文 法 163 (・ソーヤツ〜 O tVソーヤロ
「良い」ヂ無い」には「ヨサソーヤ」「ナサソーヤ」のように「サ」が挿入され
る。
(3) 「ソーヤ」(伝聞)用言,助動詞の第4活用形より接続する。
O O Nソーデ t vソーヤ(tV) ○ ○ ○
(4) 「ヨーヤ」比瞼・不確かな断定・例示。山九,助動詞の第4活用形よ り接続する。
○ 〜ヨーヤツ〜 〜ヨー二,・Vヨーデ 〜ヨーヤ(tV),・vM一ナ〜
ヨーヤッrN/ O nVヨーやPt
5.4 雑
(1) 「ン」打消。動詞,助動詞(動詞饗)の第1活用形より接続する。そ
の活用は,
164 奈 良 梁
アメフル ヒーデモ ヨー ハタラッキョル ヤッチャデヨ。〔雨の降る臼でもよく 働きおるやつだよ。〕
(2) 「の」にあたる「ネ」
コネソ カイタラ エーネヤ。 ここのように書けばいいのだ。〕
6.2 接藷霞…助婁司
(1) rヨッテン,サカイニ」(から)
ワシヨカ イツツ ウエヤヨッテン (サカイニ) ハチジューゴヤロカ。 〔私より:五 つ上だから八十五歳だろうか。〕
「セヤッテン,セヤサカイ(二)」(そうだから)はしばしぼ使う。
(2) 「カテ」(ても,でも)
ソーカテ アンタ アネソ イワバッタヤンカ。〔そうでもあなたがそのようにおっ しゃつたではないか。〕
のように逆説をあらわす。
6.3 副助詞
(i)係助調「ワ」の省略 −「
ワイラ グズヤサカイ マニアワヒンネド。〔お前らはのろまだから間に合わないん
だぞ。〕
ただし強調のときは省略しない。
コラー ワシノ コドモダンネ。 〔これは私の子供ですよ。〕
(2>「ナット」(でも)
ナンナット スキナモン トンナハレ。 〔何なりとも好きなもの取りなさい。〕
ハシリナット セー。〔走りでもしろ。〕
のように強意に用いられる。
(3>「ハッチャ」(しか)
ヵマハッチャ アラヒソデ。 〔鎌しかないぜ。〕
を≦) 「ド」 (ぞ, カ㍉ やら)
ドコドィ イキサラセ。 〔どこかへ行ってしまいやがれ。〕
のようにrぞ」の誰音であることは明らかであるが,「か」「やら」の意味にもな ナン イ ツ
る。そのときは「ダイド」(誰ぞ,か,やら),「何ド」「何時ド」のように疑問代名 ナン
詞と併用。「何ドイ」ともなる。
丈 法 165 6.4終助詞
(1)間投助詞rミー」rナー」「ノ 一・ 」「ヨーj「エ 一一」「ヤー1および「ナーヤ
ー一梶uノーヨー」のような熱合形。
アノミー,アノコチ=、, 一一タラ ガッコイ イテ ワルサシトッテソミー,ホンデソミ 一,ヒドッコ 一一 オコラレヨッテンテーe 〔あのねえ,あの子ったら学校へ行って,い たずらしておったのさ,それでねえ,ひどく叱られおったんだとさ。〕
「アノミe一 jは全村用いるが,間投助詞のrミー」は大泉,大西で用いるも ので,圓想的内容をあらわす会話に用いるものである。
アノナー,コレナー,アンタ=ナー,アゲマヒョカ。 〔あのね,これをね,あなたに ね,あげましょうか。〕
アノノー一,ワイトコノ イヌ オッキナッリョッタノー。 〔あのねえ,私んとこの犬 は大きくなりおったねえ。〕
コネン テッリHッタラヨー,ツル モーテモテヨー、ドタイ コーモアーモ シャ ルカヨー一。 〔こんなに日が照ったらね,蔓が舞ってしまってさ、全くどうにもこうにも しょうがないよ。〕
ワイナーエ(ヤ) カワイ オヨギニナーエ(ヤ) イテキチンヤェ. 〔私はね,規へ泳 ぎにね,行って来たのよ。〕
以上の語は文節の終りにはどこにでもはいり得るわけであるから,特に間投 助詞と名づけてよかろう。「エー,ヤー」は女性特有語である。またrノー,ヨー」
は男性のみ使用。 「ナ同一・ 」には多少の敬意をふくめ得るが,「ノー」は同等ない し下輩に用いる。この「ノー」の使用意識は,南部大和における用法(尊敬。
