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本論文では、透過型プローブによる検出脈波信号のSN比向上と、反射型プローブを 用いた血流脈波検出の検討を試みた。

透過型プローブでは、SN比向上のために、まず測定機器を見直した。LED駆動装置 には従来のLEDコントローラでは負過電圧の正確な値が分からず、LED波長の違いに よる比較ができなかったため、直流電源による駆動を行った。さらに、オシロスコープ 上でACを測定する設定にすると、脈波は約1 Hzであることから直流の変動と認識し てしまうため信号の検出ができない。そこで、設定をDCとし測定を行うと、信号の直 流成分が大きく、オシロスコープの測定レンジに収まらない。そこで直流電源を逆バイ アスとして付加させることで直流成分を小さくし、測定レンジに収めることに成功した。

この改善により安定かつ大きな信号の取得に成功した。

次に実験系について、従来バンドルファイバを照射プローブとして用いていたが、

LED とファイバの結合損失が大きく十分な強度の光を歯牙に照射することができなか ったことから、LED を歯牙表面に配置することで十分な強度の光を照射できるように 改善を行った。さらに、歯髄の位置で十分に集光するようにLEDに結合させるレンズ を集光度の高いN-BK7に変更し、検討を行った。その結果、LEDを歯牙表面に配置す

ることでSN比を5.8 dB向上させることに成功した。しかし、集光度の高いレンズを

用いても、歯牙の散乱係数が大きいことから、光を歯髄の位置で十分に集光できなかっ た。

透過型プローブは、歯牙へのプローブの設置が困難であり、臨床においても測定に時 間がかかってしまうことから、反射型プローブの期待がされている。そこで、反射型プ ローブの検討を、疑似モデルを用いて行ったところ、受光プローブの素線数を19本か ら 123 本に増加させることで、初めて脈波の検出に成功した。さらに使用し易いプロ ーブを目指し、照射・受光ファイバ一体型プローブの作製を行ったが、脈波の検出はで きなかった。この結果から、歯髄の位置で反射した光は、一定のプローブ間隔で最も強 く受光できると考えるようになった。そこで、素線数37本のファイババンドルを、照 射・受光プローブそれぞれに用い、最もSN比が大きな脈波が得られるプローブ間隔を 検討したところ、470 nmでは1.9 mm、525 nmと595 nmでは5.7 mmであることが 判明した。

これらの検討において用いた疑似モデルには全て切歯が用いられており、切歯に対し て最適なプローブ間隔が判明したことから、次に臼歯に対する脈波検出と、最適プロー ブ間隔の検討を行った。切歯と比べて、臼歯の歯髄は深い位置にあるため、素線数 37

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本のバンドルファイバでは十分な光強度が照射できなかったことから、照射プローブに 素線数 123 本のバンドルファイバを用いて十分な強度の光を照射できるように変更し た。これにより初めて臼歯疑似モデルにおいて脈波信号を得ることに成功した。また、

最適プローブ間隔を求めたところ、470 nm、525 nm、595 nmの波長において6.4 mm であることが判明した。

このように疑似モデルでの測定が可能となったため、生活歯での脈波検出の検討も試 みた。新たに指尖脈波との比較ができる系を構築し、プローブ配置を変更し、フーリエ 解析による比較を行った結果、生活歯での脈波検出には至らなかった。

そこで、プローブを手で固定して測定を行ってみた結果、脈波と思われる信号の検出 に成功した。

今後は、より確実に脈波の検出を行い、さらに図 3.38 に示した結果が、本当に歯髄 の脈波であることを確かめるためにも、プローブ位置の微調整が可能な構造をもつレジ ンキャップの作製が必要となると考えられる。

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参考文献

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BME-33, NO. 3, MARCH (1986)

[2] Satoko Kakino, Yuzo Takagi. Setsuo Takatani“Absolute transmitted light plethysmography for assessment of dental pulp vitality through quantification of pulp chamber hematocrit by a three-layer model”Journal of Biomedical Optics 13(5), 054023 (2008)

[3] Zenzo Miwa, Motohide Ikawa, Hideyo Iijima, Makoto Saito, Yuzo Takagi

“Pulpal blood flow in vital and nonvital young permanent teeth measured by transmitted-light photoplethysmography: a pilot study”(2002)

[4] 三輪全三、柿野聡子、高木裕三、”発光ダイオードを応用した新しい歯科臨床検査

機器の開発”日本歯科医学会誌第27巻Vol.27 45頁-49頁(2008)

[5] 柿野聡子“透過型光電脈波法による小児期外傷歯の歯髄血流測定”小児歯科学雑 誌48 (4): 489-494 (2010)

[6] James E Sinex, “Pulse Oximetry Principles and Limitations” American Journal of Emergency Medicine, Vol 17, pp.59-65, January (1999)

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[8] Wukitsch MW, Petterson MT, Tobler DR, Pologe JA, “Pulse oximetry: analysis of theory, technology, and practice” Journal of Clinical Monitoring, Vol 4, No.4,

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[9] Paul D. Mannheimer, James R. Casciani, Michael E. Fein, and Steven L.

