第 3 章 反射型プローブを用いた歯髄活性診断システムの検討
3.3 生活歯の血流脈波測定
3.3.4 フーリエ変換による脈波解析
実験結果を図3.27と図3.28に示す。再現性を得るために測定を3回行い、それぞれ の結果に対してフーリエ解析を行い、ピーク位置の比較を行う。
図3.27に示すように得られた指尖脈波の振幅は毎回少し異なるが、これは指尖に対 するプローブの当て方や照射位置が大きく関与しており、可能な限り大きなSN比を得 ることが望ましい。
歯牙脈波検出を3回行ったが、全てにおいて脈波らしき信号を確認することはできな かった。そして、フーリエ解析を行った結果、指尖脈波では3回測定の全てにおいて、
心拍周波数と同じ約1 Hzの位置でピークを確認することが出来た。これを生活歯のフ ーリエ解析結果と比較すると、1回目の測定結果ではピークが重なっているように見え るが、2回目、3回目の測定結果ではピークが重なっていないことから、1回目の測定 結果は偶然ピークが重なったものと考えられ、結果として歯牙脈波は検出できていなか ったと結論付けた。
つまり、疑似モデルでは3.1.6節の実験系により脈波が検出可能であったが、生活歯 においては同じ実験系で脈波が検出不可であった。この原因として考えられたのは疑似 モデルではシリコンチューブの疑似血管が歯牙を貫通しているため、上記のプローブの 配置でも脈波の検出が可能であったと考えられた。しかし、生活歯では血管は歯頸部か
らおよそ2 ,3 mm程度の位置に多く存在するため、上記のプローブ配置では脈波の検
出ができなかったと考えた。
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図3.27 検出された生活歯脈波と指尖脈波
図3.28 フーリエ解析によるピーク比較
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そこで、図3.29のように歯頸部から同じ距離で光照射、受光の両方を行うことで、
十分なプローブ間隔を取ることはできないものの、脈波の検出が可能となるのではない かと考えた。
実験結果を図3.30、図3.31に示す。今回は測定を2回行った。その結果、検出され た信号は脈波が確認できなかった。フーリエ解析を行ってみると、指尖脈波のピークは 非常に大きく出ているが、生活歯ではピークが見られず、指尖脈波のピークと比較して も位置が重なっているとは言えない。
このように、プローブの配置を変更して生活歯での脈波検出を試みたが、結果として 脈波の検出には至らなかった。
図3.29 歯牙照射位置と作製したレジンキャップ外観
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図3.31 フーリエ解析によるピーク比較
図3.30 検出された生活歯脈波と指尖脈波
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そこで、次にプローブを口蓋側に設置する系を考案した。これは透過型プローブを用 いた測定においても、口蓋側から光を照射した方が歯髄の位置で光が集光しやすいとい う傾向が出ていたことを考慮した。しかし、口蓋側へのプローブ設置は、唇側に比べ設 置がやや困難であるため、反射型プローブとしての利点を活かすためにも可能な限り避 けたいが、唇側からの照射による脈波検出が困難であったためやむを得ず検討を行った。
実験結果を図3.33、図3.34に示す。このように、生活歯では脈波信号が確認できな い。フーリエ解析を行っても、指尖のピーク位置で生活歯のピークが重なっていないこ とが確認できる。2回目の測定ではプローブを指尖に当てる位置が悪く、脈波があまり 検出できていない状態でフーリエ変換を行ったが、ピークは見えたため、比較には問題 はないと判断した。また、この程度脈波のSN比があればピークとして現れることも同 時に確認できた。
このようにプローブの配置を変更して脈波検出を試みたが、いずれの方法でも生活歯 脈波を検出することはできなかった。
図3.32 口蓋側光照射位置
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図3.33 検出された生活歯脈波と指尖脈波
図3.34 フーリエ解析によるピーク比較
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