 栽 培 を 大 が か り に お こ な っ て い る 。

前 記 し た よ う に 、 こ こ 3 5 年 ほ ど 前 は ブ ラ ジ ル の 花 の 栽 培 種 は 、 先 覚 者 が 苦 労 し て 外

国 か ら 導 入 し 繁 殖 し た も の で あ っ た が 、 最 近 は ブ ラ ジ ル 経 済 の 発 展 と 共 に 花 の 需 要 は 急 激 に 増 え 、 更 に 外 国 か ら の 導 入 も 容 易 に な っ た の で 、 日 系 と オ ラ ン ダ 系 栽 培 者 は 、 機 会 あ る ご と に 日 本 や ア メ リ カ 、 ヨ ー ロ ッ パ な ど か ら 有 望 な 品 種 を 導 入 し て 栽 培 し て お り 、 国 内 ば か り で な く 輸 出 を 専 門 と す る 栽 培 者 も 増 え て い る 。

〈 庭 園 樹 〉

数 多 く の 庭 園 樹 が ブ ラ ジ ル に 導 入 さ れ て い る が 、 そ の 導 入 の 経 緯 の 明 ら か で な い も の が 多 い 。 日 本 移 民 が 移 住 の 際 に 種 子 あ る い は 苗 を 持 ち 込 ん だ も の が 相 当 あ っ た と 想 像 さ れ る が 、 そ の ほ か 植 物 園 な ど 公 的 機 関 が 日 本 か ら 直 接 、 あ る い は 北 米 や ヨ ー ロ ッ パ を 経 由 し て 導 入 し た も の も 多 い よ う で あ る 。

1 9 5 8 年 、 サ ン パ ウ ロ 州 ス ザ ノ の 花 卉 、 庭 木 栽 培 者 の 石 橋 初 雄 は 、 日 本 か ら 庭 園 用 と し て バ ラ 、 ツ ツ ジ 、 ツ バ キ 、 山 吹 な ど の 花 木 や 、 松 、 杉 、 イ チ ョ ウ 、 楓 、 ナ ン テ ン 、 ヒ バ 、 八 手 、 竹 な ど の 庭 木 を 導 入 、 そ れ を 育 苗 し て 同 業 者 に 分 譲 し 、 更 に 全 伯 に 普 及 さ せ た 。 ち な み に 石 橋 が 1 9 7 1 年 に 分 譲 し た 苗 木 は 4 0 万 本 に の ぼ っ た と い う 。

最 近 は 日 本 庭 園 に 関 心 を も つ ブ ラ ジ ル 人 が 増 え 、 庭 園 樹 の 需 要 も 徐 々 に 増 え て い る が 、 更 に 高 速 道 路 や 発 電 所 の 築 堤 な ど の 保 護 林 兼 鑑 賞 樹 と し て の 需 要 も 増 え 、 生 産 が 間 に 合 わ な い ほ ど の よ う だ 。

5 . 香 辛 ・ 嗜 好 作 物

コ シ ョ ウ(Piper nigrum.L)コショウ科。Pimenta do Reino

原 産 地 は 西 イ ン ド と い わ れ 、 1 2 世 紀 か ら ア ラ ブ 商 人 を 通 じ て ヨ ー ロ ッ パ に 知 ら れ て い る 。

ブ ラ ジ ル に は 1 7 世 紀 に な っ て 導 入 さ れ た が 、 品 種 が 劣 っ て い た こ と と 栽 培 技 術 が 確 立 さ れ て い な か っ た こ と で 大 規 模 栽 培 に は 至 ら な か っ た 。 そ の コ シ ョ ウ の 優 良 品 種 を 導 入 し 、 栽 培 技 術 を 確 立 し て 、 経 済 栽 培 の 軌 道 に 乗 せ た の は 日 本 人 移 民 で あ る 。

