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4. 研究⽅法

4.2. ポジティブな養育の評価

ポジティブな養育を評価する指標として、FDT親⼦関係診断検査(親⽤)111)の下位 尺度である「基本的受容」に含まれる質問項⽬への対象者の⺟親の回答を使⽤した。

FDT親⼦関係診断検査(親⽤)は、親が⼦供を親とは違う⼀⼈の独⾃性を持つ⼈間と して⾒ているか、⼦どもの個性を好んでいるか、といった親⼦関係の⼼理的側⾯を親 の視点から捉えることを主眼とした質問紙検査である。東ら(2002)によって開発され、

594名の⺟親と524名の⽗親を対象とした調査により、因⼦的妥当性および信頼性が 確認されている。下位尺度は上述の基本的受容の他、無関⼼・養育不安・夫婦間不⼀

致・厳しいしつけ・達成要求・不介⼊の6つで構成される。回答⽅法は、質問項⽬の内 容に対し「1. まったくあてはまらない、2. あまりあてはまらない、3. どちらともい えない、4. だいたいあてはまる、5. よくあてはまる」のいずれか⼀つを選択する形 式である。

FDT親⼦関係診断検査(親⽤)の原版は全40項⽬から成るが、⼩児脳発達研究プロ ジェクトでは2008年当時の担当者の判断により、全20項⽬に短縮して使⽤された。基 本的受容尺度に含まれる項⽬は原版の10項⽬から5項⽬へと短縮された。同プロジェ クトではこの他にも多くの質問紙検査への回答を保護者に依頼していたため、⼀つの 質問紙への回答にかける保護者の負担軽減が短縮の理由であった。原版の10項⽬の内 容は、「⼦どものよいところを、ほめるようにしている」「この⼦は、よい⼦だと思う」

「この⼦は、私の気持ちをよく分かってくれる」「この⼦のことを、誇りに思う」「こ の⼦と話していると楽しい」「⼦どもの性格が、あまり好きではない(逆転項⽬)」「こ の⼦の⽋点ばかりが⽬につく(逆転項⽬)」「この⼦が、もう少し違う⼦であったらよ いのにと思う(逆転項⽬)」「⾃分と⼦どもは、相性があまり良くない(逆転項⽬)」

「⼦どもが何を考えているのか、ほとんど分からない(逆転項⽬)」であった。短縮に 際して選択された項⽬は、「⼦どものよいところを、ほめるようにしている」「この⼦

のことを、誇りに思う」「この⼦と話していると楽しい」「この⼦の⽋点ばかりが⽬に つく(逆転項⽬)」「⼦どもが何を考えているのか、ほとんど分からない(逆転項⽬)」 であった。

原版の意図通りに親⼦関係を正しく評価できない可能性があるという点で、この短 縮は本研究の重⼤な問題点である。しかしながら、本研究の対象者の⺟親202名の回 答データから算出した基本的受容尺度5項⽬のクロンバックのα係数は0.72であった。

これは原版10項⽬のクロンバックのα係数0.82に若⼲劣るものの、おおよそ同程度の 信頼性が担保できていると考えられる。また、この5項⽬の内容的妥当性を確認する

ための指標として、同プロジェクトで収集された親⼦関係の良好性に関する質問項⽬

の回答を利⽤した。親⼦関係の良好性に関する質問は、第⼀期調査当時⼩学4年⽣以 下の参加者の場合は保護者が回答し、⼩学5年⽣以上の参加者の場合は本⼈が回答し た。保護者⽤の項⽬は「あなたは、お⼦様との親⼦関係について以下のどれにあては まると思いますか」であり、本⼈⽤の項⽬は「あなたは、親との関係について以下の どれにあてはまると思いますか」であった。いずれの場合も、「1. うまくいっている、

2. まあうまくいっている、3. あまりうまくいっていない、4. うまくいっていない、

5. 分からない」から⼀つ回答を選択する形式であった。「5. 分からない」を選択した 参加者を除外し、⼩学4年⽣以下91名、⼩学5年⽣以上106名を対象として、親⼦関係 の良好性と基本的受容尺度5項⽬の回答の合計値の2変量相関解析を⾏ったところ、

いずれの群においても有意な相関関係が確認された(⼩学4年⽣以下:r = −0.49, p

< 0.001; ⼩学5年⽣以上:r = −3.12, p = 0.001)。親⼦関係の良好性は回答の数値が 低いほど関係が良好であることを表すため、いずれの群も親⼦関係が良好であるほど

⺟親が⼦どもを受容していることが明らかとなった。⼩学5年⽣以上の相関係数r =

−3.12は弱い相関を⽰しているが、基本的受容尺度の回答者が⺟親であるのに対して 親⼦関係の良好性の回答者が⼩児であったことと、親⼦関係の良好性についての項⽬

の評価対象が⺟親との関係に限定されていなかったことが、相関の強さを低めた要因 であると考えられる。以上の限界点を考慮する必要があるものの、本研究で使⽤した 基本的受容尺度5項⽬は、⺟親と⼦どもの間のポジティブな関係を評価する項⽬とし て妥当であると考えられる。したがって、本研究では基本的受容尺度5項⽬の回答の

合計値を「⺟親の受容性」の得点と⾒なし、規範的な養育の指標として使⽤した。な お、逆転項⽬は回答された値を6から引いた差分を得点とし、5項⽬の合計値が⼤き いほど⺟親の受容性が⾼いことを意味するように処理した。

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