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聞き取り調査  1.アニメ製作会社A社

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第3章  アニメ関係事業者への聞き取り調査

第1節  聞き取り調査  1.アニメ製作会社A社

1.1 会社概要 

東京都城西地域の私鉄沿線に本社があるA社は、その名称が固有名詞化されている、SFロ ボットシリーズが代表作品である。このほかにも、現在も複数のTVシリーズの作品が放映さ れている。また、本年に劇場公開されたアニメ映画作品も制作するなど、日本を代表するアニ メ製作会社のひとつとなっている。 

A社の事業概要によれば、資本金は約 3,900 万円、従業員数 170 人、テレビアニメーション 映画の制作のほか、CGアニメーション、ビデオシリーズ、劇場用アニメーション映画の製作 などを中心に関連事業を行い、関連企業には、音楽出版やゲーム開発の会社がある。A社の沿 革は、1972 年に現在地近くに有限会社として発足、1977 年株式会社となる。1987 年アニメー ションの製作会社として現在の社名のA社に継承。1994 年大手玩具メーカーグループの一員と なる。1996 年に本社を現在の場所に移転した。 

A社は、本年初めて専属の作画スタッフとして作画実習生を募集した。これは、専属の作画 スタッフとして、スキルの高い動画・原画アニメーターの人材育成のため、提携する作画プロ ダクションの協力の下、1 年間の実習を経て、A社専属のアニメーターとなることを目指すと している。期間は 1 年間、専属実習生として契約し、月額 100,000 円支給、募集人数は 10 名を 予定している。 

 

1.2 聞き取り調査 

2004 年 11 月に、A社の本社ビルで、B代表取締役及びC総務部長に対して聞き取り調査を 行った。項目中で、B代表取締役の表示が入っている以外の項目は、C総務部長の聞き取りの まとめである。なお、A社は杉並区のアニメ戦略会議43に同社のB代表取締役が委員として参 加し、また、区のアニメ企画展事業にも、展示協力を行うなどしている。 

1)設立の経緯 

A社は、1972 年に、当時所属していた大手製作会社から 7 人が独立して設立した会社である。

全員を正規社員として抱え込んでいる方式は、社員と仕事のバランス量が崩れ、会社として成

43 杉並区アニメーション振興戦略会議 2004 年 7 月〜9 月

り立たないやり方と考え、経営という立場で独立した会社がA社の前身である。このため、設 立以来、制作部員しか置かない方式で経営し、クリエーターは社員では置かず、外部に発注す る方式で行っている。アニメ産業は、産業の分業化が進み完成しているが、当時これを先駆的 に考え実行したアニメ製作会社が、現在のA社である。 

2)取引関係、協力企業 

A社は作品制作で人脈や取引先の会社は多く、メインジャンル物については、強いつながり のある会社があり、「気心が知れている」「キャパシティがあり仕事量がどれくらいあるかがわ かる」のは取引先として重要な要素である。一方、新しい分野についての開拓も、オリジナル を新しく作る会社や新しいキャラクターデザイナーや新たなクリエーターなどは、シナリオや 演出や全パートにわたって必要になる。ライセンサーとして海外販売など、A社自身が、作品 の海外展開も積極的に展開している。現在でも世界 10 カ国以上で、常時数種類の作品が放映さ れている。 

3)人材の確保 

A社は、新規採用の 8 割から 9 割が大卒となっている。採用した新人は、事務営業部門及び 企画部でメインは制作部採用となる。新卒者はアニメの経験がない。映像系の大学からも応募 者があるが、経験者とはみなしていない。また、別枠で通年採用も行っている。これは、中途 採用で欠員、増員の必要に応じて行っている。制作系では将来プロデューサーになりたい、演 出家になりたいなどの目標を持って、初めて目標に達成するもので、独立向上心が必要である。

しかし、一般に考えるほど特殊なスキルは求めていない。 

4)新卒採用と中途採用 

A社は、毎年 10 人前後の新卒採用と随時の中途採用をしている。A社は、説明会などでしっ かり会社説明、業務説明を行っているので、定着率はよいほうである。契約形態はすべて、一 年ごとの契約社員制度を採用しているが、完璧に離職する人と、同業他社へ転職する人とフリ ーになる人がある。これらのスタッフは、アニメ業界には残ることになる。少数の社員以外は すべて契約社員で、一年更新しながらであり、雇用形態は、会社創業の経緯からのポリシーで あるという。研修は、社会人としての基本的なものは行うが、アニメの実践を兼ねたものは研 修では行っていない。4ヶ月目くらいから、先輩に付いてテレビシリーズを一本任せ、半年か ら一年くらいでは、単独で何本か担当させるなどしている。 