両性とも)と対立的にまで異なるものである。
(2>終助詞「ガナ」「ワレ」「ワ」「 「■ ==」「ネ(ン)」「ネヤ」「デ」「デヤ」
rデヨ」rヂm」「ド」「ドヨ」「ドイ」「ケ」「テ」Fト.}ヂヨー一 」 ソコ= キチャルガナ。 [(その入は)そこに来ているじゃないか。〕
「ガナ」は確定した事物に対し,他人の疑問や決定を反駁する意をあらわすt一 オラ シラソワレ。 〔僕は知らないわい。〕
ギワレ」は男性用語で,強い言いきり。
ココ= ナイワ。〔ここに無いよ。〕
男女とも使う。男性では「ワイ」の省略形,女性では「ワエ,ワヤ」の省略 形と見られる。詠嘆の意はほとんどふくまない。
ユ66 奈 良 県
アンナコト ユーチャソネ(ン)。 〔あんなことをいっているんだよ。〕
男女とも使う。[よ」や「の」(女性)に当たる。「ネヤ」はやさしく念を押す
形。
オトーサン ヨンダハソデ。 〔おとうさんが呼んでいらっしゃるぜ。〕
男女とも使う。柔かい表現。「デヨ」(男性),「デヤ」(女性)の熟合形もある。
ゼヂ・」は下品。 「ド」系は「ぞ」の誼音だが,下蔽に聞こえることもあるので,
女性は「デ」を使う○疑問は「か」よりも「ケ」を使う。「テ」rト」は圃想を あらわす会話を受けるQ 「ヨ 一」は勧誘をあらわす。
ヒガシ ム ロ タカ イケ コ ザ カワ
和歌山県 東牟婁郡高池町(新古座川町〉
村 内 英 一・
1 薩積 38.728km2(昭29)
∬ 人口 2,716人,622世帯,1世帯4.4人(昭29)
:斑人口動態総転入数156人(総人口に対して5.7%),総転出数148人(5.4%),和 歌山県外からの転入7G人(2・ 6%),県外への三隅67人(2.5%)一(昭28)
,,A「就業人q 農・林業641人(総就業人口に対して59.2%),水産業2人(0%),鉱 業0人,工業224人(20・7%),商業78人(Z2%),公務・自由業76人(7.0%),その 他62人(5.7%),計1,e83人(100%)一(昭25)
V おもな産業(おもな生産物資)農業・林業(木材・木炭)
暇 高校進学者数(進学率)35人(中学卒業者数に対して66.0%)一(昭28)
Vll ラジオ七四率 2.9世帯に1台(昭29)
M{1 新聞翼薄読舞ζ 1世チ欝に 0.93畜区 (B醤29)
IX 電話加入率 11.5世帯に1本(昭29)
x 上水道 ない
XIまとまった買物をするところ 古座町 大けが・重病のとき入院するところ 古座町
XE[被調査者(敬称略)
大量伊三郎 辰巳こさん 小池徳次郎 山口 平蔵 辻 きよえ 中楓 きち 前rE 音吉 沸 平太郎 中家五依衛門 大江いとの
高池町月ケ瀬 高泡町字高池 高独口字池の山 高池町字高池 高池町寧高池 高池町掌池の寅 高池町寧高池 高池田丁字宇津木 高池町寧楠 蔑池町宅重池
(隼齢〉 ({i柱屠) (職禦)
塁導 56 不変 農業 女 70 不変 無蹟査
男 70 不変 農業 男 67 不変 商業
女60層目無職
女 64 不変 無職 男 65 不変 農業 男 59不変 農業 男 59 不変 農業
女65不変無職
(学校)
0〜6年 0〜6年 0〜6年 0〜6年 G〜6年 G〜6年 7〜9年 7〜9年 0〜6年
0・)6年
169
はじめに
1.瓢歌出方雪のあらまし
本県は京阪に比較的近く,古くから開けたにもかかわらず,:交化の進展は遅 々として進まない。それは,多くの山地とこれらの由々に囲まれた自然環境に もとつくものと思われる。また,地理自勺に南北に長く,政治・:文化の中心であ る和歌山市が北端に位置していることも不便であり,鉄道,バスその他の交通 機閣も極めて貧弱である。このような自然的・入:文的性格は言語の上では方言 の分裂となり,山のふところに眠る里謡はそれぞれ自分たちのことぽを麿ては ぐくんでいるし,古語の残存も多い。アクセントは全般的には京阪型で,土地 により多少の違いがある。また,ザ行ダ行う行の転化が著しく,敬語法は発達
