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結   果

ドキュメント内 方   法 (ページ 32-35)

各課題の得点

足し算は,1問正答するごとに1点を与えた。語いは,

PVT-Rの手引きに基づき修正得点を算出した。手指の

巧緻性は,立てられたピンの本数を得点とした。リズム 運動は,一度目で再現できた子どもには2点,二度目で できた場合には1点,2度ともできなかった場合は0点 とし,10問の合計を得点とした。体力測定に関しては,

各測定の記録をそのまま用いた。これらを基に各課題成

績の平均と標準偏差を年中児と年長児を合わせた全体と 年齢群ごとに算出しTable 1に示した。

各課題における年齢による違いを検討するために,対 応のないt検定を行った(Table 1参照)。その結果,語 い,手指の巧緻性,リズム運動,25 m走,ボール投げ,

立ち幅跳びでは年齢群の成績の差が有意であり,いずれ も年長児の方が成績が高かった。

全体と年齢群ごとの各課題の性差について検討したと ころ,全体では,25 m走(t(66)=2.86,p < .01),ボー ル 投 げ(t(63.13)=5.35,p < .01), 捕 球(t(66)=3.40, p < .01),立ち幅跳び(t(66)=2.92,p < .01)で有意差 がみられた。年中では,ボール投げ(t(22.43)=3.56, p <.01),年長では,25 m走(t(33)=2.18,p <.05),ボー ル投げ(t(33)=3.83,p <.05),立ち幅跳び(t(33)=2.85,

p <.05),捕球(t(33)=3.32,p <.05)で有意差がみられた。

いずれの結果でも男児の方が成績が高かった。

課題間の偏相関係数

全体と各年齢群において月齢と性別を統制した課題間 の偏相関係数を算出し,Table 2からTable 4に示した。

全体では,足し算は,手指の巧緻性との間に比較的強い 相関がみられ(r = .505,p < .01),語い,リズム運動,ボー ル投げとの間に弱い相関がみられた(順に.394と.320, p < .01,.250,p < .05)。語いは,リズム運動との間に 比較的強い相関がみられた(r = .402,p < .01)。学年を 分けた場合,年中児では,足し算は,手指の巧緻性と の間に比較的強い相関がみられ(r = .480,p < .01),語 いは,リズム運動との間に比較的強い相関がみられた

(r = .419,p < .05)。年長児では,足し算は,語い,手 指の巧緻性との間に比較的強い相関がみられ(順に.519

と.531,p < .01),リズム運動との間に弱い相関がみら

れた(r = .395,p < .05)。語いは,リズム運動との間に 比較的強い相関がみられた(r = .426,p < .05)。

Table 1 全体と年齢群別の各課題成績の平均および標準偏差とt検定の結果

課題 全体 年中児 年長児

t値 平均 標準偏差 平均 標準偏差 平均 標準偏差

足し算  5.63 4.55  4.58 4.51  6.63 4.42 1.89

語い 20.26 9.21 16.70 7.12 23.63 9.77 3.33**

手指の巧緻性 19.49 4.29 17.39 3.53 21.46 4.03 4.41**

リズム運動  9.91 6.25  7.33 6.25 12.34 5.25 3.59**

25 m走(cs)  7.15 0.79  7.57 0.69  6.76 0.68 4.88**

ボール投げ(m)  4.52 2.13  3.76 1.64  5.26 2.31 3.07**

捕球(回)  3.93 2.99  3.48 2.91  4.34 3.05 1.19 閉バランス(cs)  8.41 5.03  7.28 5.05  9.48 4.84 1.83 立ち幅跳び(cm) 87.06 18.69  79.09 14.66  94.57 19.15  3.73**

体支持持続(cs) 36.26 35.65  29.53 20.59  42.61 44.94  1.56 注.( )内は測定単位。*p < .05,**p < .01

Table 2 全体の課題間の偏相関係数(月齢と性別を統制)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

1 足し算 − .394** .505** .320** –.065 .250* –.030 –.073 –.011 .011

2 語い − .156 .402** –.083 .116 –.178 –.042 .163 .074

3 手指の巧緻性 − –.021 –.240 .254* .085 –.230 .141 .139 4 リズム運動 − –.204 .245* .132 .140 .347** .271*

5 25 m走 − –.346** –.266* –.019 –.514** –.269*

6 ボール投げ − .477** .050 .509** .290*

7 捕球 − .040 .417** .202

8 閉バランス − .190 .166

9 立ち幅跳び − .438**

10 体支持持続 −

*p < .05,**p < .01

以上の結果から,全体ならびに年中児と年長児に分け た場合でも,足し算と手指の巧緻性および語いとリズム 運動の間には比較的強い相関が存在すること,足し算は 他の運動能力の一部とは弱い相関があるものの多くの項 目ではほとんど相関がないこと,手指の巧緻性は語いと はほとんど相関がないこと,が明らかになった。

足し算と語いを従属変数とした重回帰分析

8つの運動能力のうち,どの運動能力が足し算や語い に特に影響与えているかを詳細に検討するために,全体 と年齢群ごとに月齢と性別を説明変数に加えて重回帰分 析(ステップワイズ法)を行った。その結果に基づくパ ス図をFigure 2に示す。

