第 4 章 マイクロ波プラズマ加熱を用いたニッケルシリサイ
4.3 結果と考察
図 4.3.1は、サンプル1 個と9 個同時加熱時の温度プロファイルである。ど
ちらもほぼ同様の温度プロファイルとなり、マイクロ波のパワーを入力したと 同時に表面のニッケルが加熱される。ニッケルが直下のシリコン基板と反応を してニッケルシリサイドが形成されると加熱は自動で停止する。パワーをオフ にすると温度が測定限界まで下がっていることから、冷却が飽和している部分 はサンプルの温度ではなく、水素の発光を測定している。
また、図中のオレンジ色の丸で囲んでいる部分を見ると分かる通り、ニッケ ルシリサイド形成後はマイクロ波のパワーを入れたとしても水素プラズマの 発光のみでサンプルが加熱されることはない。本加熱方式でニッケルシリサイ ドは加熱されないため、サンプルに余計な熱負荷がかからないことが最大の特 徴である。
250 300 350 400 450 500
0 20 40 60 80 100
Temperature [°C]
Elapsed time [s]
1 [ ]
9 [ ]
M.W. on
Ni
消費
M.W. off
図4.3.2 加熱処理を行なったサンプルの断面STEM画像
図4.3.2は、入力パワー1000 W, 圧力30 Pa, 水素流量10 sccmの条件下で加 熱を行ったサンプルの断面STEM画像である。また、図4.3.3は、図4.3.2のニ ッケルシリサイド部分を EDX でラインスキャンを行なった時にプロファイル である。ニッケルとシリコンの成分が検出されており、また比率も1:1である ためニッケルモノシリサイド(NiSi)が出来ていることが確認できる。
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図4.3.3 加熱処理を行なったサンプルのEDXスキャンプロファイル
(スキャン部分は図4.3.2中に記載)
図4.3.4 各条件のI-V特性
図4.3.4は、1個加熱及び9個同時加熱を行なったときのそれぞれのI-V特性
である。加熱前に比べて電流値が約 2 倍程度増加していることが確認できる。
また、1個加熱を行ったサンプルと9個同時加熱を行ったサンプルでは同様の 結果となり、同様の膜質のサンプルが得られたと考えている。この結果は、本 技術を3インチウエハに展開できることを示唆している。
-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3
-1 -0.5 0 0.5 1
[A]
[V]
1
9
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図4.3.5 加熱前後のシート抵抗による面内依存性
図 4.3.5 は、9 個同時加熱の各サンプルのシート抵抗の値である。加熱前は
Niのシート抵抗を示しており、文献値通り10µΩ・cm程度である。加熱後も中 心部及び周辺部すべての面内でシート抵抗の値は、10〜20µΩ・cmであり、NiSi が出来ている事が確認できる。
0 10 20 30 40 50
周辺① 周辺② 周辺③ 周辺④ 中心
R es is ti vi ty [ µΩ ・ cm ]
面内位置
加熱前 NiSi
2が出来た場合の抵抗値 加熱後
NiSi が出来た場合の抵抗値
図4.3.6 加熱前後のシート抵抗によるパワー依存性
最後に、マイクロ波のパワー依存性の確認を行なった結果が図4.3.6である。
本装置のほぼ調整幅の限界である400 W〜1000 Wまで確認を行なった。どの パワーであってもシート抵抗はほぼ変わらず、10〜20µΩ・cm となった。プロ セスのマージンが広いことが確認できた。
0 10 20 30 40 50
1000W 800W 600W 400W
R es is ti vi ty [ µΩ ・ cm ]
M.W. Power
加熱前 NiSi2 が出来た場合の抵抗値 加熱後
NiSi が出来た場合の抵抗値
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