Nierlich, “Wavelength Selection for Low-Saturation Pulse Oximetry” IEEE Transaction on Biomedical Engineering, Vol 44, No.3, pp.148-158, March (1997)

[10] 宮田剛、岩田哲郎、荒木勉“ゲート動作アバランシェフォトダイオードを用いた

高感度反射型パルスオキシメータ”生体医工学 43(4): 724-729, 2005

[11] Yitzhak Mendelson, Burt D. Ochs, “Noninvasive Pulse Oximetry Utilizing Skin Reflectance Photoplethysmography” IEEE Transaction on Biomedical engineering, Vol 35, No.10, pp.798-805, October (1988)

[12] Panayiotis A. Kyriacou, Sarah Powell, Richard M. Langford, Deric P. Jones,

“Esophageal Pulse Oximetry Utilizing Reflectance Photoplethysmography” IEEE Transaction on Biomedical engineering, Vol 49, No.11, pp.1360-1368, November (2002)

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謝辞

本研究は、松浦祐司教授の終始御理解ある御指導のもとに行われたものであり、心より 深い感謝の意を表します。

研究成果をまとめるにあたり、多角的な見地から有益な御教示を頂きました吉信達夫教 授、ならびに鎌倉慎治教授に深く感謝致します。

研究全般において、有益な御指導を頂きました片桐崇史准教授に心から深く感謝致しま す。

研究生活全般において、多大な御指導、御協力を頂きました木野彩子技官に心から深く 感謝致します。

研究を行うにあたり有益な御指導を頂きました東京医科歯科大学三輪全三氏に深く感 謝致します。

研究を進めるにあたり、人工肺の提供など、多大な御協力と御指導、御助言を頂きまし た東京医科歯科大学歯科医師柿野聡子氏に心から深く感謝致します。

研究のサンプルとして、ブタ血液の提供をして頂きました仙台中央食肉卸売市場(株)

業務部様に心から深く感謝致します。

研究生活全般において有意義な御討論、御協力を頂きました東北大学大学院博士課程1 年、黄晨暉氏に心から深く感謝致します。

研究生活全般において有意義な御討論、御協力を頂きました東北大学大学院修士課程2 年、市川遼氏、小村祐司氏、関竜介氏、田中雄樹氏、三井田佑輔氏に心から深く感謝致 します。

研究生活全般において有意義な御討論、御協力を頂きました東北大学大学院修士課程1 年、小林駿氏、佐藤匠氏、出仙勇毅氏、永岡正浩氏、堀田浩介氏に心から深く感謝致し ます。

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研究生活全般において有意義な御討論、御協力を頂きました東北大学4年、井上里美氏、

大森優氏、岡田祐太郎氏、鈴木響氏、高橋恭平氏に心から深く感謝致します。

本研究および日常生活において、多大なる御指導、御助言、御討論、御協力を頂きまし た松浦研究室の卒業生の皆様に心から感謝致します。

本研究はこのように大変多くの方々の御指導、御協力のもとに行われたものであり、本 論文を結ぶにあたり諸氏に心から御礼申し上げます。

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発表論文

学会発表

[1] 砂田崇宏,柿野聡子,片桐崇史,松浦祐司,“パルスオキシメトリによる歯髄動脈血 の酸素飽和度測定 ―光学系の最適化による測定感度向上―”平成 23 年度電気関係学 会東北支部連合大会,2I08,2011 年 8 月

[2] 砂田崇宏,柿野聡子,松浦祐司,“光ファイバプローブを用いた脈波検出による歯髄 活性診断 ―反射型プローブの検討―”レーザー学会学術講演会第 33 回年次大会,2013 年 1 月

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付録 A Hct と吸光度の関係

実験方法は、遠心分離機により血液のHctを測定し、その値をもとに計算を行い、

異なるHctの血液をいくつか作製する。特に、グラフが線形になるのか非線形になる のかを判断するためには、Hctが5 %以下で測定数を増やすことが重要となる。そして、

光路長1.4 mmのスライドガラスで作製したセルに血液を注入し、そこに19本のバン

ドルファイバで白色光を照射する。その透過光をOcean Optics製USB2000の分光器 を用いてスペクトルを測定する。同様の手順でリン酸緩衝液をバックグラウンドとして 測定する。

測定した血液のスペクトルデータとリン酸緩衝液のスペクトルデータから470 nm、

525 nm、595 nmの吸光度を計算し、Hctに対する吸光度をプロットする。

Hctと吸光度の関係の測定を行った結果を図A.1に示す。

このグラフからHctと吸光度は非線形の関係があることが判明した。

図A.1 各波長におけるHct-吸光度の関係

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Hctと吸光度が非線形の関係になった原因を文献[1]を参考にする。

 

 

 

I D I

O . . log

10 0

O.D. (Optical Density)は上記の式で表される。I0は入射光強度、Iは透過光強度であ る。測定条件は波長940 nm、光路長161 μmである。赤血球溶液では赤血球での散 乱、吸収が支配的となるが、溶血させた溶液では、赤血球が形を成していないため、散 乱の影響が支配的ではないと考えられる。つまり、吸収による影響が支配的である場合

はHctとO.D.の関係は線形となるが、赤血球が存在し散乱の影響が現れることで全体

として非線形なグラフになっていると考えられる。

文献[1]では、光路長、光源波長、血液の種類など条件が本研究の条件と異なるが、上 記が原因となり非線形なグラフになったと考えられる。

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