4-1 節 総括
4-1-1.
総 括本論文にて著者は、タンパク質間相互作用に着目し、それから着想を得て、
VDR
阻害薬 ならびにPlk1
阻害薬の創製を行った。具体的には、核内受容体の転写活性化に必須であるコアクチベーター上の
LXXLL
配列を 介した核内受容体—コアクチベーター相互作用に着目して、VDR
―コアクチベーター相互作 用を阻害し、VDR
を介した転写を抑制するベンゾジアゼピン型のLXXLL
ペプチド等価体 を創製した。活性は弱いながらも、これは私の知る限り非セコステロイド型ならびに非ペ プチド型のVDR
阻害物質として初の報告である。本研究は「タンパク質間相互作用におけるファーマコフォアを模倣して、論理的にペプ チド等価体を設計する」という研究コンセプトの実証例の一つであり、また新規作用機序・
新規骨格を有する
VDR
阻害薬を提案できたものと考えている。Figure 4-1-1. LXXLL
ペプチド等価体の創製VDRE% TATA%box%
NR NR
coac.vator
LXXLL
transcrip.on
LXXLL
No% transcrip.on VDRE% TATA%box%
RXR VDR
coac.vator
LXXLL
NH N
O H2N
7
8 10
NH N
O H2N
EtOOC
7
8 49
また著者は、
Plk1-PBD
におけるリン酸化ペプチド認識による相互作用と細胞内局在形成 に着目し、PBD
におけるタンパク質間相互作用を阻害するペプチド等価体の創製に取り組 んだ結果、PBD
におけるタンパク質間相互作用を増強し、ATP
非競合的にPlk1
キナーゼ阻 害活性を阻害するターフェニル型化合物を見いだした。本作用機序は不明であるが、コバ レントドラッグ化した化合物を用いて作用機序が明らかになることが期待される。本研究は、「タンパク質間相互作用におけるファーマコフォアを模倣して、論理的にペプ チド等価体を設計する」という研究コンセプトとは異なるものの、幸運にも
ATP
非競合型 のPlk1
キナーゼ阻害薬という興味深い化合物を見いだすことが出来た。今後の更なる検討 により、その作用メカニズムが明らかになれば、Plk1
の更なる機能解明や治療薬への展開 が期待される。Figure 4-1-2.
非ペプチド・ATP
非競合型Plk1
阻害薬の創製O CN
N N
N NH OH
66 PLHST
P
PLHSpT '
PBD*PLHSpT '
Plk1 ATP
Covalent'drug '
O CN N
N
N NH NH
O 89
93
タンパク質間相互作用は、シグナル伝達に関与する等、生体にとって重要な役割を果 たしており、これらを自在に制御できれば、標的タンパク質のさらなる機能解明や、創薬 研究を通じた医薬品の創製等が期待される。しかし近年に至るまで、タンパク質間相互作
用は
”Undruggable”
であるとされ、低分子を用いてタンパク質間相互作用を制御することは難しいと考えられてきた。
一方で著者は、本論文に記述した研究において、タンパク質間相互作用に着目し、それ から着想を得て、
2
種類の生理活性物質を創製するに至った。本論文中の研究を通じて、活 性は弱いながらも、タンパク質間相互作用を阻害、あるいは増強する新規低分子化合物を 創出できた事実は、これからのタンパク質間相互作用を制御する低分子化合物創製研究に 対して一つの指針をあたえるものになると考えている。また本研究で見いだした化合物が 特徴あるケミカルツールとしてVDR
、およびPlk1
の機能解明に応用できるものと期待して いる。
ドキュメント内
タンパク質間相互作用に着目したVDR阻害薬ならびにPlk1阻害薬の創製研究
(ページ 99-102)