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第 2 章 気候変動の観測結果と将来予測

④ 無降水日

2.5. 積雪・降雪

日本における年最深積雪は、東日本日本海側で

10

年あたり

12.3%、西日本日本海側で 10

年あたり

14.6%減少しており、21

世紀末には特に本州日本海側で年最深積雪・年降雪量の大きな減少が予測さ

れている。一方で、本州や北海道の内陸部では

10

年に一度しか発生しない豪雪が現在より高頻度で現 れるとの予測も報告されている。

観測事実

(1) 日本

日本の積雪量の変化傾向を、北日本日本海側・

東日本日本海側・西日本日本海側について、気象 庁のそれぞれ

12

7

11

観測地点のデータから求 めている。

1962~2016

年の期間の年最深積雪は、

東日本の日本海側と西日本の日本海側で減少し

ている(前者は信頼度水準

99%で、後者は信頼度

水準

95%で統計的に有意)

。減少率は東日本の日

本海側で

10

年あたり

12.3%、西日本の日本海側

10

年あたり

14.6%となっている(図 2.5.1)。

図 2.5.1 日本における年最深積雪の経年変化

上は北日本日本海側、右下は東日本日本海側、左下は西日本日本海側。棒グラフは、気象庁の観測点における各年の年最深積雪 の基準値(1981~2010年平均値)に対する比を各領域で平均した値を示し、緑(黄)の棒グラフは基準値から増えている(減 っている)ことを表している。折れ線は比の5年移動平均、直線は期間にわたる変化傾向を示す。出典:気象庁(2017e)図 2.2-3

将来予測

(1) 日本

RCP8.5

シナリオを用いた予測では、年最深積

雪は北海道内陸の一部地域を除いて全国的に有 意に減少しており、特に本州日本海側で大きな減 少が予測されている。(図

2.5.2

上)。また、年降 雪量は、北海道内陸の一部地域を除いて全国的に 有意に減少しており、特に本州日本海側で大きな 減少が予測されている(図

2.5.2

下)。

図 2.5.2 全国の最深積雪の変化(上)、

降雪量の変化(下)(単位:cm)

非静力学地域気候モデル(NHRCM, 解像度5km)による地域 別の年間の最深積雪・降雪量の変化予測。棒グラフは1980~

1999年平均と2076~2095年平均の日数の差を表わし、縦棒

は年々変動の標準偏差(左:1980~1999年、右:2076~2095 年)を示す。いずれもRCP8.5シナリオによる予測結果に基 づく。出典:気象庁(2017h)図4.1-2(a)、図4.2-2(a)

上記のほか、降雪・積雪に関する高精度な予 測の研究事例の成果を

2

つ紹介する。

従来の研究では、気候変動の進行とともに総降 雪量が減少することは確認されていたが、豪雪に ついては、大気中の水蒸気量とともに増大するの か、温暖化による気温上昇により減少するのか、

既存の気候シミュレーションデータベースで精 度の良い結論を導き出すのが困難であった。これ を解決するため、d4PDF を活用して日本及び周 辺域における将来の日別降雪量の将来変化を高 精度で求める研究が実施された。その結果、

21

世 紀末(RCP8.5シナリオ)には、日本の降雪は北 海道山岳部を除き減少するが、気温が

0℃以下と

なる本州や北海道の内陸部では、大気中の水蒸気 の増加等により、10 年に一度の大雪のような災 害を起こしかねない極端な降雪が増大すると予 測された(図

2.5.3)。

60)

図 2.5.3 冬季(11~3 月)の総降雪量の変化(上)、 10 年に一度の大雪(日降雪量)の変化(下)

d4PDF、RCP8.5シナリオを使用。日本及び日本周辺域における降雪

の将来変化の特徴を示している。青い領域で降雪が増加。降雪量は水 換算したもの。出典:H. Kawase et al.(2016)

Reprinted by permission from Springer Customer Service Centre GmbH: Springer Nature, Climatic Change, Enhancement of heavy daily snowfall in central Japan due to global warming as projected by large ensemble of regional climate simulations, Hiroaki Kawase, Akihiko Murata, Ryo Mizuta et al, © Springer Science+Business Media Dordrecht 2016

また、山岳地形の影響を予測に反映できる例と して、地域気候モデルでダウンスケーリングした、

2030

年代における日本海側の積雪の予測事例を

示す(図

2.5.4)。3

月の平均的な積雪分布はこの

30

年間に大きく変化し、富山県周辺の標高

100m

以下の低地における年間積雪量は、2030年代に は現在の

6

割程度にまで減少すると予測されて いる。これは、気温の上昇とともに平野部では降 雨の頻度が増加し降雪量が減少するためである。

ただし気温だけでなく日本海の海面水温の上昇 により降水量自体は増加すると考えられるため、

山間部においては必ずしも豪雪頻度が減少する とは限らない。このように、地域性が大きい豪雪 の将来予測には、標高による地域性だけでなく自 然変動に由来する不確実性もかなり大きい。これ に気候モデルに由来する不確実性も加わるため、

ダウンスケーリングによる豪雪の将来予測の精 度向上が求められる。147)

地形情報出典 カシミール3D

国土地理院 数値地図50 m(標高)

国土交通省 国土数値情報(流路)

図 2.5.4 富山県周辺の積雪分布の予測

(上:2000 年代、下:2030 年代)

将来予測は CMIP3 の SRES A1Bシナリオの下での全球気候モデル(MIROCm)予測に基づ く擬似温暖化手法(Sato et al., 2006)による。4.5km格子で地形を表現する地域気候モデル

WRF3.2.lでダウンスケーリングしている。提供:気象庁気象研究所