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第 6 章 実験 24

6.3 結果

6.3.1 アンケートによるシステムの評価

被験者の一覧とジャグリング歴・実験をおこなった時間・実験後のアンケートによる本 システムの使用感について5点満点による評価の結果を表6.3に示した.実験をおこなっ た時間には,実際にディアボロの練習をしていた時間と本システムでフィードバックをお こなっていた時間の両方が含まれている.この結果を見ると,実験時間は30分〜40分を 目安に終了して良いと伝えたにも限らず被験者7人中5人がそれをオーバーしても実験 をおこなっていた.システムの使用感の評価については被験者7人中5人が5点満点,平 均4.7点と高い評価が得られた.また,実験後アンケートの「こういったシステムがあっ たら使いたいか」という項目については,被験者7人全員から「使いたい」という回答 が得られた.

表 6.3: ジャグリング歴・実験時間・評価の一覧

被験者 ジャグリング歴 実験時間 システムの評価(5点満点)

A 3年2か月 36分 5

B 2年9か月 48分 5

C 1年8か月 30分 5

D 10か月 56分 5

E 2年3か月 1時間22分 4

F 10か月 48分 5

G 3年10か月 1時間6分 4

平均 2年2ヶ月 52分 4.7

6.3.2 気付きに関する発話

本実験において,被験者が何らかの気付きを得た際の発話を,気付きの種類に基づい て分類した.気付きは大きく分けて3つの種類に分類した.代表的な発話を交えつつ以 下で紹介する.

1 想定していた動きと実際の動きの差異に対する気付き

これは,被験者自身が想像していた動きと実際の動きが異なったことに対する気付き である.実験中に得られた気付きの中で,この気付きが最も多かった.実験中に特徴的 だった発話として,次のようなものが挙げられる.

円じゃなくて三角形になっちゃってますね

(被験者A,スピードループについて)

もっと丸みを帯びてると思ったんですけど,思ったより細かったです

(被験者F,スピードループについて)

もっと横の楕円みたいになってるかと思ったけど,そうでもないですね

(被験者B,腕回しについて)

意外と楕円.うん,思ったより楕円 (被験者C,スピードループについて)

もっと下でスティック離してるつもりだったのに

(被験者E,2ディアボロ台南ジェノサイドについて)

この技,派手にやってるつもりだったんですけど,意外に小じんまりと してるんですね

(被験者G,アラウンドザボディのマジックノットターンシーケンスについて)

被験者Aの発話は,スピードループについてディアボロの軌道を描画してフィードバッ クしている時のものである.スピードループはディアボロを安定させるために加速をか ける基本的な技である.この発話では,被験者自身は円形の軌道を描いていると思って いたが,実際は三角形の軌道になっていたことに対する驚きが表れていた.被験者Fの 発話も同様にスピードループに関するもので,自身が想定していた軌道より細い軌道に なってしまっていることに気付いたものであった.これらは「自身が思っていた軌道で なく,理想的ではない軌道になってしまっていた」という気付きである.

被験者Bの発話は,腕回しの練習についてディアボロの軌道を描画してフィードバック している時のものである.腕回しは腕の周りでディアボロを回すように動かす技である.

この発話では,横の楕円になっていると本人は思っていたが,円形に近い形になっていた ことに気付いたものであった.また,被験者Bの発話は,被験者自身は楕円のスピード ループを理想としており,実際に軌道が楕円になっていることに対する気付きであった.

これらは,「自身が思っていた軌道ではない,または自身は理想的ではない軌道を描いてい ると思っていたが,実際には理想に近い軌道になっていた」ことに対する気付きである.

被験者Eの発話は2ディアボロ台南ジェノサイドの練習について,右手の軌道を描画 してフィードバックしている時のものである.2ディアボロ台南ジェノサイドは,2つの

を放すことでもう1つのディアボロを一度浮かせ,回転してきた紐でまたそのディアボ ロを巻き取って回収する技である.この発話では,被験者自身は真下のあたりでスティッ クを手から放しているつもりだったが,実際にはもっと早く横のあたりで手を放してし まっていることに気付いた際のものであった.これは「自身が思っていた軌道でなく,

理想的ではない軌道になってしまっていた」ものであるが,

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綺麗かどうかが目的ではなく

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技の成功のためのものである.

被験者Gの発話はアラウンドザボディのマジックノットターンシーケンスの練習につ いて,ディアボロの軌道を描画してフィードバックしている時のものである.マジック ノットとは,紐をうまくスティックやディアボロに巻くことで絡まっているように見える が実際には簡単にほどけるようにするトリックのことである.このトリックを,体の前後 を反転させながら繰り返して技を繋ぐのがマジックノットターンシーケンスである.こ の発話では,被験者自身は派手に見せているつもりだったが,マジックノットの紐を巻く ことに集中しすぎてディアボロの動きがおざなりになっており,自身が理想としていた ほど大きく動いていなかったというものである.これは「自身が思っていた軌道でなく,

理想的ではない軌道になってしまっていた」ものであるが,::::::::::::::::::::::::::::綺麗かどうかが目的ではな

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く技の派手さのためのものである.

2 問題部分に対する気付き

これは,できない技における問題部分に対する気付きであった.関連する発話に次の ようなものが挙げられる.

外からのサンをよくミスするんですけど,あー,これもしかしたら 手の動きが連動してないのが良くないのかな

(被験者D,アウトインサンについて)

これはアウトインサンの練習について,右手と左手の軌道を描画してフィードバック している時の発話である.この被験者はアウトインサンでディアボロに紐が1周巻かれ てしまうというミスの原因を探しており,このフィードバックによって右手と左手の動 きがバラバラになっているということに気付いた.

3 修正した動きが再現できていないことに対する気付き

これは,一度は気付きを得て軌道を修正したものの,無意識に元に戻ってしまってい ることに対する気付きであった.関連する発話に次のようなものが挙げられる.

急いでやろうとすると汚いっすね (被験者A,スピードループについて)

意識しないと斜めになっちゃいますね (被験者F,スピードループについて)

あー,どんどん戻っていくー (被験者G,スピードループについて)

これらはみなスピードループが想像していたものと違ったため,一度修正して理想の ものに近づけた後に得られた発話である.スピードループは基本的な加速技であるため,

他の技をおこなう前にとてもよく用いられる.その際,次の技に入ることに集中しすぎ ることで,修正したスピードループの軌道についての動きが再現できず,無意識のうち に元の軌道に戻ってしまっている場合に得られた気付き であった.

6.3.3 アンケートによる各機能に関する評価

各機能の評価について,アンケートの回答結果から特徴的だったものを以下に示した.

道具の軌道描画の評価については,次のような回答が得られた.

道具の軌道描画について:

ディアボロという道具の特性上きれいな円になっているか見えたのがとても良かった

(被験者B)

普段は道具が目で追い切れないのに対して,自分のイメージと照らし合わせなが らなので,さらに効率が良いと感じた (被験者C)

今まで軌道について意識したことはあったが,今回のシステムのように画面に表 示してみることが出来ると客観的な判断が行えて非常に良かった (被験者G)  

やはり,単なる動画ではディアボロの軌道を目で追いかけることは難しく,視覚的に表 示できるようにした点が評価された.被験者7人のうち,ほぼ全員が最も多く使った機 能であった.

関節の軌道描画の評価については,次のような回答が得られた.

関節の軌道描画について:

手とかに意識できた.今まで見つけられなかったことを見つけられた (被験者A)

手の動き方が明確になって新しい発見があった (被験者D)

手の位置描画はスピードループの円軌道の中心とする指標として役立った

(被験者G)

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