しておらず,文末助詞にたよるところが多い。
方言心心として,県全体は北部地区,中部地区,南部地区:に大捌できる。ま ず,北部地区は,和歌山市,海南市,面革郡,那賀郡,伊都郡(花園村のみ中 部地区にはいる)の全部と,有田郡の西部海岸地区で,新しい交化の洗礼を大 阪側より受けて,露語上新しい変化を遂げつつあり,生物の存在態に「ある」
を用いっっも,「いる」にとって代られる方向にあること,東部に.おいては「見 らん,兇らす」などの一段動詞の四段化が見られることなどは,西部の「児や ん,見えへん,見一へん」の否定形とともに特徴的である。
中部地区は,有田郡の出地地帯,臼高郡,西牟婁郡(南端部は南部にはいる)で,
デ ク
おもな特徴は,「落つる,柚るる,出来る」などの,終止形が連体形に岡化され た形の二段動詞の根強い残存と,それに慰ずる一部の助動詞「叱らるる,着ら るる,寝さする」などの広い分獅が見られることである。また,生物の存在論 と蕩物の継続態・結果態に「ある」を専ら使用する西部と,「おる」を専ら使用 する東蔀とに分けることもできる。古語の残存は東部に多い。
南部地区:は東牟婁郡を中心とし,西牟婁郡の南端の一部が含まれる。特に,
新富文化圏を中心として,アクセント・イントネーションの異色が匿立つ。海 撰沿いおよび熊野川流域地帯と,それ以外の山地地帯とに分けると,前者では 生物の存在態と事物の継続態に「ある」を使用するのに対して,後者では「お
し
170 和歌由県=
る」を使用するので,この点で著しい対照をなす。動詞の連用形に「いる」が ついて継続態をあらわす語法「降りいる」,「仕事しいる」(否定形は「降りいな い」式)が海岸地帯を主にして見出される。また,北方山地地帯は,ヂあらない」
が残存していること,指定の助動詞ドじゃ」,「たい」に続く一音節動詞が長呼さ れないこと,反悶的に念を押す言い方の「つろや」,ギにや,のら,の一ら,な や」などの文末助詞があることで特異性がある。
2。方鷺から見た調査地点の位置と性格
古座川町(高富町)は,和歌山方雷区劃の中では,南部地区の海岸地帯に属 する。町として特別な産業もなけれぽ,人m移動も少なく,隣接の古座町がこ の附近の中心地であるのに比して,停滞的な中間的性格である。それゆえに書 語も著しく異なった方言的特徴は持ってはいない。強いてあげれば,敬語形の
「まってん」や,交末助詞の「に一」などをあげることができよう。大字高池 は昔は木材の集散で多少栄え,旦那衆といわれた上麿階級と,つかわれていた 労働者階級とがあり,今臼残る敬語は当地の旦那衆へのことばづかいであった わけである。3世帯に1台のラジオ普及率で,:文化的刺激を受けることが少な い。しかし,働きに出る若い人たちを通じて,ことぽの新しい息吹きが感ぜら れないこともない。
音
韻
竃.母音
ヂあ」一(1)単独で語頭に立つ場合
語頭に立つときも,藷中・語尾にあるときも特別に署しい特異性が見られな いが,口の開き方がやや少なくて,[a]と[oJの中間位の開き方である。舌は 全く緊張を解かれた状態に放置されて,雷講が高まるようなことはない。三富 的には[a]の省略されることがある。たとえぽ,Ralnakara]あたまから。
(2)単独で語中・語尾に来る場合
語中においてイ段音の次に位するときのヤ二二への変化はほとんど見られず,
([niau]似合う, [joriai]寄り合い),第三音節以下に来たときにヤ行拗音節に