(a) εzz= 0 (b)εzz= 0.025 (c) εzz= 0.050 (d)εzz= 0.075 (e)εzz= 0.100
(f)εzz= 0.125 (g) εzz= 0.150 (h)εzz= 0.175 (i) εzz= 0.200
z [001]
x y
YO
Fe Hidden
TiO2
det BIJ>0 det BIJ<0
Fig.5.15 Distribution of negative AES atoms (Fe-0.6wt%YO-0.4wt%TiO2).
ピーク(9.07〜9.38[GPa])に達した後,εzz = 0.08近傍で下げ止まり,εzz = 0.011 近傍まで同様の応答を示したが,以降は組成により応力-ひずみ曲線が大きく異 なった.
(3) 純鉄の場合,εzz = 0.177で第2応力ピーク(8.33G[Pa])を示し粒界でへき開し た.Fe-0.6wt%YO-0.4wt%TiO2は純鉄と同様の挙動を示し,εzz = 0.193で第1 応力ピークより高い第2応力ピーク(9.86[GPa])を示し粒界でへき開した.その 他の組成では第2ピークが不明確であり,特にFe-0.2wt%YO-0.4wt%TiO2では
εzz = 0.139で第1ピーク後の最大応力を示したあと,へき開した系に比較して
段階的に応力が減少した.
(4) 原子毎のポテンシャルエネルギー分布により内部構造の変化を調べた.いずれの 組成も,εzz = 0.1近傍までで第1応力ピーク前後に発生した帯状の分布が各結 晶領域全体に伝播した.その後,組成で応力-ひずみ応答変化に違いが生じ始め
るεzz = 0.1〜0.15の間で, いずれの組成でも追加発生したすべりによる高エネル
ギー領域が発生した.
(5) (4)での新たなすべり面による変形が飽和したとき,純鉄では粒界のへき開が起
こった.Fe-0.2wt%YO-0.2wt%TiO2も同様ですべりと粒界が交差する高エネル ギー領域からへき開が生じた.Fe-0.2wt%YO-0.4wt%TiO2では粒界と結晶内部の すべり交差部を接続するような粒内き裂が発生した.Fe-0.6wt%YO-0.2wt%TiO2 では完全に粒内からき裂が発生していた.Fe-0.6wt%YO-0.4wt%TiO2では粒界 に偏析したTiO2とその周囲のFe原子の間でへき開を起こすと同時に粒内き裂 も認められた.
(6) Fe-0.2wt%YO-0.4wt%TiO2とFe-0.6wt%YO-0.4wt%TiO2の粒界でのTiO2粒子 の分布の違いから,むらのある,一部密集した構造が粒界-粒内交差すべりへの き裂発生を促した可能性が示唆された.
(7) 前章と異なり,粒界による内部不均一性により純鉄でも系の弾性剛性係数行列式 が負となることはなかった.また,組成による変化の違いも少ない.
(8) 負のAES原子分布により内部構造変化を調べた.純鉄において引張初期で粒界 での負のAES原子が,減少した後,増加に転じた.これは引張による力学状態 の均一化⇒界面原子の安定化と,その後の均一限界によるものと考えられる.
(9) へき開を生じる粒界にはAESが負となるFe原子が多く存在した. Fe-0.2wt%YO-0.2wt%TiO2の場合,偏析したTiO2間でへき開しているがTiO2そのものは負と なっていない.
(10) Fe-0.6wt%YO-0.2wt%TiO2の場合,引張後期(εzz = 0.15)でも下部の結晶に比べ 上部の結晶に負のAES原子が多く残っていた.き裂を生じた後,き裂近傍に負 のAES原子が存在していた.
(11) Fe-0.6wt%YO-0.4wt%TiO2の場合,引張後期(εzz = 0.15)でも(10)と同じく最 初の応力ピークで生じたAES負原子が解消されず,εzz = 0.15→0.175で2つの 負のAES原子面が1つになるように変化した.これは最初の応力ピーク後に導 入された双晶欠陥間で結晶の回転または相変態を生じたものと推測される.