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県外 96 名) 、参加者数 344 人、予備面接を受けた者数のべ 279 人

3 第 3 章のまとめ

・ 元の職場が再建されても復帰するかどうか迷っている人、元の職場への復帰をあきら めて他の水産加工場を検討する元従業員や、新規で水産加工場を検討する求職者のため には、再建された水産加工場を実際に目で見てもらうことの意味も大きいと考えられる。

・ 一方で、水産加工の事業再開はまだ途上であり、全部又は一部が再開していない多く の事業所は他地域に販路を奪われる恐れなどを感じ、再開後の事業運営にも不安感を持 っている。この際、単に「被災地(応援)」のイメージだけでなく、付加価値の高い競 争力のある産地としてのイメージ(ブランド)を定着させることの必要を事業者は感じ ており、これを国・自治体がどこまで支援できるかという点もポイントになっている。

(復旧・復興に伴う労働力需要等)

・ 復旧・復興工事に伴い、被災地の建設業の雇用保険被保険者は震災前よりも大幅に増 加している (石巻所では 2012 年 7 月の段階で震災前の 2011 年 2 月より 1,260 人・ 25.4 % の増) 。また、建設・土木関係の労働力需給はひっ迫しており、未経験者を含めて全国 から労働力が調達されるようになっていると言われている。

・ しかし、これら建設業関係の仕事で地元の求職者が就くことができるものは、臨時的 な期間雇用( 「つなぎ仕事」 )が中心だったと言われている。また、復興関係の公共事業 自体が永続するものでないことは言うまでもない。

※ 仮に求人条件で「期間の定めのない雇用」となっていても、仕事自体がそれほど長く続くもので はないと推測されれば、求職者からは、臨時的な求人とみなされるであろうということにも注意が 必要である。

※※ 資格・経験を求める求人が依然として一定割合を占める中で、地元には資格者・経験者が限ら れているというミスマッチを指摘する声もある。

・ このような中で、仮設住宅等に入居し生活の本拠が定まらない人は、未だ定職に就け る環境にないため「つなぎ仕事」を選択せざるを得ない面もある。地元で定職を探して いてなかなか見つからない人、前の職場への復帰を願っているがかなわない人にとって も同様である。

・ しかし、 「つなぎ」の後を明確に予定できている人は少ないであろう。建設・土木関 係の「つなぎ仕事」をしている地元の人たちが、資格・経験が不要な作業以外の建設の 仕事に移れるかどうかについても明らかではない。

・ 復旧・復興にともなう消費需要をキャッチしようと、被災地では小売業等の復旧や展 開も進んでいるが、復興に伴う労働力需要が去った後どうなるかについては不透明であ る。

(若年者や子育て世代を中心とする人口流出等)

・ 既に見た石巻の例などから、若年者や子育て世代の中に、安定した仕事や安心できる

子育て環境を求めて被災地(特に沿岸や福島第一原発周辺)を離れる志向があったこと がわかる。復旧・復興関係などの事業の就労をつないでいくことは、将来のためにも子 供のためにも早く生活を安定させたい若い層・子育て層にとって魅力のあるものではな いだろう。

・ 次代・次々代を担う世代の流出は、復興需要が去った後の被災地の将来に対する懸念 をさらに高めているが、流出した世代は、復興需要が去った後のことも不安視して流出 したものと考えられる。

・ 結局、復興需要が去った後を見越し、地場の強みを生かした産業の再生・育成や企業 誘致がどのように進むか、その状況を見て、若年者や子育て世代の流出・回帰の方向や スピードが変化していくと思われる。

※ 宮城県内新規高卒求職者の県外就職を希望する割合について、宮城労働局のホームページ公表資料 を見ると、2010年12月末:17.2%、2011年12月末:25.2%、2012年12月末:16.4%となってお り、震災翌年度卒業者の県外就職希望割合が大きく高まったものの、次の年度の卒業者については県 内求人の大幅増(2011年度卒:1.56倍⇒2012年度卒:1.90倍)もあって、震災前とほぼ同水準に戻 っている。

※※ 福島第一原発事故関係の避難者については、除染の進捗にもよるが、生活の本拠が定まらない状 態が長引く恐れがあり、生活や就労の場が避難先の方に移る可能性も高くなると考えられる。

(雇用復興推進事業等)

・ このような中で、震災後当初は被災求職者に対する期間雇用の仕事の供給に大きな役 割を果たしていた雇用創出基金事業のような施策体系においても、雇用復興推進事業

(事業復興型雇用創出事業、生涯現役・全員参加・世代継承型雇用創出事業)の追加等 により継続的な雇用の場の確保の方向でインセンティブづけがなされている。

これら雇用創出基金による事業が産業の再生・育成や企業誘致に対して持つ効果を十 全に生かすことは重要なポイントの一つである。

・ また、介護・医療の関係については、避難生活が長引く中で要介護者が増加し、これ に対応して雇用労働者も震災前より増加している(石巻所では 2012 年 7 月の段階で、

震災前の 2011 年 2 月より 467 人・20.4%の増) 。この分野はもともと人手不足であるか ら、より幅広い層を受け入れうる安定した雇用の場となるための方策が重要と考えられ る。

(不安定な状態で取り残される人たちへの息長い支援)

・ 被災地では、仮設住宅の入居者を含め、求職活動を活発に行っていてもなかなか採用

されず、気持が萎えている人、家族を亡くして気持ちの整理がつかず引きこもってしま

う人、自暴自棄・アルコール依存の心配のある人もいる。