4. 研究⽅法
4.6. 統計解析
rs1360780の遺伝⼦型、⺟親の受容性、そして両者の交互作⽤が灰⽩質体積に与え る効果を3つの統計解析によって検討した。いずれの解析もSPM12を⽤いて⾏った。
特定の関⼼領域を定めず、全脳を解析対象とした。SPM12には個々のボクセルのT値 が有意に⼤きいかを検定するvoxel-levelと、あるひとかたまりのボクセル群(クラス ター)の広がり(k値)が有意に⼤きいかを検定するcluster-levelの⼆種類の検定レベ ルが存在するが、本研究ではcluster-levelを採⽤した。Family-wise error補正による多
重⽐較補正を⾏い、p < 0.05を有意⽔準とした。
まず、共分散分析により、rs1360780の遺伝⼦型によって灰⽩質体積が有意に異な る領域を調べた。rs1360780の遺伝⼦型はC/C群を0、Tアレルキャリア群を1とするダ ミー変数によって表し、C/C群がTアレルキャリア群よりも有意に⼤きな灰⽩質体積 を⽰す領域と、Tアレルキャリア群がC/C群よりも有意に⼤きな灰⽩質体積を⽰す領 域を検討した。対象者の年齢、性別、全脳体積を共変量とした。
次に、重回帰分析により、⺟親の受容性と灰⽩質体積が有意に相関する領域を調べ た。⺟親の受容性が⾼いほど灰⽩質体積が⼤きくなる(正相関)領域と、⺟親の受容 性が⾼いほど灰⽩質体積が⼩さくなる(負相関)領域を検討した。対象者の年齢、性 別、全脳体積を共変量とした。
更に、重回帰分析により、灰⽩質体積に対するrs1360780と⺟親の受容性の交互作
⽤効果が有意な領域を調べた。rs1360780の遺伝⼦型(ダミー変数)、⺟親の受容性(⽣
値から平均値を引いて中⼼化済み)、rs1360780と⺟親の受容性の交互作⽤項(ダミー 変数と中⼼化済み変数の積)を予測変数とした。対象者の年齢、性別、全脳体積を共 変量とした。また、交絡要因の効果をより適切に制御するために、年齢、性別、全脳 体積のそれぞれとrs1360780の遺伝⼦型、⺟親の受容性の交互作⽤項(年齢 × rs1360780の遺伝⼦型、性別 × rs1360780の遺伝⼦型、全脳体積 × rs1360780の遺伝
⼦型、年齢 × ⺟親の受容性、性別 × ⺟親の受容性、全脳体積 × ⺟親の受容性)
も共変量として投⼊した117)。rs1360780と⺟親の受容性の交互作⽤効果が有意であっ た脳領域の灰⽩質体積を表すボクセル値をSPM12に実装されているeigenvariateオプ
ションによって抽出し、下位検定に⽤いた。下位検定はSPSS Statistics 24.0(SPSS, Inc., Chicago, IL, USA ) と Preacher ら 118)に よ るオ ンラ イ ン 計算 ツー ル
(http://www.quantpsy.org/interact/)を⽤いて⾏った。まず、C/C群とTアレルキャ リア群のそれぞれにおける⺟親の受容性と灰⽩質体積の相関関係を調べるために、単 純傾斜分析を⾏った。また、Johnson-Neyman法119)により、C/C群とTアレルキャリア 群の間で灰⽩質体積の差が有意になる時の⺟親の受容性の値の範囲(有意区間)を調 べた。