中途採用経験者は、仕事ぶりなど途中採用のリスクはあるが、即戦力として役立つし、人脈 もまとめて持ってくるときもある。他社の癖が出てくることは仕方がないことである。しかし、

未経験の中途採用者は離職率も高く、アニメ業界を離れるケースも多いという。また、仕事量 が多いなど、必要なときには、期間での雇用契約や作品完成までの契約などで不足を補う場合 もある。 

5)キャリアプラン 

A社の制作部にはかなり明確なキャリアプランがあり、制作進行に 3 年間その後、プロデュ ーサー系でそのまま会社に残る道では、シナリオ演出となり、工程に分けて配置転換する。設 定制作、設定部門、文芸制作、シナリオ担当などであり、演出助手から演出家、ここでフリー となる。将来ライター系の場合は、配置換えし、シナリオライターとして、出稿などを行う。

ここで一応雇用関係が終わる。この方向を目指す人は、はじめから目的を持って進んでいる場 合が多くいる。また、開花の早い人と遅い人との差は大きい。A社としても、才能がある良い 人材が欲しい。一方プロデューサーを目指す場合は、会社内に残ることが多い。 

6)専属アニメーター募集 

B代表取締役によると、A社は、従来基本的には専属の動画部門を直接持たなかったが、10 万円の固定給を出し、一年後には、専属契約とする専属アニメーター実習生制度を本年度はじ めて募集開始した。コスト全般のことを考えると、実習生に支払う金額以上に、育てるための 講師部分等の経費のほうがより多くかかるが、アニメーター不足もあり、会社としてもスター 級のアニメーターを必要とし、またクリエーターあってのアニメ業界であり、スタークリエー ターを生み出し育てることを目的にし、副次効果として、原画や動画の人材不足を補うことも でき、スター級を生めば、会社のみならず、業界全体のプラス財産にもなると考えている。ま た、現在はアニメーターが育ちにくい環境にあり、才能があっても、どこから入ったらよいの かわかりにくい業界でもある。経済的な支援がないと育ちにくい現状でもあり、それでだめに なることもある。文化や芸術の世界では、全般に下積み時期があり、アニメーションも例外で はない。この世界に入りづらい環境を少しでも緩和できればよいとも考えている。 

7)人材教育機関について 

B代表取締役によれば、専門学校にはまかせるのでなく、学校は学校であり、実践の中で育 てると考える。専門学校ですぐ使えるのは少ない。志を持っている人たちにとって、何が一番 良いことなのかを考えると、才能が生かせるしくみを考える。絵の世界は、一番は才能であり、

これを開花させる場を作る。一線級アニメーターは成功すれば、収入も多い。サクセスストー リーを見せてあげたいし、人材を出して行きたい。このための入りやすい間口を広げることが 必要だと考えている。 

8)行政に求めるもの 

B代表取締役は、杉並区の戦略会議でも提言発言したが、アニメビレッジでも作るくらいの 考えが欲しい。国レベルでは、経済産業省は、流通業界やTV局が強い部分のルールを見直す など、知的財産保護の動きが出てきている。税制的な支援や人材教育もあるが、総じてあまり にも放っておいたと考えている。 

 

2.アニメ製作会社D社 

2.1 会社概要と事業方針 

D社は、1970 年代にスタートしたアニメ製作会社。劇場、TVを中心に数多くのクォリティ の高い作品を制作している。またその内容もキャラクターものからクールアニメ、日米共同作 品までと幅広いのも特徴である。近年においては海外での評価が高くなっている。 

D社は、以前から劇場公開作品を得意分野とするアニメ製作会社として有名であり、日本を 代表するアニメ監督や脚本家等とのつながりも多く、昨年度公開された作品は、一時アカデミ ー賞のアニメーション部門にノミネートも噂された。D社は、TVシリーズも手がけ、作品は 多く放映されている。D社は、創業以来、いわゆる独立系のアニメ製作会社であったが、2004 年 2 月にITベンチャー企業のグループ企業となり、これを契機に 2004 年の秋には、20 年以 上活動していた本社を同地域内の高層ビル内に移転した。 

 

2.2 聞き取り調査 

2004 年 10 月に移転後のD社本社で、E代表取締役に対して聞き取り調査を行った。なお、

E氏は、2004 年 11 月にD社を辞任し、D社と同住所にある関連会社の代表取締役に就任して いる。 

1)会社設立の経緯 

D社は、当時大手のアニメ製作会社から独立したアニメ製作会社の関係者で設立した。D社

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