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ミニ盆栽の越冬

ミニ盆栽になる木には寒さに強い木、弱い木があります。

日本の国は亜熱帯に近い気候の地域もあれば、

冬は雪に閉ざされる地域もあります。

同じ樹種でも、寒さに慣れている木と慣れていない木では、

冬を安全に越せるか越せないかの違いもあります。

このため、地域の気温と木の耐寒性をよく見ながら 越冬の方法を判断する必要があります。

越冬の方法には何通りかあります。

・室内で越冬する方法(暖房のない部屋)   

・ムロなど屋外にある囲われたスペース    

・軒下など落雪、霜を避けられる屋外     

・土の中(地面に穴を堀り、蓋をかけて雪の下)

・雪の中(雪が乾燥した風から木を保護する) 

(1)寒害を避ける

寒害とは、冬に起きる木の障害のことです。

乾燥、低温、雪による枝の損傷があります。

ミニ盆栽にとって最も危険なのは乾燥です。

冬は大気が乾燥するため、

風に当てると水分を奪われて枯れることがあります。

次に、寒さによる障害ですが、

これは樹種によって差があります。

松柏類など針葉樹は寒さに強いものが多く、

落葉樹は原産地によって耐寒性に違いがあります。

常緑樹は寒さに弱いものが多いので、

大まかに樹種別の耐寒性を紹介します。

これは、大まかな目安ですので、その点を考慮してください。

(2)寒さに強い木

寒さには強く、氷点下 20℃近くでも耐えることができます。

カラマツ、蝦夷松、イチイ、アカエゾマツ、黒松、赤松、五葉松、

シンパク、山紅葉、カエデ、ニシキギ、ツルウメモドキ、

キンロウバイ、ケヤキ、コナラ、マユミ、

オウバイ、フジ、ボケなど

(3)寒さにやや弱い木

氷点下7~8℃が限界になるので保護します。

スギ、トショウ、クチナシ、ピラカンサ、カキ、ツバキ、

サクラ、ウメ、ツツジ、サザンカ、ミヤマキリシマ、クワ、

ジンチョウゲ、カイドウ、マユミ、ギョリュウ、ブナ、

サツキ、西洋シャクナゲ、カルミア、カリンなど

(4)寒さに弱い木

寒さに弱いので、鉢が凍らないよう

必ず屋内に入れたりムロに入れて保護する必要があります。

柑橘類(キンズ、ミカン、キンカン)、ヒメリンゴ、ザクロ、

ハマボウ、ウメモドキ、ベニシタン、イソザンショウ、

ヒメザンショウ、ミヤマカイドウ、ソロ、イチョウ、ガジュマル、

クスノキ、ツバキの園芸種、サザンカ、ハゼ、ベリ、ヒメシャラ、

ユスラウメ、アケビ、ツタ類など

第10章 酷寒の地での越冬

この章では、特に冬の寒さの厳しい 北海道東・北部の越冬について解説します。

(1)乾燥に注意

酷寒の地での越冬で最も注意 しなければならないのは乾燥です。

北海道の冬は、12月下旬から3月上旬まで 気温がプラスになることはほとんどありません。

1月、2月になると気温は氷点下 20度近くまで下がり、

地下1mまで凍結します。

気温が下がることによって空中の水分が凍結し、

氷の粉となって地上に落ちるので 大気は非常に乾燥しています。

このため、盆栽を屋外の小屋などに入れても 乾燥した大気から盆栽を守ることは難しくなります。

そこで、盆栽を雪の下に置いて風の動きを封じ 乾燥から守るのが最も安全、ということになります。

(2)酷寒の地の越冬方法

地面が凍結する前の 11月の中旬ころまでに 鉢を地面の土に半分程度埋めます。

もしくは、地面の上に直接、置きます。

盆栽を置くスペースの周囲を

盆栽が隠れる程度の高さの塀(木の板など)で囲みます。

これは、雪が解けた後の空っ風に備えて 風をよけるための塀です。

地面が凍結するまでの間、

1週間に1回程度水をやります。

水やりの方法は通常通り、たっぷりとかけます。

地面が凍結したら

鉢の中の用土も凍結するようになります。

日中、日が当たって凍結した鉢の氷が解け、

夜間は再び凍結するので、用土が氷で持ち上がり、

浮いていることがあるので確認する必要があります。

浮いている場合は

軽く上から押さえて沈めます。

日中の最高気温が

0度を下回るようになれば、水をやりません。

12月に入ると雪が降り、盆栽を覆うようになります。

それ以後は、雪が降るのに任せて 盆栽を雪の下に置いておきます。

雪の少ない年は、

できるだけ周囲から雪を集めて覆うようにします。

そして4月中旬の雪解けを待ちます。

春の空っ風は、野山の草が茂る5月中旬になると

おさまりますので、そのころまで棚に上げるのを待ちます。

その間、芽が動く木があるので

植え替えの必要なものは、順次植え替えをします。

既に葉が開き、植え替えの時期を過ぎてしまった木は 葉が固まる5月末から6月中旬をめどに

根を切りすぎないようにしがなら植え替えをします。

あとがき

誰かが世界のどこかでこの教材をご覧になり、

「ミニ盆栽をやってみよう」

と思っていただきたくて書きました。

怪長が盆栽を始めたころ

「これを知っていたら、何本も枯らすことはなかったな」

と思うことを書いてみました。

盆栽はいろいろなことを知るほど上達します。

でも、いちどに全部覚えることはできません。

基礎の基礎を覚えることから始めて、

少しずつ知識を身に着けていけばいいと思います。

怪長自信も、これからまだまだ

いろいろなことを覚えなければなりません。

しかし、人間には寿命があります。

あなたには、できるだけ早いうちに、

ここに書いたことを知っていてほしい。

それが、怪長の願いです。

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