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段階評価に分類

ドキュメント内 研究代表者 (ページ 44-56)

Level 1 : Observer-class

・ 臨床現場に出るために座学や見学で準備をする身

Level 2 : Reporter-class

• 指導医のもとでの実臨床の入門修業を行う身

Level 3 : Interpreter-class

• 個々の患者の担当医・主治医を全うする身

Level 4 : Manager-class

• 医療チーム ( 病棟・多職種・研修医 ) のリーダーを担う身

Level 5 : Educator-class

・ 院内:後輩育成に従事し、教育者として、後輩のロールモデルとなる身、指揮者

・ 院外:医療者として社会を牽引する身

「たかはマイルストーン」の評価の一環として、毎日の業務の中で注目して行ってい ることを列挙する。

◯毎朝回診:ショートプレゼンテーション ( 約 30 秒 ) を担当患者全員行う。医学生にも 患者を担当してもらい、初期研修医と同じようにプレゼンテーションしてもらっている。

網羅的情報収集→情報の取捨選択→共通言語化というポイントを押さえて、聞き手に 伝わりやすいプレゼンテーションを目指している。特に学生は、プレゼンテーションを 全て文字に起こしてもらい、指導医と推敲まで行っている。自分が必要だと選んだ言 葉の意味を常に追及させるための手段である。 PEACH メソッド (Patient ID 、 Event overnight 、 Assessment and plan 、 CHeck point) に基づいて簡潔かつ過不足ないプレゼ ンテーションを全員で評価しフィードバックしている。

◯毎日カンファレンス:「 Problem のない患者はいない」をモットーに、特に急性期治療

が完遂した患者に対して生物学的なプロブレムに限定せず問題点を抽出するように

指導し皆で議論をしている。例を挙げるなら、生活機能 (ADL/IADL) はもちろん、栄養

状態・ポリファーマシー・社会的背景・予防医学・ ACP など高齢者でいう総合機能評価

に気付くことが多く、入院しなくてはならない時こそ、患者の退院後の生活や再入院、

果てはこれからの人生に貢献できるチャンスであると自発的な気付きに繋がっている。

◯毎日振り返り ( クリパ作成 ) : SEA(Significant Event Analysis)2) を用いて、初期研修 医・学生に振り返りを求め、毎日夕方に全員集まって振り返りの報告会を開催してい る。プロフェッショナリズムの教育は Bloom のタキソノミーでは情意領域 ( 態度教育 ) に 該当する領域が多く、知識・技術教育と比べて効果的な教育方法が少ない領域とされ ているが、 SEA は一般的にプロフェッショナリズムの醸成に有効な手法であるとされて いる。医療の専門家としてのあり方を、技術的熟達者ではなく、現場の問題に正面か ら向き合うことに根ざした省察的実践家 (reflective practitioner) を目指している。

当院の振り返りでは毎日1名日替わりで「本日のクリニカルパール ( 通称:クリパ ) 」を述 べてもらっている。 reflection の中でも” reflection for action ”に重点を置いて振り返りを している。 EBM を用いた自然科学に寄ったパールもあれば SEA を活用した非自然 科学的な内容のパールまで幅広い。“明日の自分へのプレゼント”“ここで研修してい ない仲間達へのプレゼント”として言語化することで毎日の振り返りの収束点としてい る。

【成果 / 今後の展開について】

自分の後輩に勧めてくれる研修医も多数おり、満足度は高いと思われる。しかし、教 育には、評価される側のみならず評価する側をも評価する目が必要だ。今後の展望と しては、学生や研修医が同じマイルストーンを利用して教育者を評価することにも取り 組んでいきたい。指導者側が、態度教育の具体的な方略であるロールモデルとして振 舞えているかを後継者 / 若手医師から評価してもらう良い機会になるだろう。

2019 年度より作成を開始したマイルストーン評価であり、成果はこれから具体的になっ ていくと信じている。チーム内の医師の成長を、一律の評価基準で、時間軸に沿っ て、互いに評価し合っていくことは、知識・技術領域はもちろんのこと、自分自身で到 達度を把握しにくい態度領域での評価にも活用できると考えている。

<考察>

【事例に総合診療医の専門性がどう生かされたか】

日本プライマリ・ケア学会が示す家庭医療専門医の行動目標には、「家庭医が持つ 医学的な知識と技術」、「家庭医を特徴付ける能力」、「全ての医師が備える能力」、

「教育・研究」の 4 つが挙げられている。

3)

プライマリ・ケア医にとって大切な技能・態度

である地域住民のニーズに応えるように活動することは、全ての医師が備える能力を

同定することに影響していると考えている。地域で総合診療をしていると「自分たちが

どのような能力を持っているのか」ではなく「自分たちは何を求められているのか」を痛

感することが多い。ニーズのないところに医療は成り立たないのである。筆者自身、急

性期病院に勤務していた頃を振り返ると、“この街の住民が安心して暮らすことができ るように医療で支えたい”と考え今まで研鑽を積んできたつもりが、いつの間にか“自 分は何ができるのか”ばかり考えるようになっていたのだと、地域に戻ってきて気付かさ れる。

