〈事前分析〉
本研究によって得られたデータの分析を行う前に、事前分析として参加児の 年齢の違いと、男女によるアタッチメント安定性得点の違いと、母親の年齢に よるアタッチメント安定性得点の違いについて分析を行った。
まず、参加児の年齢に差があるのかどうかを検定するために、群を要因とし て1要因の分散分析を行った結果として、群間に有意な差はみられなかった。
次に、アタッチメント安定性得点における男女差について、自閉症児群を除 く健常児群と精神遅滞児群について、対応のないT検定を行った。その結果 CAマッチング条件とMAマッチング条件のそれぞれについて晶群ともに有意
な差は見られなかった。
さらに、母親の年齢によるアタッチメント安定性得点の違いについて分析を 行った。群を要因とする1要因の分散分析を行ったところ、CAマッチング条 件については有意な差がみられなかった。しかしながら、DAマッチング条件
においては有意な差がみられた(F(2,62)=14。73,p<.000)。そこで、母親の 年齢と子どものアタッチメント安定性得点との相関値を算出したところ、一
〇.113であり、有意な相関ではなかった。
以上の結果から、男女における差異や母親の年齢の差異は考慮せずに、今後 の分析を行っていく。
〈アタッチメント安定性得点〉
Figure 1に示しているのは、各参加者のアタッチメントQ分類法において 得られたカードの得点と標準分類における得点との相関値を算出して得られた
アタッチメント安定性得点である。縦軸にはアタッチメント安定性得点が、横
40
軸には群が示されている。アタッチメント安定性得点は標準分類との相関値で あるため、最高得点は1点、最低得点は一1点である。
Figure 1を見ると、 CAマッチング条件、 DAマッチング条件ともに、自閉症 児群が他の比較群に比べて、アタッチメント安定性得点が低いということが分 かる。このことについて、群を要因とする1要因の分散分析を行ったところ、
CAマッチング条件において有意な差が見られた(F(2,62)ニ19.48, p<.
000)。その結果について、下位検定としてTukeyのHSD検定を行ったとこ ろ、自閉症児群と健常児群(p<.000)および自閉症児群と精神遅滞児群
(p<.000)との間に有意な差が検出された。
また、DAマッチング条件についても同様な分析を行ったところ、群間に有 意な差がみられた(F(2,62)=7.95,p<.001)。さらに、下位検定を行った
ところ、自閉症児群と健常児群(p<.001)および自閉症児群と精神遅滞児群
(p<.004)との間に有意な差が検出された。
相i
三 重
0,6
0.4
0.2
0
一〇.2
一〇.4
一〇.6
一〇.01
0,38
蒙
囲安定性得点
0.25
0.31
0.26
§ 鍛
自閉症児 健常児(CA) 健常児(DA) 精神遅滞児 精神遅滞児 (CA) (CA)
群
Flgure 1 群別にみたアタッチメント安定性得点
41
<母親との相互交渉行動>
Figure 2に示しているのは、アタッチメントQ分類の項目の中から、
母親との相互交渉に関する項目を選びだし、相互交渉得点を算出したものであ る。縦軸には母親との相互交渉得点が、横軸には群が示されている。
Figure 2を見ると、 CAマッチング条件、 DAマッチング条件ともに、自閉症 児群が比較群に比べて母親との相互交渉得点が低くなっていることが分かる。
このことについて群を要因とする1要因の分散分析を行ったところ、CAマッ チング条件において有意な差が見られた(F(2,62)=15.69,p<.000)。この結
果について、下位検定としてTukeyのHSD検定を行ったところ、自閉症児群 と健常児群(p<.000)および自閉症児群と精神遅滞児群(p<.OOO)との間に 有意な差が検出された。
また、DAマッチング条件についても同様な分析を行ったところ、群間に有 意な差がみられた(F(2,62)ニ7.50,p<.001)。さらに、下位検定の結果、自閉 症児群と健常児群(p<.014)および自閉症児群と精神遅滞語群(p<.001)と の間に有意な差が検出された。
0.6
0.4
旧1 0.2 竃 稼
盟 o
芹 磁.0.2
一〇,05
0.53
穫 鑓
0.29
0.51
0.42
茎 磁
自閉症児 健常児(CA) 健常児(DA) 精神遅滞児 精神遅滞児 (CA) (DA)
群
一〇.4
一〇.6
Figure 2群別にみた母子相互交渉行動得点
42
<母親への身体接触行動>
Figure 3にはアタッチメントQ分類の項目の中から、母親との身体接触行 動に関する項目を選びだし、母親との接触行動得点を算出したものを示してい
る。縦軸には母親との接触行動得点が、横軸には群が示されている。
Figure 3を見ると、自閉症児群の身体接触行動得点はCAマッチング条件、
DAマッチング条件ともに、比較群と比べてやや低い得点になっている。この 結果について、群を要因とする1要因の分散分析を行ったところ、CAマッチ
ング条件、DAマッチング条件ともに群間に有意な差は見られなかった。
0,6
0.4
0.2 極
に 0
磁 一〇.2
0.25
Q.36
醸
繋
1團身体接触得点
0.24
0.38
蕪
轟》㌔
0.29
謹 薫
自閉症児 健常児(CA) 健常児(DA) 精神遅滞児 精神遅滞児 (CA) (DA)
群
一〇.4
一〇.6
Figure 3群別にみた母親との身体接触行動得点
43
<母親への接近行動得点>
Figure 4にはアタッチメントQ分類の項目の中から、母親への接近行動に 関する項目を選びだし、母親への接近行動得点を算出したものを示している。
縦軸には母親への接近行動得点が、横軸には群が示されている。
Figure 4を見ると、 CAマッチング条件、 DAマッチング条件ともに、自閉 症児群が比較群と比べてやや低い得点になっていることが分かる。この結果に ついて群を要因とする1要因の分散分析を行ったところ、CAマッチング条件 DAマッチング条件ともに群間に有意な差はみられなかった。
旧{
に 0.6
0.4.
