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結 果

ドキュメント内 仕事の誇りと安全行動: (ページ 142-150)

第2部 研究

7.3 結 果

7.3.1 要因間の相関関係

各要因の得点から,要因間の相関係数を求めた(Table 7-7)。

安全レジリエンス方略(「人間判断への信頼」)と安全態度の個人行動重視因子の間に正 の関係(r = .37, p < .01),システム重視因子との間に負の相関関係(r = -.16, p < .01)が 認められた。

安全レジリエンス方略(「人間判断への信頼」)と職業的自尊心(r =.29, p < .01),技量工 夫(r = .30, p < .01),作業予定厳守(r = -.15, p < .01)の間に相関関係が認められた。負 の効果を想定していた情緒的コミットメントとの間には直接相関は認められなかったが,

分析モデルにおいて検討することとした。

作業内の自分制御割合と安全レジリエンス方略の間に想定していた相関関係が認められ なかった。一方,自分制御割合と技量工夫因子との間に有意な相関関係がみられた(r

= .12, p < .01)。日常作業において自分制御割合が技量工夫意欲を促進するという仮定は妥

当と判断し,自分制御割合から安全レジリエンス方略および技量工夫に対する効果を仮定 した分析モデルを作成し,妥当性を検討することとした。

Table 7-7 要因間の相関係数

平均値 SD 1 2 3 4 5 6 7 8 9

1 職業的自尊心_13 3.47 0.76 2 情緒的コミットメント_6 2.85 0.80 .46** 3 組織的公正(合成) 3.03 0.65 .44** .52** 4 技量工夫_11 3.52 0.64 .47** .37** .29** 5 作業予定厳守_5 2.83 0.61 -.24** .00 .01 .12** 6 個人行動重視_9 3.71 0.59 .48** .16** .22** .48** -.33** 7 システム重視_5 2.97 0.65 -.28** -.10** -.09* .11** .42** -.19** 8 人間判断への信頼_2 2.99 0.65 .29** .00 .06 .30** -.15** .37** -.16** 9 不可知の許容_2 2.58 0.63 .06 -.02 .02 .04 -.15** .08* -.10** .01 10 自分制御割合 42.28 22.52 -.02 .00 -.05 .12** .07 -.02 .05 .07 .03 注)組織的公正の得点は、4つの下位因子得点の平均値で代替した。

N = 751(2017年web2群、看護師調査)。

* p<.05, ** p<.01。

131

7.3.2 分析モデルの作成:作業の自分制御割合の効果の検討

仮説に基づき,安全レジリエンス方略選択モデルを作成した。自分制御割合から安全レジ リエンス方略および技量工夫因子に対する効果のパスについてモデル 01―モデル 03 を設 けた。

モデル01:自分制御割合から安全レジリエンス方略に対する効果を設定した

モデル02:自分制御割合から技量工夫に対する効果を設定した

モデル 03:自分制御割合から安全レジリエンス方略および技量工夫に対する効果を設

定した

構造方程式モデリングを行い,適合を検討した結果をTable 7-8に示した。AIC基準に照 らして,値の小さかったモデル02を分析モデルとして採用した。

7.3.3 安全レジリエンス方略選択モデル(全体)

分析モデルを用いて,構造方程式モデリングを行った。適合度はGFI = .98, AGFI = .95, CFI

= .97, RMSEA = .05であった。得られた標準化解をFigure 7-2に示した。職業的自尊心と業

務推進意欲の技量工夫因子は安全レジリエンス方略(「人間判断への信頼」)の選択を促進し ていた。情緒的コミットメントと業務推進意欲の作業予定厳守因子は安全レジリエンス方 略の選択を抑制していた。

Table 7-8 安全レジリエンス方略選択モデルの適合度(全体)

χ2 df p GFI AGFI CFI RMSEA AIC

モデル01

(安全レジリエンス方略に対す る効果)

115.31 34 .00 .97 .95 .97 .06 179.31

モデル02

(技量工夫に対する効果) 101.75 34 .00 .98 .95 .97 .05 165.75 モデル03

(安全レジリエンス方略および 技量工夫に対する効果)

100.94 33 .00 .98 .95 .97 .05 166.94

注)N = 751(2017年web2群、看護師調査)。

132

Figure 7-2. 安全レジリエンス方略選択モデルの構造方程式モデリングの結果

(標準化解,2017年, N = 751)。

注)GFI = .98, AGFI = .95, CFI = .97, RMSEA = .05。

図では,有意なパスのみを記した。

潜在変数名の下に記したのはR2 である。これらのR2 はすべて1%水準で有意であった。

外生変数間,誤差変数間の共変関係はTable 7-9に記した。

***p < .001。

Table 7-9 職業的自尊心–安全行動意思モデルの要因間の共変関係

技量工夫_11の誤差変数 <--> 作業予定厳守_5の誤差変数 .34***

職業的自尊心_13の誤差変数 <--> 情緒的コミットメント_6の誤差変数 .31***

手続き的公正_6の誤差変数 <--> 分配的公正_4の誤差変数 .18* 対人的公正_5の誤差変数 <--> 情報的公正_4の誤差変数 .56***

注)N = 751(2017年web2群、看護師調査)。

* p<.05, *** p<.001。

相関係数

133

安全レジリエンス方略(「人間判断への信頼」)に対する職業的自尊心,情緒的コミットメ ント,組織的公正の総合効果を,仮説モデルの各要因間の効果に基づいて算出した(Table 7-10)。職業的自尊心が「人間判断への信頼」を促進し(総合効果 .53),情緒的コミットメ ントが抑制していた(総合効果 -.25)。組織的公正からは総合すると弱い促進効果がみら れた(総合効果 .09)。

