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医療面接技法
平成24年度採用の研修医を対象としたワークショ ップが、4月7日(土)、8日(日)いこいの村能登半島
(志賀町)において実施され、「医療面接技法」をテーマ に研修医37名(内1名歯科研修医)が参加した。昨年 に引き続き、本学名誉教授津川龍三先生を講師に迎え、
「人間として、医師として」というテーマで講演をし ていただいた。先生は医師としての仕事の進め方、外 来のあり方、問診の要領、患者さんとの会話など人間 として、医師としての心構えを、長い臨床経験を交え てお話しされた。また、これから研修医として医療の 現場に立つ者のあるべき姿を詳細に話され、論語も引 用され大変興味深い講演であった。最後に志を持って 未来の医学を開拓する若者となり、質の高い医療を目 指してほしい、「医学は科学」「医療は物語」という言 葉で講演を締めくくられた。
ワークショップは、参加者が5グループに分かれ模
擬患者に対する医療面接を行い、グループ討議で医療 面接技法上の問題点を整理して問題解決の方策を考 え、その結果を発表するという方式で進められた。そ の後、全体討議で医療面接技法に関する問題点が掘り 下げられ、臨床への理解を深めた。
夕食を兼ねた懇親会では、昨年度の倍以上の研修医 が参加し、全員が自己紹介と今後の研修を進めていく 上での抱負等を述べ、例年になく盛り上がり、和やか で有意義なひとときとなった。
(臨床研修センター事務課 中新 茂記)
グループ討議
研修医の頁 臨床研修医のための CPC(臨床病理検討会)
【症例 1 】 多発性肝転移を伴う1例 主治医 中野泰治 一般・消化器外科学准教授 臨床提示 沖野一晃 臨床研修センター研修医 司会者 中島日出夫 腫瘍内科学准教授 画像解説 釘抜康明 放射線医学講師 病理解説 加藤 諒 臨床研修センター研修医 病理解説 黒瀬 望 臨床病理学助教
(症例の概要)
80歳代女性。4ヵ月前より腹部不快感があり、本学 病院を受診した。CTにて肝腫瘤、乳房腫瘤、腹膜播 種を認めたため、乳癌の転移が疑われた。ホルモン療 法を開始したが、DIC、多臓器不全を併発し、永眠さ れた。剖検所見にて、本例は肝内胆管癌と乳癌の2重 癌であることが判明した。本例は腋窩リンパ節転移が なく、CA19-9が高値である点が通常の乳癌と異なっ ていた。臨床的に矛盾点が生じた時は一元的に考える のではなく、二元的に考えることも必要である。
【症例 2 】 急性腎不全の1例 主治医 藤本圭司 腎臓内科学助教 臨床提示 藤本圭司 腎臓内科学助教 司会者 澤木俊興 血液免疫内科学助教 画像解説 釘抜康明 放射線医学講師 病理解説 大嶋一彰 臨床研修センター研修医 病理解説 尾山 武 病理学Ⅰ助教
(症例の概要)
90歳代女性。肺炎にて入院中、左片麻痺が出現した。
脳浮腫軽減が図られ、ステロイドが投与されていた が、発熱、食欲低下、水様性粘血下痢便、急性腎不全 を認め、本学病院に入院となった。下痢症状、プロカ ルシトニン強陽性から細菌性腸炎・敗血症を疑い、口 腔粘膜乾燥、ハンカチーフサイン陽性、毛細血管再充 満時間延長、CVP低値から脱水症と診断した。抗生剤、
補液が開始されるも尿量に改善を認めないため、透析 を開始した。その後、腸炎症状、白血球数再上昇傾向、
DICスコアの悪化、乳酸アシドーシス、急激な呼吸状 態悪化を認め、永眠された。剖検にて、急性腎不全の
第 46 回 CPC
平成24年1月18日(水) 17:30 第46回、第47回臨床病理検討会 (CPC)が病院本 館4階、臨床研修センターカンファレンスルームにお いて行われた。原因は血管内増殖の目立つ悪性リンパ腫であることが 判明し、難解な臨床病態の解説がなされた。また、急 性腎不全の鑑別・検査値異常についての理解を深める ことができた。