1 9 2 8 年 、 日 本 で 設 立 し た 南 米 拓 殖 会 社 は 、 翌 2 9 年 に 現 地 代 行 機 関 の コ ン パ ニ ヤ ・ ニ ッ ポ ニ カ ・ デ ・ プ ラ ン タ ソ ン ・ ド ・ ブ ラ ジ ル を パ ラ ー 州 ベ レ ン に 設 け 、 ア カ ラ 植

民 地 ( 後 の ト メ ・ ア ス ー 植 民 地 ) の 開 設 に 乗 り 出 し 、 同 年 9 月 に 入 植 し た 第 1 回 移 民 に 、 カ カ オ を 主 作 と し 、 米 、 コ シ ョ ウ 、 そ の 他 を 補 助 作 物 に し た 営 農 を 指 導 し た 。 こ の 時 の コ シ ョ ウ は ブ ラ ジ ル 在 来 種 で 、 実 の 成 り が 少 な く 経 済 性 は な か っ た 。

1 9 3 3 年 8 月 、 ハ ワ イ 丸 の 輸 送 監 督 臼 井 牧 之 助 ( 南 拓 社 員 ) は 、 ブ ラ ジ ル へ の 途 次 、 シ ン ガ ポ ー ル の 植 物 園 で 2 0 本 の コ シ ョ ウ 苗 を 購 入 、 船 内 で そ れ を 育 成 、 ア カ ラ 植 民 地 の ア サ イ ザ ー ル 試 験 場 に 植 え た 。

1 9 3 5 年 4 月 、 経 営 不 振 の 南 米 拓 殖 株 式 会 社 は 業 務 縮 小 を 決 定 し 、 8 回 以 降 の 移 民 に は カ カ オ 栽 培 に 当 ら せ た が 、 す べ て 徒 労 に 終 り 、 カ カ オ 直 営 農 場 の 閉 鎖 、 ア サ イ ザ ー ル 試 験 場 の 廃 止 、 モ ン テ ・ ア レ グ レ 植 民 地 、 カ ス タ ニ ヤ ー ル 農 場 の 閉 鎖 な ど を 実 行 し た 。

こ の 時 、 ア サ イ ザ ー ル 試 験 場 の 閉 鎖 業 務 に 従 事 し て い た 尾 花 福 太 郎 は 、 試 験 場 の 片 す み に す く す く 伸 び て い る 3 本 の コ シ ョ ウ の 若 木 を 見 つ け た 。 臼 井 敏 之 助 が シ ン ガ ポ ー ル か ら も っ て 来 た 東 洋 の コ シ ョ ウ で あ っ た 。 そ れ を 居 合 わ せ た 加 藤 友 治 と 斉 藤 円 治 ( 南 拓 閉 鎖 後 試 験 場 を 買 い 取 っ た ) に 一 本 づ つ 分 け た 。 加 藤 と 斉 藤 は 入 植 以 来 、 適 性 作 物 を 発 見 す る た め 自 国 で い ろ い ろ な 植 物 を 試 験 栽 培 を お こ な っ て い た の で 、 喜 ん で も ち 帰 り 早

速 植 え て み た 。 こ の あ と 、 こ れ を 徐 々 に 増 や し て 日 本 人 農 家 に 配 付 し た 。

1 9 4 5 年 8 月 、 第 2 次 世 界 大 戦 が 終 る と と も に 、 ブ ラ ジ ル の コ シ ョ ウ が 値 上 り を は じ め 、

4 5 年 に k g 3 0 ク ル ゼ イ ロ で あ っ た も の が 、 翌 4 6 年 に は 8 5 ク ル ゼ イ ロ に 高 騰 し た 。 こ れ は コ シ ョ ウ の 主 要 産 地 で あ る イ ン ド 、 イ ン ド ネ シ ア 、 マ レ ー シ ア が 戦 火 に 荒 さ れ た か ら で あ る 。

こ の 当 時 、 前 出 の 加 藤 友 治 、 斉 藤 円 治 の 育 成 し た 東 洋 コ シ ョ ウ は 約 8 0 0 本 に 増 え て い た 。

