の治療が終えたあと、周辺のリハビリを中心とする医療機関への転院などもスムーズに 行われてきている。またそれらの医療機関から、やはり周辺の在宅医療を提供する医 療機関への紹介、地域の訪問看護ステーションへの移行という流れもできつつある。
全体として病院完結型医療から地域完結型医療への転換が進んでいるものと思われ る。これによる効果だけとはいえないものの魚沼二次医療圏における年齢補正後の市 町村国民健康保険及び後期高齢者医療制度を併せた医療費の地域差指数は少なく とも 2014 年〜 2017 年の間、全国でも最低となっている(図 4 )
4)。
図 3 .喫煙率と校区別授業回数の平均
今後の展開
地域医療保健活動の一つの形として、住民を巻き込んだ地域医療魚沼学校を設立 した魚沼二次医療圏を紹介した。総合診療医的な視点、つまり地域を見ることのでき る視点を持った医師が中心となることで地元医師会、地元行政、そして大学とが連携 し地域医療学校設立への大きな運動の流れを形成することができた。住民への働きか けにより、医療需要を減じることができれば、昨今その逼迫が問題視されている医療費 の削減にも繋がる可能性がある。前述の通り、この魚沼医療圏の年齢補正後の一人あ たり医療費は 2014 年、 2016 年に引き続き 2017 年の集計でも全国で最低を維持して いる。これには総合的な視点を持った医師により主導された地域医療魚沼学校の活 動が寄与している可能性がある。まさに「住民こそ医療資源」なのだ。
また優れた総合医は教育者としての視点も持っている。この一連の活動を通じて、
この魚沼二次医療圏は今や、新潟大学にとって欠かすことのできない地域医療・総合 診療実習フィールドとなっている。今、全ての新潟大学の医学生は、必ず一度はこの 魚沼地域で未来の医療の在り方を学んでいる。
これらの活動を通じ住民の受療活動を変化させることにより、医療受給のバランスを 少しでも改善し、医師不足のインパクトを減じることができるのでは無いだろうか。
図 4. 二次医療圏別医療費マップ (2017)
そしてこれらの活動により、この地域は本県における地域医療教育の中心となろうと している。さらに関東からのアクセスの良さも活用し、研修医や専攻医の獲得も乗り出 そうとしている。
結びに
言うまでもないことだが、医師法の第 1 条には「医師は医療及び保健指導を掌ること によって公衆衛生の向上及び増進に寄与し…」と記載がある様に、医師には保健指 導に関わることが求められている。もちろん個々の患者に向き合い、疾病を一つ一つ しっかりと治療していくことは医療の基本ではあるが、それと同じくらい、或いはもっと地 域における保健活動、それによる地域全体の健康増進を図ることも重要ではないだろ うか。そして総合診療医(総合診療的な視点を持っている全ての医師)は、自ずと地域 へと目を向けるために、地域全体を公衆衛生の向上に寄与するものと思われる。
文献
1) 井口清太郎:地域医療教育〜これまでと今後の課題〜.新潟県医師会報 2019: 834: 2-8頁 2) 地域医療魚沼学校. http://www.uonuma-school.jp/
3) Iguchi S, et al: A conference report of the interprofessional satellite symposium in Uonuma, Japan: an international exchange on the future of community care. J Interprof Care, 2014; Oct 7: 1-4.
4) 医療費の地域差分析.
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/database/iryomap/index.html
当院で開発したマイルストーンを用いた総合診療医育成方針の紹介
海透 優太
1、植木 愛
1,2、奥津 理彦
1、酒井 雅人
11 独立行政法人地域医療機能推進機構 若狭高浜病院 2 福井大学医学部地域プライマリケア講座
【取り組みの背景】
当院は福井県大飯郡高浜町で地域医療を担う 90 床規模の病院である。前身は社
ドキュメント内
研究代表者
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