【症例 1 】 慢性リンパ性白血病の経過中に肺炎 を合併した1例
主治医 佐藤智美 血液・リウマチ膠原病科医員 主治医 澤木俊興 血液免疫内科学助教 主治医 正木康史 血液免疫内科学准教授 臨床提示 高野真美 臨床研修センター研修医 司会者 馬場尚志 臨床感染症学准教授 画像解説 釘抜康明 放射線医学講師 病理解説 佐々木丈嗣 臨床研修センター研修医 病理解説 福島万奈 臨床病理学助教
(症例の概要)
60歳代男性。リンパ節腫脹を自覚し、骨髄穿刺、生 検・リンパ節生検にて慢性リンパ性白血病と診断され た。化学療法、放射線療法(30Gy)がなされるも部分 寛解状態であった。低ガンマグロブリン血症が遷延し ていたため、ST合剤とガンマグロブリン製剤を投与 し経過を観察していたが、薬剤性アレルギーを発症し、
ステロイドが処方された。その後、発熱が出現し、抗 生剤が投与されるも改善がなく、再入院となった。入 院時、肺野全体にすりガラス陰影とβ-D-グルカンの 上昇を認め、抗生剤、抗真菌剤、ステロイドパルス療 法、シベレスタットナトリウムの投与がなされた。第 15病日、急激な酸素状態の悪化と高熱、意識レベル の低下、胸部異常陰影、気胸、β-D-グルカンの高値 を認めた。加療を行うも改善なく、永眠された。剖検時、
両肺にニューモシスチス肺炎の像はなかったが、侵襲
第 47 回 CPC
平成24年3月21日(水) 17:30研修医の頁
性気管支肺アスペルギルス症とび慢性肺胞障害、真菌 塞栓症が認められた。この剖検例を通じて、免疫抑制 状態の患者に発症する様々な感染症について理解を深 めることができた。
【症例 2 】 唾液腺腫瘍の1例
主治医 下出祐造 耳鼻咽喉科学助教 臨床提示 稲垣信吾 臨床研修センター研修医
山田健太郎 臨床研修センター研修医 司会者 下出祐造 耳鼻咽喉科学助教
四方裕夫 心臓血管外科学教授 画像解説 釘抜康明 放射線医学講師
病理解説 澤井和幸 臨床研修センター研修医 病理解説 尾山 武 病理学Ⅰ助教
(症例の概要)
60歳代男性。3週間前から頸部腫瘤を自覚し、急激
な増大を認めた。顎下腺腫瘍摘出術、頸部郭清術、気 管切開術が施行された。翌月、再発が確認され、緩和 管理となり、3ヵ月後永眠された。質疑応答では、腫 瘍の発生部位、多形腺腫の有無、死因、心病変、呼吸 管理、腹膜炎の有無について白熱した議論が展開され た。複数の科が集うことで、様々な角度からこの剖検 例を見直すことができた。
なお、第48回研修医CPCは平成24年5月16日(水)
午後5時30分より、臨床研修センターカンファレンス ルームで行われます。研修医には出席が義務づけられ ていますが、それ以外の先生方、学生にも広く開かれ ていますので、ふるってご出席ください。
(臨床病理学 黒瀬 望記)
〈予 告〉
第 48 回 臨床研修医のための CPC
日 時: 平成 24 年 5 月 16 日(水)
17 時 30 分から
場 所: 臨床研修センターカンファレンスルーム
《本学スタッフ新刊著書》
北本 福美 著
老いのこころと向き合う音楽療法
増補改訂版
音楽之友社 A6判、142頁
定価(本体2,500円+税)
2012年2月29日発行 ISBN978-4-276-12256-7
本書は、本学病院で初めて取り組まれた末期アルツ ハイマー型認知症の患者との個人セッションを含めて まとめた、2002年に出版されたものを書き改めたもの である。用語の修正に加えて、第2章で取り上げた慢 性の心疾患患者との185回の全経過をまとめた「有情の 曼荼羅」という1章と、「いのちと向き合う」の章を追加 した。大学病院で出会う『老いのこころ』は、重度の脳 障害や精神科的症状も携えていることが多く、言語を 媒体としたコミュニケーションのみでは、交流を深め ることは難しい。一方音楽は情動に直接的に働きかけ るという治療特性を持ち、回想も促す素材である。一 人ひとりの患者の中に眠っている時間を解き放ち、健 康性の発見と開発に向けて、アプローチしていくこと は、全人的治療という視点からも大切と考えられる。