コ シ ョ ウ の 高 騰 に 刺 激 さ れ た 入 植 者 は 、 在 来 種 コ シ ョ ウ の 手 入 れ を お こ な う と と も に 、 加 藤 、 斉 藤 か ら 東 洋 の コ シ ョ ウ 苗 を 譲 り 受 け て 新 植 し た 。

1 9 4 7 年 、 ア カ ラ 産 業 組 合 の 決 算 で 、 コ シ ョ ウ の 売 上 高 が 前 年 の 7 倍 増 と な り 、 植 民 地 の 全 員 が コ シ ョ ウ を 主 作 と す る こ と を 決 め 、 加 藤 、 斉 藤 が 熱 心 に そ れ を 指 導 し た 。 1 9 4 9 年 、 ア カ ラ 産 業 組 合 は ト メ ・ ア ス 一 産 業 組 合 と し て 正 式 に 認 可 さ れ 、 植 民 地 名 も ト メ ・ ア ス ー 植 民 地 と 改 め た 。 1 9 5 0 年 、 コ シ ョ ウ は 組 合 の 販 売 高 の 1 位 と な り 、

サ ン パ ウ ロ に 販 売 所 を 設 け た 。 こ の 年 か ら コ シ ョ ウ の 値 は 徐 々 に 上 り は じ め 1 9 5 2 - 5 3 - 5 4 年 と 高 騰 し 、 ア マ ゾ ン の 黒 ダ イ ヤ と い わ れ た コ シ ョ ウ ・ ブ ー ム が 起 っ た 。 こ の と き の ト メ ・ ア ス ー 植 民 地 の コ シ ョ ウ 栽 植 本 数 は 3 3 万 2 千 本 に 達 し て い た 。( 現 地 で は コ シ ョ ウ ・ シ ン ガ プ ー ラ 種 と 呼 ん で い た )。

1 9 5 5 年 、 東 南 ア ジ ア の コ シ ョ ウ 栽 培 の 回 復 と と も に 。 徐 々 に 値 下 り 徴 候 を み せ 、 5 5 年 に k g 1 5 0 ク ル ゼ イ ロ で あ っ た も の が 、 5 6 年 に は 6 5 、 5 7 年 に は 原 価 を 割 る 3 4 ク ル ゼ イ ロ と 下 落 し 、 大 不 況 と な っ た 。 こ の 不 況 も 1 9 5 8 年 に は 一 段 落 し 、 徐 々 に 値 段 が 回 復 、 ト メ ・ ア ス ー の コ シ ョ ウ 生 産 も 3 0 0 0 ト ン を 越 え 、 ア ル ゼ ン チ ン 、 北 米 、 英 国 に 輸 出 す る な ど 、 好 況 が 6 0 年 末 ま で 続 い た 。

1 9 7 0 年 代 に 入 っ て 、 ト メ ・ ア ス ー は ま た も や 苦 境 に 追 い こ ま れ た 。 数 年 前 か ら 発 生 し 始 め た コ シ ョ ウ の 病 害 ( フ ザ リ ウ ム 菌 と ウ イ ル ス 病 ) が あ っ と い う 間 に 第 1 、 第 2 ト メ ア ス ー 植 民 地 の 全 域 に 広 が り 、 生 産 が 急 落 し た か ら で あ る 。 最 盛 期 の 1 9 6 8 ~ 7 0 年 ご ろ は 、 組 合 員 が 3 2 0 人 を 越 え 、 コ シ ョ ウ の 生 産 も 7 0 0 0 ト ン に 達 し て い た が 、 そ の 直 後 に 組 合 員 は 2 4 0 名 と な り 、 生 産 も 5 0 0 0 ト ン を 下 回 り 、 1 9 7 6 年 に

は 3 5 0 0 ト ン と い う み じ め な 状 況 に な っ た 。

コ シ ョ ウ の 病 害 に と り つ か れ た 組 合 員 が 、 そ の 後 に と っ た 対 応 策 は 3 つ あ っ た 。 1 つ は 病 害 地 帯 の ト メ ・ ア ス ー か ら の 離 村 で あ り 、 比 較 的 富 裕 な も の が 、 主 と し て サ ン タ レ ン ( パ ラ 州 第 2 の 都 市 ) 周 辺 に 転 住 し て 、 新 た に コ シ ョ ウ 栽 培 を 始 め る 。