全体では,足し算に対して手指の巧緻性とリズム 運 動 の 標 準 偏 回 帰 係 数 が 有 意 で あ っ た が( 順 に.51, p < .001,.26,p < .05),係数の値は手指の巧緻性の方 が高かった。また,語いに対してはリズム運動と手指 の巧緻性の標準偏回帰係数が有意であったが(順に.44,

p < .001,.27,p < .05),係数の値はリズム運動の方が高 かった。

学年を分けた場合,年中児では,足し算に対して手指 の巧緻性とボール投げの標準偏回帰係数が有意であっ たが(順に.49,p < .01,.34,p < .05),係数の値は手指 の巧緻性の方が高かった。また,語いに対してはリズ ム運動の標準偏回帰係数のみが有意であった(β=.46, p < .01)。

年長児では,手指の巧緻性から足し算への正の標準偏 回帰係数と捕球から足し算に対する負の標準偏回帰係数 が有意であった(順に.62, p < .01,–.33,p < .05)。語 いに関してはリズム運動の標準偏回帰係数のみが有意で あった(β=.38,p < .05)。

以上のことから,全体ならびに年中児,年長児におい て,足し算には手指の巧緻性が運動能力のなかで最も強 く影響を与えており,手指の巧緻性は語いよりも足し算 に強く影響を与えていることが明らかになった。

Table 4 年長児における課題間の偏相関係数(月齢と性別を統制)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

1 足し算 − .519** .531** .395* –.242 .244 –.268 –.060 .064 .064

2 語い − .141 .426* –.027 .119 –.294 .134 .091 –.012

3 手指の巧緻性 − .146 –.457** .335 .160 –.101 .228 .136 4 リズム運動 − –.106 .232 –.177 .231 .359* .351*

5 25 m走 − –.422* –.187 .026 –.531** –.299

6 ボール投げ − .419* .140 .585** .315

7 捕球 − .208 .329 .198

8 閉バランス − .388* .414*

9 立ち幅跳び − .486**

10 体支持持続 −

*p < .05,**p < .01

Table 3 年中児における課題間の偏相関係数(月齢と性別を統制)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

1 足し算 − .226 .480** .236 .146 .338 .253 –.093 –.075 –.074

2 語い − .128 .419* –.154 .087 –.068 –.259 .245 .294

3 手指の巧緻性 − –.219 .061 .146 –.010 –.350 –.026 .068 4 リズム運動 − –.283 .309 .417* .038 .384* .333

5 25 m走 − –.289 –.364* –.081 –.524** –.284

6 ボール投げ − .539** –.084 .345 .256

7 捕球 − –.096 .489** .211

8 閉バランス − .007 –.149

9 立ち幅跳び − .335

10 体支持持続 −

*p < .05,**p < .01

足し算と計算時の指の利用の関係

各問題において,計算時の指の動きを評定し,指を一 本ずつ折ったり,加数あるいは被加数を指で一度に立て たりするような,計算過程に関わる指の動きと考えられ た場合を指の利用有りとし,実験者に答えを提示するた めだけに指を用いたり,指で体を触ったりするような計 算過程に関わらない指の動きと考えられた場合を指の利 用無しとした。

指の利用の有無別に足し算成績と手指の巧緻性の平 均得点と標準偏差を算出し,Table 5に示した。全体と 年齢群ごとに計算時の指の利用の有無による足し算成 績の違いを検討するために,対応のないt 検定を行っ た。その結果,全体,年中児,年長児の全てで,計算時 の指の利用の有無で足し算成績について有意な差がみら れ( 順 にt(66)=4.54,t(31)=3.95, p < .01,t(33)=2.27,

p < .05),計算時に指を使っている方が計算成績が高い

ことが示唆された。手指の巧緻性については,全体と年 中児において計算時の指の利用の有無で有意な差がみら れたが(順にt(66)=3.48,t(31)=3.55,p < .01),年長 児では有意な差はみられなかった(t(33)=1.25,n.s.)

また,全体と各年齢群において月齢と性別を統制して 足し算ならびに手指の巧緻性,計算時の指の利用割合と の偏相関係数を算出した。本研究の足し算課題では,3

問連続間違えると課題をうち切っていたため,参加者に よって回答した問題数が異なっていた。そこで,参加者 が回答した問題のうち指を利用した問題数の割合を求 め,さらに逆正弦変換を行った値を分析に用いた。全体 では,足し算と指の利用割合との間には弱い相関がみら れたが(r = .304,p < .05),手指の巧緻性と指の利用割 合との間には相関はほとんどみられなかった(r = .205)。

年中児では,指の利用割合は,足し算との間に弱い相関 がみられ(r = .377,p < .05),手指の巧緻性との間に比 較的強い相関がみられた(r = .432,p < .05)。年長児では,

足し算,手指の巧緻性ともに,指の利用割合との間には 相関はほとんどみられなかった(順に.229と.073)。

ドキュメント内 方   法 (ページ 32-35)

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