Table 7-10 安全レジリエンス方略(「人間判断への信頼」)の選択に与える効果

職業的自尊心が人間判断への信頼に与える効果

直接効果 .28

間接効果 技量工夫を媒介とする効果 .16 作業予定厳守を媒介とする効果 .09

総合効果 .53

情緒的コミットメントが人間判断への信頼に与える効果

直接効果 -.28

間接効果 技量工夫を媒介とする効果 .08 作業予定厳守を媒介とする効果 -.05

総合効果 -.25

組織的公正が人間判断への信頼に与える効果

間接効果 職業的自尊心を媒介とする効果 .26 情緒的コミットメントを媒介とする効果 -.16

総合効果 .09

注)N = 751(2017年web2群、看護師調査)。

134

7.3.4 群ごとの分析:安全レジリエンス方略選択モデル(群)

要因間の相関関係

要因間の相関関係を検討した(Table 7-11)。要因間に相応の相関関係が認められたの で,安全レジリエンス方略選択モデルの分析を行うこととした。

Table 7-11 要因間の相関係数

A群:販売・サービス業(n = 303)

平均値 SD 1 2 3 4 5 6 7 8

1 職業的自尊心_13 3.15 0.68

2 情緒的コミットメント_6 2.79 0.78 .55**

3 組織的公正(合成) 2.99 0.67 .46** .52**

4 技量工夫_11 3.43 0.68 .43** .29** .31**

5 作業予定厳守_5 2.97 0.55 -.09 -.07 .05 .24**

6 個人行動重視_9 3.51 0.55 .26** .11 .16** .47** -.15**

7 システム重視_5 3.14 0.52 -.03 -.12* .13* .36** .31** .13*

8 人間判断への信頼_2 2.93 0.65 .18** .04 .08 .38** -.02 .41** .09 9 自分制御割合 44.65 24.57 .10 .06 .05 .15* .02 .02 .00 .13*

B群:製造・運輸業(n = 213)

平均値 SD 1 2 3 4 5 6 7 8

1 職業的自尊心_13 3.27 0.72

2 情緒的コミットメント_6 2.87 0.79 .59**

3 組織的公正(合成) 2.94 0.70 .48** .63**

4 技量工夫_11 3.48 0.67 .46** .32** .26**

5 作業予定厳守_5 2.98 0.62 .00 .11 .05 .17*

6 個人行動重視_9 3.56 0.60 .35** .13 .18** .55** -.21**

7 システム重視_5 3.22 0.54 .05 -.03 .02 .35** .41** .21**

8 人間判断への信頼_2 2.79 0.63 .19** -.08 -.13 .22** -.11 .23** .08 9 自分制御割合 43.15 22.90 -.08 -.15* -.22** .11 .01 .07 .10 .10

C群:看護師(n = 235)

平均値 SD 1 2 3 4 5 6 7 8

1 職業的自尊心_13 4.07 0.49

2 情緒的コミットメント_6 2.91 0.84 .40**

3 組織的公正(合成) 3.16 0.56 .32** .43**

4 技量工夫_11 3.66 0.52 .53** .53** .27**

5 作業予定厳守_5 2.52 0.54 -.11 .01 .07 .10

6 個人行動重視_9 4.10 0.41 .34** .26** .21** .34** -.31**

7 システム重視_5 2.51 0.64 -.15* -.10 -.27** -.12 .24** -.35**

8 人間判断への信頼_2 3.26 0.57 .21** -.02 .12 .15* -.07 .14* -.27 ** 9 自分制御割合 38.44 18.66 .14* .07 .05 .18** .09 .02 -.12 .04 注)組織的公正の得点は、4つの下位因子得点の平均値で代替した。

2017年web2群、看護師調査。

* p<.05, ** p<.01

135 各群のモデルの適合

安全レジリエンス方略選択モデルを共通の分析モデルとして,各群に構造方程式モデリ ングを行った(Table 7-12)。B群(製造・運輸業)でAGFIの適合度がやや低かったが,

