2) 加熱実験により安定性を初歩的に検討する結果は、Telephiose Dの安定性は熱に影 響されたが、弱酸性 (pH 4.6) の溶液には影響されなかった。
3) 大金牛草 (Polygala chinensis L.) からは新たに 4 種の化合物を得た。即sucrose oligosaccharide ester 1種、xanthone 1種、および flavonol 2種である。
Oligosaccharide Ester Flavone
PC-2 (12) R=H PC-3 (13) R=OH
Xanthone
PC-4 =PT-1 (9) O
OH HO
HO O
O
C O
OH
C OH
OCH3
OCH3
OCH3 OCH3 O
C C C C
H
H H H
O O
HO OH
OH
PC-1 (11)
O
OH HO
OH
O
O OH HOHO
O O
O HO HO HOH3C
HO O
O
HO
O
HO HO OH
OH
OH OH
R
4) P. telephioidesと P. chinensisの化学成分を比較すると、xanthoneのIsomangiferin 1 種のみ両者に共通するが、olygosaccharide ester, xanthone, flavonolと天然有機化合物のカ テゴリーにおいては同一ともみられる。
2. Morphineの薬理作用に対する作用
1) Morphineの鎮痛作用は、金牛草80% MeOHエキス10, 100および300 mg/kgにより 用量依存的に有意に抑制された。さらに、naloxoneと異なった作用挙動より、その作用 は µ 受容体に直接作用することではないと推測された。
2) Morphineの自発運動量増加作用は、金牛草300 mg/kgにより有意に抑制された。
3) Morphineの退薬症状は、金牛草10, 100, および300 mg/kgの連続投与により有意に 抑制された。ここで、naloxoneの代わりに金牛草300 mg/kgを単回投与しても退薬症状 は発現しなかったことから、金牛草はµ 受容体に直接拮抗することは考えにくい。
4) Morphineの耐性形成は、金牛草300 mg/kg により抑制された。
5) Morphineの空間記憶障害は、金牛草100および300 mg/kg により用量依存的に有意 に抑制された。Morphineによる空間記憶障害は、脳内のアセチルコリン神経系の機能低 下に関与すると考えられており、金牛草がアセチルコリン神経系を介して空間記憶障害 を改善することが推測された。
6) Oxotremorineによる誘発した震顫に対しては、金牛草10, 100および300 mg/kgによ る影響は何も見られなかった。そこで、金牛草は、中枢性アセチルコリン神経系には作 用せずに、morphineによる空間記憶障害を抑制すると推測された。
3. マウス血漿中morphine 濃度に対する作用
Morphineの種々な作用を抑制した金牛草の作用メカニズムを解明するために、マウス
血漿中morphine濃度の変化を測定した。その結果は、morphine単独投与より金牛草300
mg/kg併用時の方が有意に低下しており、徐々に消失した。このことから、金牛草の作
用メカニズムとしてmorphine 吸収の阻害、もしくは代謝の促進が考えられる。さらに、
薬物動態学的検討から、金牛草の作用部位は、血液compartment以外にあると推測され た。
以上の結果から、金牛草は、morphineの種々な作用を抑制することが分かった。その 作用は比較的穏やかで、急性投与によりmorphine の鎮痛作用を軽度に抑え、慢性投与に より退薬症状や耐性形成を抑制することから、morphine の作用を急激に変動させること なく、穏やかな解毒作用が期待できるものと考えられ、本生薬のmorphine解毒の有効性 が明らかとなった。