【タスクシフティングの可能性(臓器別専門医の負担軽減、多職種連携など)】

初期研修医の基幹病院は領域別に特化した診療科が揃っている大きな病院が多 い。指導医も領域別専門医であることが多いはずである。地域研修の病院は比較的 小規模な病院であることも多い。そこでの指導医が広く総合診療に精通している総合 診療医であれば一人の研修医を評価する際に基幹病院で評価が難しい部分を補完 できるのではないかと考える。

【医療や社会に与えるインパクト】

この3年間で、我々が若狭高浜で共に学び、共に迷い、共に背負い、共に笑った仲 間は 80 人にのぼる。そして、ここを巣立つ研修医は筆者が定年退職するまでに千人 を越える予定である。彼らが自身のプロフェッショナリズムを大切にして、それをまた後 輩に繋いでいってくれれば、教育の効果は何倍にも何十倍にもなる。筆者はここでひ たすらに総合診療医として教育活動を続けることで、高浜町は必ず豊かになると信じ ている。駆け出し始めたばかりのプロジェクトをやり続ける力の源はそんな夢にあると信 じている。

【他の地域での応用可能性とその実現のために必要な事項】

総合診療医育成を地域医療の現場で行いやすいのは、周囲に医療機関が少ない ため、一度受療した患者が自分の元に返ってきやすいという特性があるからだと考え る。地域の特性やニーズを重視する視点があれば、都会で提供される医療の中でも、

病院総合医・家庭医としての役割は非常に重要であり、効率的な評価方法を用いて 目標設定をすることで、場所には関係なく総合診療医に必要な能力を獲得することは できると考える。

文献

1) Transitional Year Milestones: The Accreditation Council for Graduate Medical

Education(ACGME):https://www.acgme.org/Portals/0/PDFs/Milestones/TransitionalYearMilestones.pdf?

ver=2019-05-29-124619-770

2) 大西弘高,錦織 宏,藤沼康樹,他:Significant Event Analysis−医師のプロフェッショナリズム教育の一 手法.家庭医療,14(1):4-12,2008

3) 日本プライマリ・ケア連合学会:日本プライマリ・ケア連合学会 基本研修ハンドブック改定2版 ,60-692017

(表 「たかはマイルストーン」)

Patient Care 1:鑑別疾患とアセスメント

達成度 Level 1 主訴から適切な鑑別診断を"3C(common,curable,critical)"

に沿って列挙できる

Level 2 適切に列挙した鑑別診断を、目の前の症例に当てはめて考えるこ

とができる

Level 3 教育者のサポートを受けながら、自発的な学習のもとに正しい診

断を導き出せる

Level 4 高齢者に代表される複数併存疾患のある複雑な病態の患者に対

しても、自発的な学習のもとに正しい診断を導き出すことがで き、level3 のお兄さん・お姉さんになれる

Level 5 チームメンバーに間接的なヒントや学びの手段を提供し、自発的

な学習を促し、正しい診断を導きださせる

Patient Care 2:臨床マネジメント

達成度 Level 1 上級医を含む医療チームの治療計画立案に参加することができ

Level 2 上級医の指導の下、適切な検査を選択でき、治療計画を模倣でき

Level 3 自らの判断で適切に検査選択をして、治療計画を上級医に提案で

きる

Level 4 検査結果と患者の臨床経過に基づいて、必要に応じて治療計画を

変更しながら治療完遂できる

Level 5 研修医とともに、研修医に主体性を持たせながら、治療決定をサ

ポートできる

Patient Care 3:医学的緊急事態に対する対応

達成度 Level 1 緊急疾患のガイドラインやアルゴリズムを簡潔に説明できる

Level 2 緊急疾患の治療において、与えられた役割を実践できる

Level 3 医学的に緊急を要する患者に、ガイドラインやアルゴリズムの型

に合わせた治療が必要だということを、医療スタッフに宣言し、

協力を仰ぐことができる

Level 4 医学的に緊急を要する患者に、医療チームの司令塔として、患者

の最大利益に貢献できる

DNAR を含むコードステータスが一様なものではなく、患者と 患者を取り巻く家族や環境によって刻一刻と変化するものだと 認識し、医療チームのリーダーとして柔軟に舵取りを行うことが できる

Level 5 型通りでは対応できない予期せぬ緊急に、医療チームを的確にリ

ードし、患者および家族に満足度の高い医療を含むサービスを提 供することができる

Medical knowledge

達成度

Level 1 (省略)

Level 2 医学部卒業レベルで必要される医学知識が、実際の医療現場でど

のように活用されているのかを体感し、今後の学びの活力とする

Level 3 自らの担当であれば、疾患の認識・評価・治療介入・治療評価・

今後のプランまで一連の流れを自分の言葉で言い換えることが できる

Level 4 老年医学が中心の地域医療の環境で、よく遭遇する疾患を想定で

き、自らの担当であろうがなかろうが、疾患の認識・評価・治療 介入・治療評価・今後のプランまで一連の流れを自分の言葉で言 い換えることができる

信頼できる出典(オンライン・書物)からの情報を集めることがで きる

Level 5 研修医の各々の医学知識獲得への行動を、個別性を意識してサポ

ートできる

疾患の幅広さのみならず、患者の多様性に柔軟に対応できるレベ ルの細やかな知識を有する

Reflection の中で発生する Clinical pearl に、この環境だけで なく普遍性を持った利用価値があるものにするための医学知識 を付与できる

ドキュメント内 研究代表者 (ページ 44-56)