いずれの群でも妥当な適合がみられた。

配置不変性,測定不変性の検討

配置不変性および測定不変性の検討を構造方程式モデリングで行った(Table 7-11)。配 置不変モデルおよび測定不変モデルの適合はともに十分であった。AIC基準は測定不変モ デルのほうが値が小さかった。しかし,各群の要因間の効果を検討し,群間で効果が等し いと仮定する測定不変モデルよりも対象群によって効果が等しいとは限らないと仮定する 配置不変モデルのほうが解釈が妥当であると判断した。よって,配置不変モデルを分析モ デルとした。適合度はGFI = .96, AGFI = .92, CFI = .97, RMSEA = .03であった。

安全レジリエンス方略選択モデル(配置不変モデル)の分析結果 3群に対する多母集団同時分析を行った(Figure 7-3)。

Table 7-12 安全レジリエンス方略選択モデルの適合度(3群)

n χ2 df p GFI AGFI CFI RMSEA AIC

A群:販売・サービス業 303 42.61 34 .15 .98 .95 .99 .03

B群:製造・運輸業 213 73.71 34 .00 .94 .89 .95 .07

C群:看護師 235 64.40 34 .00 .95 .91 .95 .06

多母集団同時分析 配置不変モデル 180.76 102 .00 .96 .92 .97 .03 372.76 多母集団同時分析 測定不変モデル 222.93 124 .00 .95 .92 .96 .03 370.93

136

Figure 7-3. 安全レジリエンス方略選択モデルの構造方程式モデリング(配置不変)の結果

(標準化解,2017年)。

注)A: 販売・サービス業(n = 303), B: 製造・運輸業(n = 213), C: 看護師(n = 235)。 潜在変数名の下に記したのは,各群におけるR2 である。これらのR2 はすべて1%水準で有意 であった。

外生変数間,誤差変数間の共変関係はTable 7-13に記した。

p < .10, * p < .05, ** p < .01,*** p < .001。

Table 7-13 安全レジリエンス方略選択モデルの要因の共変関係

技量工夫_11の誤差変数 <--> 作業予定厳守_5の誤差変数 .44*** .25** .27* 職業的自尊心_13の誤差変数 <--> 情緒的コミットメント_6の誤差変数 .47*** .47*** .34***

手続き的公正_6の誤差変数 <--> 分配的公正_4の誤差変数 .13 .12 .04 対人的公正_5の誤差変数 <--> 情報的公正_4の誤差変数 .60*** .51*** .59***

* p<.05, ** p<.01,*** p<.001。

(販売・サービス業) (製造・運輸業) (看護師)

A群 B群 C群

相関係数

137

各群のパス係数を一対比較して差の検定を行い,局所的な差を検討した(有意差がみられ たパス係数の差の検定統計値をTable 7-14に記す)。パラメータ間の差に対する検定統計量 として, 2つのパス係数の差異を標準正規分布に変換した値を用いる(小塩,2011)。

3群の標準パス係数の要約は以下のとおりであった。

(1)組織的公正から職業的自尊心への促進効果(β = .35, p < .001 ― β = .55, p < .001)お よび情緒的コミットメントへの促進効果(β = .55, p < .001 ― β = .80, p < .001)がみら れた。

(2)職業的自尊心から業務推進意欲の技量工夫因子に促進効果がみられた(β = .42, p < .001

― β = .47, p < .001)。職業的自尊心から業務推進意欲の作業予定厳守因子にC群(看護

師)でのみ抑制傾向がみられた(β = -.20, p < .10)。

(3)情緒的コミットメントは,C群(看護師)でのみ技量工夫因子を促進し(β = .42, p < .001),

B群(製造・運輸業)でのみ作業予定厳守因子を促進する傾向がみられた(β = .25, p < .10)。

(4)安全レジリエンス方略(「人間判断への信頼」)に対する促進効果がみられたのは,2群の

職業的自尊心(B群(製造・運輸業): β = .46, p < .001,C群(看護師): β = .25, p

< .05)と3群の技量工夫因子であった(A群(販売・サービス業): β = .63, p < .001, B群(製造・運輸業): β = .30, p < .01,C群(看護師): β = .30, p < .05)。抑制効果が みられたのは,3群の情緒的コミットメント(A群(販売・サービス業): β = -.23, p

< .05,B群(製造・運輸業): β = -.45, p < .001,C群(看護師): β = -.28, p < .05)

と,2群の作業予定厳守因子であった(A群(販売・サービス業): β = -.25, p < .001,

B群(製造・運輸業): β = -.21, p < .01)。

(5)作業の自分制御割合は技量工夫意欲を促進していた(β = .10, p < .10 ― β = .16, p

< .01)。

Table 7-14 パス係数の差の検定統計量

職業的自尊心_13 <--- 組織的公正_4 -2.41 * -2.66 **

技量工夫_11 <--- 情緒的コミットメント_6 2.18 * 1.99 * 人間判断への信頼 <--- 職業的自尊心_13 2.36 *

人間判断への信頼 <--- 技量工夫_11 -2.56 * 注)2017年web2群、看護師調査。

* p<.05, ** p<.01

B群-A群 C群-A群 C群-B群

ドキュメント内 仕事の誇りと安全行動: (ページ 142-150)