0.2
0
一〇,2
一〇.4
一〇.6
0.07 薫 華
0.21 0,20 0.21
0.13
自閉症児 健常児(CA) 健常児(DA) 精神遅滞児 精神遅滞児 (CA) (DA)
Figure 4群別にみた母親への接近行動得点
44
<他者との相互交渉行動得点>
Figure 5にはアタッチメントQ分類の項目の中から、他者との相互交渉行 動に関する項目を選びだし、他者との相互交渉行動得点を算出したものを示し ている。縦軸には他者との相互交渉得点が、横軸には群が示されている。
Figure 5を見ると、 CAマッチング条件、 DAマッチング条件ともに、自閉 症児群が比較群と比べて顕著に低い得点になっていることが分かる。この結果
について群を要因とする1要因の分散分析を行ったところ、CAマッチング条 件において群間に有意な差が見られた(F(2,62)=19.94,p<.000)。この結果
について、下位検定としてTukeyのHSD検定を行ったところ、自閉症児群と 健常児群(p<.000)および自閉症児群と精神遅滞児群(p<.000)との間に有意 な差が検出された。
また、DAマッチング条件についても同様の分析を行ったところ、群間に有 意な差がみられた(F(2,62)=10.21,p<.000)。さらに、下位検定を行ったと
ころ、自閉症児群と健常児群(p<.000)および自閉症児群と精神遅滞児群
(p<.OO1)との間に有意な差が検出された。
相i
虚 勢 睾
0,6
0.4
0.2
0
一〇.2
一〇.4
一〇.6
自閉症児
0.42
国他者相互交渉得点
0.28 0.27
O.24
一〇.17
健常児(CA) 健常児(DA) 精神遅滞児 精神遅滞児 (CA) (CA)
Figure 5群別にみた他者との相互交渉行動得点
群
45
〈アタッチメント安定性得点と下位分類の関係〉
Figure 6は、アタッチメント安定性得点とアタッチメントQ分類における下 位分類の得点との相関値を表わしたものである。それぞれの軸は、相関値を示
しており、最大値は1で最小値は一1である。しかしながら、負の相関を示す項 目はなかったため、最小値をOで表わしている。また、健常児群と精神遅滞児 群に関しては、各下位分類の得点についてCAマッチング条件とDAマッチン グ条件との間で丁検定を行った結果、差がみられなかったために同一の群とし
て扱う。
Figure 6をみると、3群ともに各下位分類における得点はアタッチメント安 定性得点と正の相関があるように思われる。このことについて、相関値の危険 率を算出したところ、3群ともにアタッチメント安定性得点と全ての下位分類 における得点との間で有意な正の相関を示していた。
+自閉症児一一つ一一健常児一一▲一一精神遅滞児1 母子相互交渉行動得点
他者相互交渉行動得点
1
!
! ρ
! 、、
、\
、 !
\ ノ7
、、、
母親への接触行動得点
母親への接近行動得点
Figure 6 アタッチメント安定性得点と下位分類における得点との関係
46
<母子相互交渉行動得点と他者相互交渉行動得点の関係>
Figure 7は、母子相互交渉行動得点と他者相互交渉得点との関係を散布図に よって示したものである。縦軸には母子相互交渉行動得点が、横軸には他者相 互交渉行動得点が示されている。
Figure 7をみると、健常児群においては特定の傾向がみられないが、自閉症 児群と精神遅滞児群については、母子相互交渉行動が高い得点であると他者相 互交渉行動における得点も高いという傾向がみられるように思われる。このこ とに関して、相関値を算出したところ全体としてはr瓢.53(p<.000)という 有意な比較的高い正の相関が得られた。また、各群についてそれぞれ算出した ところ、自閉症児群と精神遅滞児群についてはそれぞれ、r=.56(p<.019)、
r=.40(p<.011)という有意な比較的高い正の相関が得られた。しかしながら、
健常児に関してはr=.15というほとんど相関はみられないという結果であっ
た。
◆健常児(CA)◇健常児(DA}▲精神遅滞児(CA)△精神遅滞児(DA)×自閉症児
遷 歴 叢 睾 1 宙
1
;K ×
◆ 《〉
◆ 9
@0.5
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◇
◇×
〈〉《〉
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レ△ 96》
栫メt@△ ◆米
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◇ ◎<
竅 ▲
ρ。
堰「6皇 ◆ 亀 ◆ ◆
◆
−0.5 ◆
「心・5漁
× ◇ ◇x
×× ×
〇.5
1
他者相互交渉行動得点
igure 7母子相互交渉行動得点と他者相互交渉行動得点との関係
7