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臨床的意義3

ドキュメント内 ”R„ûflÇ-Œ{ŁÒ-01 (ページ 33-39)

QT 延長が確認されている例 クラスⅢ

1.QT 延長の原因,誘因が明らかであり,それらの除去,

是正後にQT 時間が正常化する,家族歴のない例

治療の適応 4

臨床的意義

3

を回避できる場合など)には無投薬で経過を観察する.

Brugada 症候群は,1)特徴的な心電図(右胸部誘導

でのJ 波,ST 上昇,陰性T 波),2)明らかな器質的心

疾患を認めない,3)多形性心室頻拍・心室細動を認め る,の3 点から診断される267,268).しかし,特徴的な心 電図の定義は各施設により異なっているので曖昧な症例 が少なくない.また,従来不完全右脚ブロックと解釈さ

れていた QRS 波の終末電位は,最近は J 波と解釈され

ている269,270)

Wilde271)はBrugada 症候群の心電図波形を,右胸部誘 導(V1〜V3)で記録される波形の特徴から,1)陰性T 波を伴う2mm 以上のST 上昇(タイプ1,Coved タイ プ),2)陽性または2峰性T 波を伴うJ 波≧2mm および ST ≧1mm(タイプ2,Saddle back タイプ),3)Coved またはSaddle back タイプでST 上昇が<1mm(タイプ 3),に分類している.2005年の consensus conference で は,陰性 T 波を伴う2mm 以上のST 上昇(タイプ 1,

Coved タイプ)のみを典型的なBrugada 心電図としてい

272.一方,本邦ではタイプ1〜タイプ3のいずれも全

てBrugada 型心電図と呼んでいる施設が多い.

Brugada 症 候 群 の 診 断 に 関 し て は (consensus conference,2005年)272),タイプ1の心電図(薬剤投与 後の場合も含む)が右胸部誘導の一つ以上に認められる ことに加え,1)多形性心室頻拍・心室細動が記録され ている,2)45 才以下の突然死の家族歴がある,3)家 族にタイプ1の心電図がいる,4)多形性心室頻拍・心 室細動が電気的に誘発される,5)失神や夜間の異常呼 吸を認める,のうち一つ以上を満足するもの,としてい る.心電図がタイプ2,3の場合は,薬剤で典型的なタ イプ1になった症例のみ上記の診断基準に当てはめてい る.本邦では,失神などの症状や心室細動・心室頻拍が 認められた場合を有症候性Brugada 症候群,特徴的な心 電図で発作を起こしていない場合は無症候性Brugada 症 候群に分類する事が多い273).また,タイプ2と3の場合 でも一肋間上で典型的なタイプ1の心電図になる症例が あ る が , こ の 臨 床 的 意 義 は 不 明 で あ る2 7 4). 最 近 , Brugada 症候群の20% 前後にSCN5A 遺伝子変異が認め られことによりイオンチャネル病に分類されるようにな った275276277.SCN5A 遺伝子変異の陽性は理論的には突

然死の家族歴と同じと考えられるが,臨床的意義はまだ 不明である.

Brugada 症候群における電気生理検査の目的は,主

に多形性心室頻拍および心室細動の誘発の有無であ

278,279,280,281).検査の対象は各施設で異なっているが,

1)典型的な Brugada 心電図(タイプ1)呈する患者に 限定,2)失神などの症状を有する患者に限定,3)加算 平均心電図で陽性所見を有する患者に限定,4)突然死 の家族歴を有する患者に限定,など現時点では統一され

ていない282,283,284)

このガイドラインでは,まず心電図波形からBrugada 心電図(タイプ1)を呈する場合と,タイプ 2,3の場 合に分ける.次に,心室細動・多形性心室頻拍の既往の 有無,不整脈を示唆する症状(失神など)の有無,突然 死の家族歴(若年〜中年)の有無,に分けてクラス分類 した.

Brugada 症候群の電気生理検査は,主に多形性心室頻

拍・心室細動の誘発検査である.心室頻拍・心室細動の 誘発には心臓ペーシング法を用いる.刺激装置は出力,

Brugada 症候群に対する 電気生理検査

14 14

1 はじめに

電気生理検査の適応 2

表 24 Brugada 症候群に対する電気生理検査の適応 クラスⅠ

1.タイプ 1 Brugada 心電図(薬剤負荷後を含む)を呈

する患者で,心室細動・多形性心室頻拍は確認されて いないが,失神・めまい・動悸などの不整脈を示唆す る症状を有する

2.タイプ 1 Brugada 心電図(薬剤負荷後を含む)を呈

する患者で,心室細動・多形性心室頻拍は確認されて なく,また失神・めまい・動悸などの不整脈を示唆す る症状はないが,若年〜中年者の突然死の家族歴があ る

クラスⅡa

1.タイプ2,3 Brugada 心電図を呈する患者で,心室細

動・多形性心室頻拍は確認されていないが,失神・め まい・動悸などの不整脈を示唆する症状を有する

2.タイプ2,3 Brugada 心電図を呈する患者で,心室細

動・多形性心室頻拍は確認されてなく,また失神・め まい・動悸などの不整脈を示唆する症状はないが,若 年〜中年者の突然死の家族歴がある

3.Brugada 心電図(タイプ1,2,3)を呈する患者で心

室細動・多形性心室頻拍が確認されているが,電気生 理学的薬効評価が必要な場合

クラスⅡb

1.Brugada 心電図(タイプ1,2,3)を呈する患者で,

心室細動・多形性心室頻拍の記録,不整脈を示唆する 症状,若年〜中年者の突然死の家族歴,のいずれも認 めない場合

2.Brugada 心電図(タイプ1,2,3)を呈する患者で,

心室細動・多形性心室頻拍が確認されている

電気生理検査の方法

3

基本刺激周期,早期刺激の連結期,および刺激数を任意 に変えることができるものを用いる.刺激は通常拡張期 閾値の2倍の出力,パルス幅は 2ms の矩形波で行う.

