第 3 章 反射型プローブを用いた歯髄活性診断システムの検討
3.1 切歯疑似モデルに対する脈波測定
3.1.4 人工肺の導入
ここで、東京医科歯科大学柿野氏の御協力のもと人工肺を入手することができたので、
実験系への導入を検討する。人工肺とは一般的に心臓手術の際に血液のガス交換を行う ものとして使用される。一般的な人工臓器は患者の体内に埋め込むものが多いが、人工 肺は体内に埋め込んで使用するものではない。
従来、血液の酸化還元には血液に直接窒素や酸素を吹き込むバブリング法により行っ ていた。その手法に代わり人工肺を使用することで、バブリング法と比較して血液の酸 化還元が容易となり、気泡の衝撃を受けないため血液にダメージを与えにくくなる。さ らに実験系を外気の影響を全く受けない完全閉鎖系にできるため、酸素飽和度の経時変 化を排除できる。この利点は非常に大きく、正確な酸素飽和度-Rグラフ作製のために は必要不可欠であると考えられる。
図3.10に酸素飽和度変化に伴う人工肺内の血液変化を示す。酸素飽和度が18 %と 90 %の場合で血液の色に変化が生じていることが見て分かる。酸素飽和度の酸化還元 は、二酸化炭素を窒素と酸素に96 : 4の比率で混合したガスを人工肺に流し込むことで 行う。酸化還元にはある程度の時間がかかるが、特に30 %以下と70 %以上に変化させ る場合は時間がかかることが体感的に判明した。
図3.10 酸素飽和度変化に伴う人工肺内の血液変化
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従来の切歯疑似モデルを用いた実験系に、新たに人工肺を組み込むことで、図 3.11 のような実験系を構築した。
血液リザーバー、人工肺をシリコンチューブでダイヤフラムポンプに接続する。ダイ ヤフラムの出射口、入射口の径とリザーバー、人工肺の接続口の径は異なるため、適し たシリコンチューブの径を選択し、それぞれコネクタで接続している。また、リザーバ ーは人工肺より高い位置に配置する必要がある。
系に血液を入れるには、シリコンチューブのつなぎ目を一か所外し、血液の入ったビ ーカーに外したシリコンチューブを入れ、ダイヤフラムポンプで血液をチューブ内に満 たす。外したつなぎ目をもとに戻し、さらにリザーバーの口から血液を注入し、チュー ブ内に十分に血液を満たす。
この時、チューブ内や人工肺内に気泡が混入しているが、全ての気泡を人工肺かリザ ーバーまで移動させる。人工肺内の気泡を取り除くためには、人工肺上部に配置してあ るチューブの鉗子を外し完全に気泡を取り除く。この際、気泡と共に血液も出てきてし まうため、リザーバーに十分血液が入っていなければ血液を足す必要がある。
最後にリザーバー内の気泡を、血液を注入した口から手で圧迫して押し出す。
図3.11 実験系への人工肺の導入
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次に、血液の酸化還元の方法について述べる。系に血液を循環させながら、ガス注入口 から、ガスを注入する。血液を酸化させる場合は、二酸化炭素と酸素の混合ガスを注入 し、血液を還元させる場合は二酸化炭素と窒素の混合ガスを注入する。
実験系に循環させている血液の酸素飽和度を測定する場合、人工肺下部の三方活栓に シリンジをはめ込み、その後三方活栓を開いてシリンジに血液を注入する。シリンジを はめ込む前に三方活栓を開き、溜まっている古い血液を流してからシリンジをはめ込ん だ方が望ましい。そして、光路長1.4mmのスライドガラスのセルに血液を注入し、白 色光源を照射する従来の酸素飽和度測定法により酸素飽和度の導出を行う。
図3.12 人工肺外観
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