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背景事象の除去

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 40-43)

4.4 中性子エネルギースペクトル補正

4.4.1 背景事象の除去

FWQMで定義された信号領域に含まれるイベントは信号事象だけでなく、9327.5 keV 外のエネルギーを持つガンマ線起因の背景事象が存在している。今回の場合、背景事象の原因 は大きく二つ存在する。一つ目は同位体である115Sn(n, γ)反応で放出される9563.12 keV のエネルギーを持つガンマ線起因のものである。二つ目はさらに高エネルギーのガンマ線起因 のものである。後者に関しては10 MeV以上のエネルギーを持つガンマ線も観測されている が、そのような高いエネルギーのガンマ線はSn(n, γ)反応では発生しないので複数のガン マ線が同時に一つの検出器に入射したことによって得られたイベントと考えられる。よって、

FWQMの信号領域で選別された中性子エネルギースペクトルから図4.7に示した背景事象領 域の中性子エネルギースペクトルを引く必要がある。

4.4 中性子エネルギースペクトル補正 41

Gamma-ray Energy [keV]

8000 8500 9000 9500 10000 10500 11000

Counts

1 10 102

103

4.7 信号領域と背景事象領域:点状の帯で塗りつぶされた領域が信号領域、帯で塗りつ ぶされた領域が

115Sn(n, γ)反応起因の9563.12 keVのガンマ線ピーク、斜線で塗りつぶ された領域が複数のガンマ線を同時に検出したと考えられるイベントを表している。

これらの背景事象が信号領域にどれくらい存在するかを定量的に見積もるためにGeant4*6 [29]によるシミュレーションを用いた。このシミュレーションではANNRIのジオメトリを実 装しており、標的原子核から等方的に任意のエネルギーのガンマ線を放出させることが可能で ある。そしてGe検出器に入射したガンマ線が落とすエネルギーをスペクトルとして得ること ができる。

本研究では、9563.12 keVのガンマ線を等方的に放出させ、9563.12 keVのガンマ線のみに よるスペクトルを得た。シミュレーションによって得られたスペクトルと実験データのスペク トルにおいて全吸収ピークのイベント数が等しくなるように規格化した。規格化したスペクト ルは図4.8に示した、点で塗りつぶされたスペクトルである。9563.12 keVの全吸収ピークに おける中性子エネルギースペクトルをFWQMで定義される信号領域でのイベント数に規格 化して減算した。また、複数のガンマ線を検出したことによる背景事象については実測データ のスペクトルからシミュレーションで得た9563.12 keV9327.5 keVのスペクトルをそれぞ れ全吸収ピークでイベント数が等しくなるように規格化して引いた。その結果得られたものが 図4.8に示した、斜線で塗りつぶされたスペクトルである。

*6Geant4とは物質中における粒子の相互作用を計算するツールキットである。

Gamma-ray Energy [keV]

8000 8500 9000 9500 10000 10500 11000

Counts

1 10 102

103

4.8 実験データのガンマ線エネルギースペクトルと背景事象のスペクトル:点で塗りつ ぶされたスペクトルが9563 keVのガンマ線起因の背景事象、斜線で塗りつぶされたスペク トルが複数のガンマ線検出による背景事象である。これらの背景事象が縦に引かれた帯で 示す信号領域にどれくらいのイベント数が存在しているか見積もった。

このスペクトルにおいても信号領域におけるイベント数を見積もる必要がある。しかしシ ミュレーションで作成したスペクトルが実験データのピーク幅を完全に再現できていないの で、ピーク部分のイベントを排除したスペクトルを作成した。このスペクトルについて以下の 式でフィッティングを行った。

f(Eγ) =p0exp(−p1Eγ) +p2 (4.5) 図4.9にフィッティング結果を示す。

Gamma-ray Energy [keV]

8500 9000 9500 10000 10500 11000 11500

Counts

1 10 102

103

104

/ ndf

χ2 5431 / 4286

p0 1e+08 ± 2.959e+05 p1 635.9 ± 0.298 p2 2.526 ± 0.04173

4.9 実験データのガンマ線エネルギースペクトルと複数のガンマ線検出による背景事象 のスペクトル:背景事象のスペクトルについてフィッティングして信号領域に存在するイベ ント数を見積もった。

4.4 中性子エネルギースペクトル補正 43 以上から、背景事象が信号領域でどれくらい存在するかを定量的に評価することができた。

よって、信号領域における中性子エネルギースペクトルから背景事象の中性子エネルギースペ クトルを減算することができる。その結果を図4.10に示す。

Neutron Energy [eV]

0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2

Counts

0 50 100 150 200 250 300

Before Subtraction After Subtrction

4.10 背景事象の減算前後の中性子エネルギースペクトル:どのエネルギー領域におい ても背景事象が存在していたことが確認できる。

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 40-43)

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