幹が細くて背が高い…
そのような木になります。
自然の木は、数十年、数百年の時間をかけて 理想的な樹形を自らが作っていきます。
私たちが手本にする樹形は
自然の木が完成させた最終的な形なのです。
木には、枝が風や雪の重さで折れてしまったときなど、
失ったものを修復する能力があります。
日のあたる場所を無駄に使わないように、
枝を増やしていきます。
盆栽では自然の中で淘汰されるだろう枝を あらかじめ取り除き、
短い時間でより小さく完成された樹形にしてきます。
(2)枝を切る目的
鉢の中の木が効率よく光合成をし、健康でいられるように
◇強く伸びる枝の先を切り、勢いをほかの枝に回す。
強く伸びる枝をそのままにしておくと、
先だけどんどん伸びていきます。
その枝の幹に近いところにある小枝が枯れたり、
幹の下の方にある小さな枝が枯れたりします。
そうならないように、
強い枝の先の勢いを抑えて弱い枝に回すと、
小枝が淘汰されることなく、良い枝振りを作ることができます。
◇胴吹きをうながす 込み入った枝を切ると、
光が幹まで届くようになり、風通しも良くなるので、
幹から新芽が出る「胴吹き」を促すことができます。
風通しが良くなると病害虫の発生も抑えることができます。
◇樹形を整える
忌み枝や込み入った枝を切った後に、
樹形を整えるためのせん定をします。
樹形を整えるには、
その盆栽の樹形を意識する必要があります。
樹形を意識せず切っていくと、
最後は樹形を作ることが難しくなり、
修復するのに大変時間がかかります。
◇意識すること
ひとつの枝を切るときは「なぜその枝を切るのか」
ということを意識してください。
分からないときは「試す」ことになりますが、
それでも「切った後どうなる」かを 考えながら切ってみてください。
思ったとおりにならないことも多いのですが、
なぜうまくいかなかったか考える癖をつけると 上達が早くなります。
(3)どの枝を切る
◇忌み枝を切る
無条件で切った方がいい枝があります。
忌み枝といいます。
忌み枝は、自然界では淘汰される枝です。
最終的になくなる枝です。
◇不要の枝を切る
忌み枝ではありませんが、
樹形を整える上で不要な枝です。
正面から見た時に幹を覆い隠す枝、
上に向かって強く伸びる枝など 樹形を崩してしまう枝です。
◇外芽と内芽
ひとつの枝には外芽と内芽があります。
外芽は幹の中心から離れて外側に広がるように伸びる芽です。
内芽は幹の中心に向かって伸びる芽です。
せん定をするとき、いくつも芽があるのですが、
迷ったら外芽の上で切ります。
内芽の上で切ると、枝が内側に伸びて樹形が崩れます。
葉が同じ場所から左右に出ている対生の木では 外芽、内芽はありません。
(4)胴吹きを促す 胴吹きというのは幹の途中、
枝の途中から出た芽のことです。
やがて枝になります。
枝として育てたいときは切らずに置きます。
それ以外は、忌み枝になる可能性があるので 小さいうちにかき取ります。
(5)花もののせん定
花もの、実もののせん定で注意するのは、
花芽を切ってしまわないことです。
花芽か葉芽かの見極めが難しい時があります。
その時は「新しく伸びる枝に花芽がつく」と 覚えておくとよいです。