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基金事業の期間雇用については、予算年度の区切りである3月末で終了または 更新時期となることが多い。このため、いったん基金事業に臨時雇用され、この

時期に終了・更新時期を迎えた人が 4 月からの職を求めて求職者として現れたケ ースもあったと考えられる。 ( 「基金事業の更新時に賃金の高い仕事の相談を受け ることがある。 」 (資料 1 - 10 ) ) 。

・ また、雇用保険の 3 度にわたる延長給付も早い人では 2012 年 1 月半ばから切れ始

めるが、上記①のように元水産加工従業員の場合、多くが 2 月・ 3 月・ 4 月に広域延

長給付に入ったとすると、その終了時期が 5 月・ 6 月・ 7 月となる。図 3 - 12 - 1 の

2012 年 5 月以降の求職者の減少については、これに対応している部分もあろう。

〔図3-12-1〕

※ パート含む常用(資料出所:宮城労働局ホームページのデータから作成)

〔図3-12-2〕

※ パート含む常用(資料出所:岩手労働局提供資料より作成)

・ それでは、雇用保険給付が終了した人はどのような状況になっているのだろうか。

参考として、広域延長給付終了者の終了時の状況を表 3 - 5 に掲げた。管外避難・遠

227 221 1141

1209 1277

1170 1107

1007 925

871

808 806 1119

1328 1186

1024 925

747

131 140

98 109 187

324 296

394 368 429

338 354

497 464 483 422

523 570

0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90

0 200 400 600 800 1000 1200 1400

食料品製造職業の求職者・求人の推移(石巻所)

①有効求職者 ②有効求人 ③求人倍率(②/①)

(人)

(倍

140 129

938 1,009 939

820 747

657

588 549 523 519 493

73 91 91

24 79 142 177 196 166 181 153 166 179 0.00 0.10 0.20 0.30 0.40 0.50 0.60 0.70 0.80

0 200 400 600 800 1,000 1,200

食料品製造職業の求職者・求人の推移(大船渡所)

①有効求職者 ②有効求人 ③求人倍率(②/①)

(人) (倍)

距離避難をしており、生活の本拠の見通しが特に立ちにくい人が多い福島を別にする と、広域延長給付の終了時点で就職(内定)している者は約 1/4 であり、それ以外は ほとんど求職活動を継続している。一部求職活動をしていない人もいるが、この中に は年金生活(老齢年金、遺族年金)に入る人も含まれていると考えられる。

・ 資料 1-15 によると、石巻所では、雇用保険の延長給付の受給を終了した人に後追 い調査をした結果を 2012 年 7 月 15 日までにまとめたところ、受給終了後に求職活動 中の人は 796 人だった。また、83 人が「離職前の事業所での再就業の予定のため求 職活動をしていない」状態だったが、遅れている水産加工所の再開を待つ気持ちが比 較的強い人で「求職活動中」と回答した人も多いと考えられる。 。

・ ところで、石巻所の場合、食料品製造職種の有効求職者は 2012 年 7 月時点で約 750 人(震災直前の 2011 年 2 月に比べて 29.1%増)であるが、石巻所管内の食料品製造 業の雇用保険被保険者は、同じ時点で震災前より約 2,200 人少ない(図 3-2) 。この 被保険者の減少分と有効求職者の差(2,200 人-750 人)が約 1,500 人分ある。した がって、 (この差には、 「食料品製造業」には「事務職」の人も従事しているなど他の 要因もあるものの)元水産加工従業員で戻っていない人の相当割合はその時点で既に 求職登録していないことが考えられる。広域延長給付終了時のアンケートとの関連で は、アンケートへの回答以後に「つなぎ仕事」を含めた他業種に就職した可能性の他、

ハローワークに来所せず求職登録が切れている可能性もある(ハローワークの求職登 録は、雇用保険支給終了後一般求職者として再登録しても、一定期間ハローワークに 来なければ自動的に切れる。 ) 。

・ この求職登録していない元水産加工従業員には、①元の勤務先の再開待ちの人(他 の事業所に行く気持ちはあまりないが、 「つなぎ仕事」をしている場合はある。 )のほ か、②家庭環境・居住環境の変化等で働ける状況にない人、③年金生活に入ったり、

他に当面働く必要のない額の収入・貯金があり、働く気持ちがなくなった人、などが

含まれていると考えられる。

〔表 3-5〕 広域延長給付終了者の状況

岩手 宮城 福島 計 2012年5月18日までに広域延長給付が

終了した者 1,449 5,341 3,886 10,676

支給終了時点で就職(内定)した者 564 1,272 490 2,326

うち広域延長給付すべてを受給す

る前に就職により支給終了した者 441 926 261 1,628

支給終了時点で求職活動中の者 764 3,781 2,543 7,088

うちもっぱらハローワークで求職

活動している者 732 3,406 2,386 6,524 支給終了時点で職業訓練を受講(予

定)している者 19 71 66 156

支給終了時点で求職活動をしていな

い者、ほか 102 217 787 1,106

(資料出所:福島労働局作成資料から作成)

イ 事業所と従業員の状況、ハローワークの取り組み ① 被災地の水産加工業の特色

・ 「水産加工」と一口に言っても、原材料、製品や業態は地域によって多様である。

たとえば、原材料・製品については、 「石巻の水産加工は原材料加工で1次加工し たものをロットで納める形態が多い。 (大手では)海外からの輸入原材料も多い」 (資

料 1-16) 、 「気仙沼の水産加工業は、消費者用に地場の魚を加工する形態が多く、

地元業者はそれにこだわりを持っている」 (資料 1-16) 。 「大船渡は魚関係が多く、

陸前高田は海藻関係が多い」 (資料 1-14) 。

・ また、水産関連の業種は、漁業、加工業、製氷、冷凍・倉庫、運輸等がリンクし

て成り立っているということがよく言われるが、加工業の中でも「分業によるチー

ムプレー(切り身を作る→次の加工・・・)になっているので、一部が復旧しない

と他にも影響が及ぶ。 」 〔資料 1-16〕