誘発方法は,基本的には器質的心疾患に伴う持続性心室 頻拍の心臓ペーシングによる誘発法と同一である.心臓 ペーシング法には連続刺激法と期外刺激法がある.連続 刺激法は自己心拍数よりやや速い刺激頻度でペーシング を始め,刺激頻度を10−20拍/分ずつ上げていく方法で ある.期外刺激法は,自己リズムまたは一定の基本周期

(Basic cycle length)で8−10拍ペーシングした後,単一 または複数の期外刺激を与える方法である.期外刺激は 長い連結期より始め,10−20ms ずつ短縮し,不応期ま で行う.基本周期は遅いレートと早いレートの2種類の 基本調律で行っているのが一般的である.また,刺激部 位は心尖部と右室流出路の両方で行い,3連刺激まで施 行している施設が多い.

心臓ペーシングで多形性心室頻拍・心室細動を誘発す る臨床的意義としては,1)患者の失神などの症状を再 現する,2)多形性心室頻拍・心室細動の起こりやすさ を診断する,3)植込み型除細動器の植え込み適応を決 める,などである.

理論的には,多形性心室頻拍・心室細動の誘発の有無 により発作が起こる可能性が高い患者を同定できると考 えられる.実際,Brugada ら280)は,多形性心室頻拍・心 室細動の誘発により発症や再発のリスクが高い患者を同 定できると報告している.一方,Priori ら281)は多形性心 室頻拍・心室細動の誘発では発症や再発のリスクが高い 患者を同定できないと考えている.これらの施設間での 結果の違いは,1)各施設で刺激部位や方法が異なる,2) 易誘発に自律神経が関与している10,285),3)患者の母集 団の違い,などによると考えられる.

本邦では,易誘発度や誘発パターンを重要視し,植込 み型除細動器の植え込みの適応を決めている施設が多い.

薬物療法として経験的にⅠ群抗不整脈薬,β遮断薬,

アミオダロンが用いられていたが,いずれの薬剤でも無 治療の患者と死亡率が変わらないと報告されている286)

Brugada らの報告では約3年の経過で薬物療法群と無治

療群のいずれも不整脈事故,死亡率とも約3割に上り,

植込み型徐細動器を使用しない場合はきわめて予後不良 と考えられる.最近,キニジンが再発予防に有効との報 告があるが,まだ長期的な予防効果は不明である287.従

って,多形性心室頻拍・心室細動や心停止を起こしてい る患者には植込み型徐細動器が第一選択となる8,288,289). また,典型的なBrugada 型心電図を有し失神発作の既往 がある患者においても,電気生理検査で多形性心室頻 拍・心室細動が誘発され,失神の原因として心室性頻拍 性不整脈が考えられる場合は植込み型徐細動器の適応と なる288)

一方,無症状の患者の治療に関しては専門家の間で意 見が分かれている.無症状のものでも37ヶ月の経過観 察中に3割の患者に不整脈事故が発生しており,典型的 な心電図所見を示すものでは無症状でも積極的な治療が

必要とBrugada らは考えている.しかし,本邦に多い健

診等で見つかる無症状で家族歴を有さないBrugada 型心 電図波形を示す症例の予後はもっと良好で突然死の発症 は年間0.5% と報告されている290,291).予後に関する報告 に大きな違いがあるので,Brugada 型心電図波形を有す る無症状の人に植込み型徐細動器を植え込むべきかどう かは各施設で異なっており,現状では一定の指針はない.

失神とは,脳血流の低下により姿勢を保持することがで きなくなる突然の意識消失発作と定義される.原因によ り重症度が異なるので鑑別診断が重要である.心臓性失 神は致死的であることもあり,的確な診断と治療が必要 で,電気生理検査の診断的意義は大である.しかし,詳 細な検討にもかかわらす原因が不明である患者や,原因 が複数にわたる(マルチファクター)患者もある.

1

)頻 度:

救急室を受診した患者の3−3.5% ,入院患者の1−6

% は失神が原因である.Framingham 研究では,5209例 を対象とした 26年間の追跡では男性の3.0%,女性の 3.5% において失神が認められた292.7814例を対象とし た平均17年間の追跡では822件の失神が観察され,初 回の失神の頻度は6.2/1000人/年であった.失神患者の 年令分布は70才以上になると急増する293)(図7).

2)分 類:

失神の分類については多数の報告があるが,2004年 に発表されたヨーロッパ心臓病学会の失神の診断と治療 のガイドラインでは,1.Neurally-mediated(reflex)(神

臨床的意義 4

5 治 療

原因不明の失神に対する 電気生理検査

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