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3.1.1.3.3 SSCP 法

3.1.2 結果と考察

3.1.2.1 ウイルスゲノム塩基配列の決定と系統解析

M11 の干渉効果試験に使用する強毒ウイルス株のウイルスゲノムの塩基配列を決定するため、

M11、GDDを含むグラジオラス由来のBYMV5分離株、非グラジオラス由来の3分離株、および

ClYVV-No30のゲノムRNAの塩基配列について解析を行った。全領域において、少なくとの3回

のシークエンス解読を行った。本研究で新たに決定したG1、Gla、90-2および92-1の塩基配列の 情報はデータベースに登録した (表 3-1)。

3-1 BYMV のゲノム構造とコードされるタンパク質の機能を示す模式図

BYMVのゲノム構造とそれにコードされるタンパク質の機能を示す模式図を図3-1に示した。

これらのポリプロテイン全体 (ORF) と各タンパク質の領域について塩基配列の相同性を調べた ところ、ORFでは、グラジオラス由来の5株間では相同性が非常に高く、92.4% から 99.9%であっ たのに対し、グラジオラス由来株と非グラジオラス由来株の間では75.8% から 87.0%と低かった。

P1やHC-Pro、CP以外の各タンパク質領域についても、グラジオラス由来の5株間では相同性が

つのクラスターを形成し、非グラジオラス由来の3株とは分かれた (図3-2)。

本研究における系統解析の結果では、アメリカ株のGDDを含めたグラジオラス由来の5株は1 つのクラスターを形成し、非グラジオラス由来の3株とは明

かに分かれ、分子進化学的観点か らグラジオラス由来のBYMV株と非グラジオラス由来のBYMV株の相違を示すことができたと 考えられる。

Shukla らは、BYMVを含むPotyvirus属においてCP領域のアミノ酸のコア領域はゲノム全体の

配列の相同性を忠実に反映し、ウイルスの系統間の相同性は90~99%であるのに対して、種レベ ルの相同性は55~75%、近縁な種同士のサブグループレベルの相同性は74~88%であると述べて いる (Shukla and Ward, 1998)。そこで、本研究で用いた株についてアミノ酸のコア領域の相同性を 調べたところ、塩基配列で M11 との相同性が最も低かったCS のM11 とのコア領域の相同性は

92.1%であり、これは同種の系統間の相同性の範囲内であった。一方、ClYVVとM11では74.7%

と近縁な異種ウイルス間の相同性であった。これより、BYMV株で認められるグラジオラス由来 株と非グラジオラス由来株の塩基配列の相違は同種内の範囲に収まるものであり、グラジオラス 由来株はBYMV種内の1つの系統を成すと考えられた。

3.1.2.2 識別検出

3.1.2.2.1 ウェスタンブロット法

M11 と強毒ウイルス株を識別検出するために行ったウェスタンブロット法の結果を図3-3に示 した。BYMV-90-2に対するモノクローナル抗体4H-9を用いた場合、M11は検出されず強毒ウイ ルス株のみ検出されたが、強毒ウイルス株のIbG と 92-1は検出されなかった。ClYVV-90-1 に対 するモノクローナル抗体2H-8ではM11は検出されず、ClYVVのみが検出された。また、WMV-9 (M) に対する ポリクローナル抗体では M11 は検出されず、WMV のみが検出された。これらの 結果より、ウェスタンブロット法ではIbG と 92-1を除いた強毒ウイルス株をM11から特異的に 検出できることが分かった。次に、全ての強毒ウイルス株に適応できる方法としてゲノムの塩基 配列の相違に基づいたRT-PCR法による識別検出を検討した。

3-3 ウェスタンブロット法 によるインゲンマメ黄斑モザイクウイルス (BYMV), クローバ葉脈黄化ウイルス (ClYVV) および カボチャモザイクウイルス (WMV) 株の 特異的識別検出.

ウェスタンブロット法により BYMV, ClYVV,および WMV を検出するため、それぞれBYMV-90-2 対 するモノクローナル抗体 4H-9 (lanes 1-8)と ClYVV-90-1 に対するモノクローナル抗体 2H-8 (lanes 9-11), および WMV-9(M)に対するポリクローナル抗体 (lanes 12-14) を用い、ウイルス

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