現在、精神科病棟で行われている集団精神療法とし ての音楽療法の他、院内では毎月第二水曜日に「夕べ のひとときコンサート」も音楽療法的視点で開催され ている。関心を持っていただければ幸いである。
(精神神経科学 北本福美記)
研修医の頁
Dr.Staffordと沖野研修医 ERにて。左から大串研修医、バーモント大学医学生、Dr.Ramset
米国バーモント大学医学部海外研修報告
(期間:2012年3月4日〜3月18日)沖野 一晃、大串 勇気
(研修医)【研修内容】
今回初めて研修医の研修プログラムとしてバーモン ト大学を2週間訪問した。研修は基本的に午前8時30 分から始まり午後5時に終わるというものであった。
内容としては、バーモント大学附属病院であるフレッ チャー・アレン病院、その姉妹病院やクリニック(訪 問した科は循環器内科、内視鏡科、小児科、精神科、
放射線科、臨床病理学、ICU、ER)での外来診察の 見学、病棟回診への参加、カンファレンスや倫理委員 会への参加、およびバーモント大学が誇るシミュレー ションセンターでの実習だった。院外の活動として バーモント大学4年生が対象であるマッチングセレモ ニーパーティーに参加した。
【研修の成果】
今回の海外研修は見学が主で、研修医でも医学生で も研修できることは変わらないと思われるかもしれな い。しかし、研修医だからこそ感じることがいっぱい あった。アメリカの医学部3、4年生のレベルは日本 の研修医レベルであり、実技、治療にまで携わってい ることに驚いた。また先生たちの教育の態度に大変感 心した。学生やレジデントがどんなに簡単な質問をし ても丁寧に教えてくれ、しかも先生だけでなくコメデ ィカルの人に質問しても笑顔で教えてくれる雰囲気に 感動した。
チーム医療が進んでいるアメリカでは、どの職種が 一番偉いということはなく、皆笑顔で自分の仕事をこ なし、助け合っていると印象であった。日本の病院で みられる暗さや、いやな仕事の押し付け合いというも のが見られなかった。また渡米前は、仕事時間が徹底
していて時間外は一切受け付けないというイメージを 持っていたが、決してそうではなかった。それぞれが プロ意識をもって助け合っている姿に心を打たれた。
しかし今回の海外研修でなによりも必要なことは英 語力であることを痛感した。医学英語はもちろんのこ と、日常の英会話力や文法力も必要である。いくら医 学知識を持っていても相手が話していることが聞き取 れず、こちらの意見を伝えられないようでは意味がな いのである。この研修で、私は1つ、決め事をしたこ とがある。1人の患者さんを診たら、最低1つは質問 しようと。そうすると会話を真剣に聞くことになり、
同時に英語を話すことにもなる。その結果、1週間経 った頃には、何となく話している内容がわかるまでに 耳が慣れてきた。しかし話すことはなかなか上達せず、
broken Englishで乗り切るのがやっとだった。
【将来の展望】
今回の海外研修で大変お世話になった先生がいる。
木田正俊先生といって、本学に5年生まで在籍した後 アメリカの医学部に入学し、アメリカで医師免許を取 得したバーモント大学病理医の先生である。木田先生 が初めてバーモント大学に本学の研修医を招待してく ださり、貴重な体験をさせてくださった。そして同時 に、今まで金沢医科大学という狭い世界しか知らなか った私に、大きな視野を持つことの素晴らしさを教え てくれた。今はまだ将来の進路は漠然としているが、
将来こうなりたいという目標ができた。私はこれから 先、医学の勉強はもちろんこと、実践的な英語力を身 に付けて様々な文化や人々と出会い、病む人を治した い。そして将来、木田先生が私にしてくれたように、
後輩の医学生や研修医に同じような体験をさせてあげ られるような医師になりたいということである。