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地方空港の LCC 誘致活動に関するケーススタディ

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第 6 章 まとめ

6.5 地方空港の LCC 誘致活動に関するケーススタディ

LCC等の航空サービスの拡充に関するケーススタディとして、国内外の空港、地域

(自治体・観光局)、航空会社の取り組みについて調査した。

(1) 日本と豪の誘致活動の比較

航空サービスの拡充は、基本的には空港や地域と航空会社との交渉事であるため、

取り組み内容は事例ごとに違いがあるものの、LCCの就航を含む航空サービスの拡充 のプロセスは、大きく「市場分析」、「提案・交渉」、「航空路線の利用促進」の 3 つの 段階に分類され、このプロセスは日本とオーストラリアで共通であることがわかった。

航空サービスの拡充は短期間で成果が現れるのは稀であり、継続的な航空会社との 交渉、情報提供が必要となるため、中長期的な戦略が求められる点も共通であった。

異なる点としては、空港の民営化が進み、LCCが一定のマーケットシェアを占めて いるオーストラリアでは、航空サービスの拡充に関する取り組みは、「空港のマーケテ ィング」として捉えられており、航空会社への提案においては、航空サービス拡充要 員として専門的な知識を持った人材を登用し、路線毎の利用客数(乗継客数)予測結 果や航空会社の収益のシミュレーション結果を元に戦略的に航空会社へ提案している 一方、我が国の自治体では、定期的な人事移動があるので専門的な知識を持った要員 を常に配置できる状況にはない点があげられる。よって、我が国の自治体が航空サー ビス拡充を進めるにあたり、組織的なノウハウの蓄積や、多様な人材の登用、観光、

航空分野の知識を持つエキスパートの育成、組織化が一案として考えられる。

(2) 組織の連携

航空サービスの拡充に向けた地域と空港の連携のあり方は、今後、空港の運営の民 営化が進む我が国において課題の1つである。1990年代後半から空港が民営化されて きたオーストラリアでは、市場分析の段階から空港、州政府観光局及び連邦政府観光 局が緊密に連携している。例えば、国際線の誘致に当たっては、インバウンド観光客 を増やしたい政府観光局と州へのインバウンドを増やしたい州政府観光局と路線を誘 致したい空港運営者が協力して航空会社への交渉段階から連携して取り組んでいる。

一方、我が国では、航空サービスの拡充の取り組みは、空港が立地する自治体の交 通政策部局が主導しており、他関係機関との協力については路線開設決定後に航空会 社と共同で利用促進を実施する程度であった。日本においても各関係機関の関係性は 似ていることから今回調査したオーストラリアのように観光局、地方自治体、空港運 営者等が協力して互いの組織の目的に沿った形で航空サービスの拡充に取り組むこと が必要だと考えられる。

(3) インセンティブの位置づけ

航空会社との交渉段階においては、空港が提供するインセンティブの内容も交渉項 目に含まれるものの、地域の自治体や観光局が提供する支援策は補助的な役割であり、

利用者の定着を図るためのマーケティングや広告などの期間を限定した支援であるこ とが明らかになった。欧州では、自治体が提供する支援策には、一定の規制が存在し ている。空港にとってインセンティブの提供は補助的な役割として位置づけるべきで あり、多額のインセンティブの提供により誘致する取組は持続性のある誘致活動では

ない。

(4) エアラインが就航検討にあたり重視する事項

国内の自治体及び LCC のヒアリングにて、LCC が就航を検討する際に関心が高い 項目を調査した結果、全体的にLCC各社は全ての項目で関心が高いと回答する傾向が ある一方、自治体についてはメリハリをつけた回答となっており、要素によっては差 異が生じる結果となった。

特に、空港の運用面に関しては、LCC の関心度に比べ、自治体が考える LCC の関 心度は相対的に低く、差異が生じている。この要因としては、空港の運用は空港事務 所や空港ビル会社の所掌であるため、自治体が関わっておらずLCCの関心を把握でき ていないことが影響していると考えられる。

更に、知名度、人口産業等の集積、地域間の繋がり、地上交通機関の利便性などの 要素について、LCCは重要と考えている一方で、自治体の意識は相対的に低いことが 見て取れるが、これらはいずれも需要の背景となる要素であり、航空会社に比べ地域 側が把握しやすい情報であるため、積極的に地域側が情報収集を行い航空会社へ提案 することが有効であると考えられる。

謝辞

本調査研究ではヒアリング調査において、多くの地方自治体、エアラインのご担当 者様にご協力をいただいた。

本調査研究を進める上で、アドバイザーとして加藤一誠氏(日本大学経済学部教授)、

手塚広一郎氏(日本大学経済学部教授)、吉田雄一朗氏(広島大学大学院国際協力研究 科教授)、飯塚秋成氏(東京大学航空イノベーション総括寄付講座 特任准教授)に調 査研究全般にわたり有益なご助言をいただいた。

また、調査研究の実施にあたっては、株式会社三菱総合研究所の土谷氏、磯野氏、

堀江氏、株式会社日本空港コンサルタンツの錦織氏、熊澤氏にご協力をいただいた。

ここに記して感謝の意を表したい。

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