そ の 第 2 は 、 植 民 地 に 残 り 病 害 対 策 と し て 廃 コ シ ョ ウ 園 を 利 用 し た 経 営 の 多 角 化 路 線 で あ る 。 4 ~ 5 年 で コ シ ョ ウ の 病 害 が 出 る の で 、 苗 を 植 え 込 む と 同 時 に 、 メ ロ ン 、 パ パ イ ア 、 マ ラ ク ジ ャ ( パ ッ シ ョ ン ・ フ ル ー ツ ) マ ン ジ ョ カ な ど 短 期 換 金 作 物 を 植 え 、 経 営 を 多 角 化 し ょ う と す る も の で 、 す で に ハ ワ イ 種 マ モ ン は 主 要 作 物 の 一 つ と な っ て い る 。

第 3 の 対 応 策 は 、 組 合 の 集 団 の 力 を 結 集 し て 新 植 民 地 を 建 設 し よ う と い う も の で あ る 。

す で に こ の 計 画 は 具 体 化 さ れ ア イ ウ ・ ウ ス 一 区 に 約 1 1 万 h a の 払 い 下 げ を 受 け て い る 。

日 本 か ら こ の 病 害 退 治 の た め 派 遣 さ れ た 一 戸 稔 博 士 ( 農 林 省 農 林 技 術 研 究 所 線 虫 研 究 室 長 ) の 研 究 に よ れ ば 、 コ シ ョ ウ の 病 害 「 根 ぐ さ れ 病 」 は 、 根 こ ぶ 線 虫 が 高 密 度 に 寄 生

す る こ と に 強 く 関 連 す る 病 気 だ と い い 、 こ れ に は 熱 帯 特 有 の 気 象 、 土 壌 、 生 物 条 件 を 総 合 し た 根 本 的 な 対 策 が 必 要 で あ る と い う 。

1 9 8 6 年 末 現 在 の 組 合 員 の 永 年 作 物 植 付 本 数 を 、 つ ぎ の よ う に ト メ ・ ア ス 一 組 合 で は 発 表 し て い る 。 そ れ に よ る と 多 角 営 農 化 は め ざ ま し く 進 ん で い る が 、 な お コ シ ョ ウ は 主 作 物 と な っ て い る 。

コ シ ョ ウ = 1 . 3 2 7 . 9 9 0 本 、 ゴ ム = 1 9 5 . 5 4 2 本 、 カ カ オ = 9 2 4 . 9 8 4 本 、 デ ン デ = 2 8 . 2 2 8 本 、

タ ッ プ ア ス ー = 1 9 . 2 8 2 本 、 グ ァ ラ ナ = 1 5 . 1 4 9 本 、 コ ー ヒ ー = 1 4 . 5 1 7 本 、 カ ジ ュ = 5 0 0 本 、

マ ラ ク ジ ャ = 1 3 2 . 2 6 5 本 、 マ モ ン = 3 . 0 0 0 本 、 リ モ ン = 4 . 3 0 0 本 、 グ ラ ビ オ ー ラ = 3 . 0 0 0 本 、 コ コ ヤ シ = 7 7 3 本 、 カ ス タ ー ニ ア = 6 0 0 本 、 マ ン ゴ ス チ ン = 4 0 0 本 、 ア サ イ = 1 0 . 0 0 0 本 、

コ シ ョ ウ は 、 現 在 、 病 害 地 を 遠 く 離 れ た バ イ ア 州 、 エ ス ピ リ ッ ト ・ サ ン ト 州 で も 栽 培 が 始 ま っ て い る 。 1 9 8 6 年 の ブ ラ ジ ル 全 体 の 生 産 量 は 2 5 . 4 6 8 ト ン で あ る が 、 そ

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